GL検索 v0.1.0
2025年JCS/JSVS ガイドラインフォーカスアップデート版 末梢動脈疾患 日本循環器学会・2025・33 ページ · 弁膜症・大動脈・末梢・肺循環
p.1
「2022年改訂版 末梢動脈疾患ガイドライン」 からあらたな知見をまとめ,フォーカスアップデート版として作成した.

2025 年3 月28 日発行

日本循環器学会 / 日本血管外科学会合同ガイドライン

2025 年 JCS/JSVS ガイドライン

フォーカスアップデート版末梢動脈疾患

JCS/JSVS 2025 Guideline Focused Update on the Management of Peripheral Arterial Disease

合同研究班参加学会日本循環器学会  日本血管外科学会

日本インターベンショナルラジオロジー学会  日本血管内治療学会日本心血管インターベンション治療学会  日本心臓血管外科学会

日本フットケア・足病医学会  日本脈管学会

班長重松 邦広国際医療福祉大学三田病院国際医療福祉大学三田病院

血管外科血管外科

班員

井上 政則藤田医科大学医学部藤田医科大学医学部

放射線医学教室放射線医学教室大木 隆生東京慈恵会医科大学附属病院東京慈恵会医科大学附属病院

血管外科血管外科

市橋 成夫奈良県立医科大学奈良県立医科大学放射線診断・IVR 学講座放射線診断・IVR 学講座

東 信良*旭川医科大学旭川医科大学

血管外科血管外科

曽我 芳光小倉記念病院小倉記念病院循環器内科循環器内科高山 利夫東京大学医学部附属病院東京大学医学部附属病院

血管外科血管外科

後藤 信哉東海大学医学部東海大学医学部内科学系循環器内科学内科学系循環器内科学

緒方 信彦上尾中央総合病院上尾中央総合病院

循環器内科循環器内科

三井 信介福岡県済生会八幡総合病院福岡県済生会八幡総合病院

血管外科血管外科横井 宏佳

福岡山王病院福岡山王病院循環器内科循環器内科

原 正幸埼玉県立循環器・呼吸器病センター埼玉県立循環器・呼吸器病センター

血管外科血管外科

出口 順夫埼玉医科大学総合医療センター埼玉医科大学総合医療センター

血管外科血管外科

協力員

川﨑 大三*

森之宮病院森之宮病院循環器内科循環器内科菊地 信介

旭川医科大学旭川医科大学

血管外科血管外科

安齋 均太田記念病院太田記念病院循環器内科循環器内科

穴井 洋市立奈良病院市立奈良病院

放射線科放射線科

橋本 拓弥埼玉医科大学総合医療センター埼玉医科大学総合医療センター

血管外科血管外科藤原 昌彦岸和田徳洲会病院岸和田徳洲会病院

循環器内科循環器内科

丹 通直時計台記念病院時計台記念病院

循環器内科循環器内科

児玉 章朗愛知医科大学病院愛知医科大学病院

血管外科血管外科

松原 健太郎東京都済生会中央病院東京都済生会中央病院

血管外科血管外科

保坂 晃弘東京都立多摩総合医療センター東京都立多摩総合医療センター

血管外科血管外科
p.2
略語一覧 ....................................4

緒言5

表1推奨クラス分類5表2エビデンスレベル5

第1 章急性動脈閉塞6 1. ウロキナーゼ(UK)が使用できない状況下

での薬物治療 ............................6 1.1 血栓溶解療法 ........................6表3血栓溶解薬の対象疾患(保険適用) 7

表4 UK・アルテプラーゼ・モンテプラーゼのわが国での使用量

7 1.2 UK の供給不足問題....................8 1.3 周術期の薬物治療 ....................8 1.4 今後の方向性 ........................8 2. 血栓吸引デバイスについて ................8

3. 急性下肢動脈閉塞の治療方針 ..............8推奨表1急性肢虚血/ 急性下肢虚血(ALI)の治療方針

8 図1急性下肢動脈閉塞の診断と治療アルゴリズム(2022 年改訂版 図3)

10 3.1 初期治療 ............................9 3.2 血行再建の手段 ......................9 3.3 手術 ................................9 4. 血管内治療(EVT) ...................... 10

4.1 EVT における血栓吸引デバイスの導入 .. 10 4.2 ハイブリッド治療(外科的血栓塞栓除去術+EVT) ............................ 11 5. 後療法 ................................ 12目次

外部評価委員

古森 公浩福岡県済生会八幡総合病院福岡県済生会八幡総合病院

血管外科血管外科中村 正人東邦大学医療センター大橋病院東邦大学医療センター大橋病院

循環器内科循環器内科

吉川 公彦奈良県立医科大学奈良県立医科大学放射線診断・IVR 学講座放射線診断・IVR 学講座

北岡 裕章高知大学医学部高知大学医学部老年病・循環器内科学老年病・循環器内科学

宮本 伸二大分大学医学部附属病院大分大学医学部附属病院

心臓血管外科学心臓血管外科学

宮田 哲郎日本医療安全調査機構日本医療安全調査機構

*ガイドライン作成に必要不可欠な人材であり,班員/協力員として参画したが,過去 3 年間の COI に「金額区分3/寄附講座所属」に該当する自己申告が含まれることから,ガイドラインの公正性および透明性を担保するため,ガイドライン策定に関する議決権は有しない.

(構成員の所属は 2025 年 3 月現在)
p.3
5.1 虚血再灌流障害 .................... 12 5.2 血行再建後の薬物療法 .............. 12 6. 腹部内臓動脈 .......................... 13

6.1 急性腸間膜動脈閉塞の治療 ............ 13推奨表2急性腸間膜動脈閉塞の治療13

第2 章抗血栓療法14

推奨表3 LEAD 血行再建後の抗血栓療法14

1. 外科的バイパス術後 .................... 14

1.1 人工血管を用いたバイパス術後 ...... 14 1.2 自家静脈を用いたバイパス術後 ...... 15 1.3 抗血小板療法と抗凝固療法の併用(DPI) .................................. 15 2. EVT 術後 .............................. 16

2.1 抗血小板療法 ...................... 16図2 LEAD への血行再建術後の薬物療法とその投与期間(2022 年改訂版 図16)

17 2.2 抗凝固療法 ........................ 17 3. まとめ ................................ 18

第3 章包括的高度慢性下肢虚血(CLTI)に対する血行再建(バイパス/EVT) 18

表5 BEST-CLI とBASIL-2 の概要1 19表6 BEST-CLI とBASIL-2 の概要2 20

1. BEST-CLI 試験 ........................ 19 2. BASIL-2 試験 .......................... 20 3. まとめ ................................ 21

第4 章CTLI に対するDVA(distal/deep venous arterialization) 22 1. 適応病変 .............................. 22図3 desert foot の血管撮影像22 2. 外科的 DVA(sDVA) .................... 23

2.1 定義と適応 ........................ 23 2.2 術式 .............................. 23 2.3 臨床成績と留意点 .................. 23表7 sDVA の報告例(PubMed にて検索,抜粋) 24 3. 経皮的DVA(pDVA) .................... 25

3.1 適応 .............................. 25図4 desert foot に対するpDVA 実施前後の血管撮影像25 3.2 手技 .............................. 26 3.3 術後のメンテナンス ................ 26 3.4 治療成績 .......................... 26 4. まとめ ................................ 26

付表 班構成員の利益相反(COI)に関する開示 .............................................................. 28文献 ...................................................................................................... 30

(無断転載を禁ずる)
p.4
略語一覧

ABI ankle brachial (pressure) index足関節上腕血圧比AFS amputation-free survival大切断回避生存率ALI acute limb ischemia急性肢虚血/ 急性下肢虚血BMS bare metal stentベアメタルステントBNS bare nitinol stentベアナイチノールステントCAD coronary artery disease冠動脈疾患CDT catheter directed thrombolysis経カテーテル血栓溶解療法CKD chronic kidney disease慢性腎臓病CLI critical limb ischemia重症下肢虚血CLTI chronic limb-threatening ischemia包括的高度慢性下肢虚血CT computed tomographyコンピュータ断層撮影DAPT dual anti-platelet therapy抗血小板薬2 剤併用療法DCB drug-coated balloon薬剤コーティングバルーンDCS drug-coated stent薬剤コーティングステントDES drug-eluting stent薬剤溶出性ステントDOAC direct oral anticoagulant直接阻害型経口抗凝固薬DVA distal venous arterialization/ deep venous arterialization深部静脈動脈化eGFR estimated glomerular filtration rate推算糸球体濾過量(値) EVT endovascular therapy/ endovascular treatment血管内治療FDA Food and Drug Administration米国食品医薬品局GLASS Global Anatomic Staging System - GSV great saphenous vein大伏在静脈GVG Global Vascular Guideline - HIT heparin-induced thrombocytopeniaヘパリン起因性血小板減少症ISTH International Society on Thrombosis and Haemostasis国際血栓止血学会

LEAD lower extremity artery disease下肢(閉塞性)動脈疾患MACE major adverse cardiovascular event主要有害心血管事象MALE major adverse limb event主要有害下肢事故MNMS myonephropathic metabolic syndrome筋腎代謝症候群NPWT negative pressure wound therapy局所陰圧閉鎖療法PAD peripheral arterial (artery) disease末梢動脈疾患pDVA percutaneous deep venous arterialization経皮的深部静脈動脈化

PLAN Patients risk estimation, Limb Staging, ANatomic pattern of disease - PMDA Pharmaceuticals and Medical devices agency独立行政法人 医薬品医療機器総合機構RCT randomized controlled trial無作為化比較試験ROMS retrograde open mesenteric stenting - SAD small artery disease - SAPT single anti-platelet therapy抗血小板薬単剤療法sDVA surgical distal venous arterialization外科的深部静脈動脈化SG stent graftステントグラフトSMA superior mesenteric artery上腸間膜動脈TBI toe brachial pressure index足趾上腕血圧比tcPO2 transcutaneous oxygen tension経皮酸素分圧TIPI Thrombo-aspiration In Peripheral Ischaemia - TP toe pressure足趾血圧tPA tissue plasminogen activator組織プラスミノーゲン活性化因子UK urokinaseウロキナーゼWIfI Wound, Ischemia, and foot Infection -
p.5
緒言

「末梢閉塞性動脈疾患の治療ガイドライン」の初版が2009年に刊行され,2015年に改訂版が発刊された.その後,末梢動脈疾患(PAD)の疾病構造や疾患概念が大きく変化するとともに,新たな診断アルゴリズムや分類法の登場,治療デバイスの進歩,患者背景にある生活習慣病管理や治療薬の進歩など,さまざまな変革があり,2022年に以前のガイドラインから大幅な改訂が行われ,「2022年改訂版末梢動脈疾患ガイドライン」1)(以下,2022年改訂版)として発行された.

2022年改訂版1)の発行後に,PAD治療のなかで重要な位置を占める包括的高度慢性下肢虚血(CLTI)・重症下肢虚血(CLI)の血行再建に関する大規模無作為化比較試験(RCT)が複数報告された.また,急性動脈閉塞においてわが国における薬物治療の一翼を担ってきていたウロキナーゼ(UK)が供給されない状況に陥り,下肢のみならず腸管虚血を含めた治療方針が変化する状況に至った.そしてこれまで一定の見解がなされなかったPADに対する血行再建術後の抗凝固療法について,欧米を中心にアジアを含めた大規模RCTが報告された.さらに,CLTI・CLIの症例に一定数認められる血行再建不能症例に対する深部静脈動脈化(distal venous arterialization/deep venous arterialization: DVA)についても多施設前向き研究が報告された.前回の改訂から3年と短期間ではあるものの,いずれもPAD治療に変化をもたらす報告である。これまでに比べて小規模な改訂にはなるが,これら4項目に関するフォーカスアップデート版を作成することになった.

本フォーカスアップデート版は,上記4項目において,これまでのRCTと多施設前向き研究の結果を中心に,わが国で安全な治療を行うことができるようにすることを目的として作成するが,わが国での知見が少ない状況での作成とならざるを得ない.このため,本フォーカスアップデート版では推奨クラスやエビデンスレベルを無理には記載せず,可能な範囲で記載することとし,十分でない状況の場合には,あくまで現状からのエキスパートコンセンサスとして提示することとした.これまでの日本循環器学会ガイドラインのフォーカスアップデート版では,主としてアップデートされた内容のみに限定して報告されているが,今回の「急性動脈閉塞」については,アップデートされた分

野に限定した場合,治療としての一貫性・適切さを十分には反映されない内容になるため,実臨床において適切な治療が行われるようにするべく,これまでのガイドラインの内容も含めて記載した.

本フォーカスアップデート版では,推奨クラスとエビデンスレベルを2022年改訂版1)と同様に,表1および表2の通り分類して記載した.

最後に,本フォーカスアップデート版の役割は,他の日本循環器学会ガイドラインと同様に,日常診療において最新の治療を安全かつ有効に実施できるような情報を提供することである.しかしPADの実臨床においては,とくに患者やその臨床背景はさまざまであり,治療に対する反応も多様であることから,画一的な治療が難しい.具体的な治療や管理に関する最終判断においては,担当医師や医療スタッフが,患者やその家族と個々に目標を設定し,情報共有・意思共有を適宜行いながら治療方針を決定していく必

表1推奨クラス分類

クラスI手技・治療が有効・有用であるというエビデンスがある,あるいは見解が広く一致している.クラスIIaエビデンス・見解から,有効・有用である可能性が高い.クラスIIbエビデンス・見解から,有効性・有用性がそれほど確立されていない.

クラスIII No benefit手技・治療が有効・有用でないとのエビデンスがある.あるいは見解が広く一致している.クラスIII

Harm手技・治療が有害であるとのエビデンスがある,あるいは見解が広く一致している.

表2エビデンスレベル

レベルA複数の無作為化介入臨床試験またはメタ解析で実証されたものレベルB単一の無作為化介入臨床試験または無作為化介入でない大規模な臨床試験で実証されたものレベルC専門家および/ または小規模臨床研究(後ろ向き研究および登録を含む)で意見が一致したもの
p.6
ステートメント

要がある.本フォーカスアップデート版がその一助になればと考える.なお,ガイドライン作成組織構成員のCOIは巻末の付表に掲載した.

用語について

1)CLIとCLTI

生活習慣病,とくに糖尿病や腎不全の増加といった疾病構造の変化から,2022年改訂版では,「重症下肢虚血(critical limb ischemia: CLI)」という用語よりも,近年の実臨床を反映した「包括的高度慢性下肢虚血(chronic limb-threatening ischemia: CLTI)」という用語を使うことを推奨している.しかし,これまで蓄積されたエビデンス

の多くが,CLI患者集団を対象に構築されていること,さらには今回のガイドラインの参考文献に含まれるRCTにCLIの記載が含まれていることから,当該データが構築された背景によってはCLIという用語を使わざるを得ない場面が多くなった.CLIとCLTIが混在することで,読者には難解になる可能性があることを承知しつつも,正確な記述のため,2022年改訂版同様にCLIという用語をあえて残すこととした. 2) 略語については,p.4の略語一覧を参照されたい.

第1章 急性動脈閉塞⦆

● 急性動脈閉塞による急性肢虚血/急性下肢虚血(ALI)は,迅速な診断と適切な治療を行わなければ,肢のみならず生命予後も不良となる疾患であり,その治療では救命と大切断の回避が優先される. ● ALIの原因疾患を念頭に置いた治療戦略と全身管理

が求められる. ● 血栓溶解療法に制限のあるわが国では,基本的に

は外科的血栓除去術かハイブリッド治療(外科的血栓除去術+血管内治療[EVT])が第一選択となる. ● 動脈硬化を合併する場合は血管造影を行いなが

ら外科的血栓除去術を行い,残存病変に対してはEVTを追加するハイブリッド治療での血行再建が選択される. ● 患者の全身状態が悪い,または施設・時間的制約

から外科的血栓除去術が困難な場合は,EVTによる血行再建が選択される. ● ウロキナーゼ(UK)の供給停止に伴い,新規の血

栓吸引デバイスが国内で保険収載された. ● ゴールデンタイムを超過し,救肢の可能性が低い,あるいは血行再建により高度の虚血再灌流障害が

予想される場合には,救命を優先し,一次大切断(primary amputation)も考慮する.

1 ウロキナーゼ(UK)が使用でき ない状況下での薬物治療

1.1 血栓溶解療法

2022年改訂版1)でも言及されているように,わが国では有効な血栓吸引あるいは除去デバイスが使用できない状況が継続していた.加えて,現時点においてもわが国独自の問題点として,海外ではALIに対して通常使用されている組織プラスミノーゲン活性化因子(tPA)製剤が保険上の制約で使用できない.このため,わが国では長期にわたりさまざまな末梢動静脈血栓症に対して保険適用のあるUKが使用されてきた経緯がある(表3).厚生労働省が公表するNDBオープンデータ2)に公表されている各血栓溶解薬の使用量を見ても,わが国の医療現場がいかにUKに依存してきたかが理解できる(表4).
p.7
tPAはフィブリンを直接分解するプラスミンの前駆体であるプラスミノーゲンを活性化する作用があり,ヒトの尿から精製されるUKよりもフィブリン親和性が高いため,効果および安全性ともに高いことが想定される.よって医学的見地からは,tPAが使用認可されることが望ましいと考えられる3).UKは,保険上の制約から海外に比べて少量の使用のみが許可されてきた(最大24万単位/日).こうした状況もあり,UKは全身投与ではなく,より効率的に

血栓を溶解する目的で経カテーテル血栓溶解療法(CDT)による局所投与が施行されてきた4).海外におけるこれまでの複数の比較試験においては,外科手術とCDTの間には救肢率や死亡率に有意差は認めないという報告が多いものの,上述したわが国における血栓溶解薬の特殊な事情を考慮する必要があり,慎重な解釈が求められる5-8).

表3血栓溶解薬の対象疾患(保険適用)

対象疾患UK tPA 製剤(アルテプラーゼ,モンテプラーゼなど)脳血管血栓症〇〇冠動脈血栓症〇〇肺動脈血栓塞栓症〇〇下肢深部静脈血栓症〇x末梢動脈血栓塞栓症〇x・下肢急性動脈閉塞〇x・腸間膜動脈血栓症〇x透析用アクセス血栓症〇x

表4 UK・アルテプラーゼ・モンテプラーゼのわが国での使用量

使用数量(単位:本)

2017年4月~2018年3月2018年4月~2019年3月2019年4月~2020年3月2020年4月~2021年3月2021年4月~2022年3月

UK静注用6万単位179,357 178,859 172,415 177,844 185,710 UK冠動注用12万単位522 932 959 1,182 1,345 UK静注用24万単位793 760 <400 <400 <400アルテプラーゼ600万国際単位21,971 22,422 19,565 24,126 18,550アルテプラーゼ1200万国際単位5,504 5,622 6,541 6,452 6,121アルテプラーゼ2400万国際単位6,492 6,409 7,367 6,476 6,320モンテプラーゼ40万国際単位457 409 <400 <400 412モンテプラーゼ80万国際単位1,140 1,055 1,157 1,122 1,159モンテプラーゼ160万国際単位<400 <400 (厚生労働省2)より作表)
p.8
1.2 UKの供給不足問題

このようなわが国の特殊な状況下において,2021年にUKの原薬が規格不適合となり製造が困難となったことが報告され,UKの供給が突然に停止されることになった.この状況に危機感を抱いた各種関連学会から声が上がり,日本血管外科学会,日本心血管インターベンション治療学会(CVIT),日本インターベンショナルラジオロジー(IVR)学会,および日本静脈学会の4学会から,1)血栓吸引デバイスの早期薬事承認,2)急性下肢(または上肢)動脈血栓症,急性上腸間膜動脈(SMA)血栓症,有痛性青股腫を呈する重症な急性深部静脈血栓症の病態に対してのtPAの適応外使用の承認,3)時間をかけてでもUK製剤の供給再開を切望すること,が共同提案された.その後,医療機器等の早期導入に関する要望書が厚生労働省に提出され,6学会(日本血管外科学会,日本IVR学会,CVIT,日本静脈学会,日本消化器外科学会,日本腹部救急医学会)からなる末梢血管血栓吸引・除去デバイス関連学会協議会にて,急性下肢動脈閉塞,急性SMA閉塞症,および急性深部静脈血栓症の3疾患に関して新たな血栓吸引および血栓除去デバイスの導入が進められてきた.これにより,上記3疾患に対するINDIGOシステム(Penumbra社)の使用が2023年9月1日に保険収載されることとなった.

しかしながら,tPAの保険上の末梢動静脈血栓性疾患への適応拡大の動きは認められていない.一方,UKに関しては,2024年5月に新たに精製工程を追加することにより規格に適合した原薬を確保することが可能となったが,従来の供給量には到底及ばず,引き続き厳しい出荷制限が続くことが予想される.

1.3 周術期の薬物治療

血栓溶解薬を使用したCDT中の未分画ヘパリン持続投与の併用に関しては,出血リスクを増加させるとの報告がある一方で,出血性合併症との因果関係がないとの報告も存在する.未分画ヘパリンの併用は留置カテーテルの周囲の血栓形成や,使用シースの閉塞を防ぐという意味で妥当と考えるが,活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)値が正常上限の2倍以上となるような過度な投与量は控える9).また周術期の補助治療として,プロスタグランジンE製剤が周術期死亡率を有意に低下させたとの報告が散見されるものの,エビデンスレベルは低く10),わが国における使用機会は限定的である. 1.4 今後の方向性

UKの供給停止に伴い新規の血栓吸引デバイスが保険収載されたことは,今後の更なる高齢化とそれに伴う癌サバイバーの増加が確実であることを考慮すると,福音ともいえる11).高齢者や癌サバイバーは典型的な出血高リスク者であり,血栓溶解薬を極力使用せずに血栓吸引除去デバイスで治療を完結させることは理想的な治療といえる.しかし,わが国において血栓溶解薬を使用しない状況での新規血栓吸引デバイスの有効性と安全性は未知であるため,今後それを評価していく必要がある12, 13).一方で,臨床現場においては,血栓溶解療法やCDTの必要性は存在するため,引き続き症例を限定したうえで,血栓除去術後の補助療法としての使用が継続されることが予想される.この点から,末梢動静脈血栓疾患に対するtPAの適応拡大が必要であろう.

2 血栓吸引デバイスについて

「1.2 UKの供給不足問題」に記載したとおり,INDIGOシステムが異例の早さで承認された.そして,関連学会の定める適正使用指針を遵守し,十分に理解したうえで使用することが求められ,急性SMA塞栓症とALIについては適正使用指針が作成された.現在,全例登録を必要とする製造後販売調査が行われている.以上のように,INDIGOシステムの導入は通常の承認の過程を経ておらず,その治療には十分に安全性に留意して使用する必要がある.

3 急性下肢動脈閉塞の治療方針

推奨表1急性肢虚血/ 急性下肢虚血(ALI)の治療方針の推奨とエビデンスレベル

推奨クラスエビデンス

レベル

ALI と診断された患者には,速やかにヘパリンを投与する14, 15). I C ALI に対しては,血管造影が可能な手術室で手術を行う16). I C ALI の手術では,血行再建後に血管造影を行う16, 17). I C
p.9
動脈硬化性病変の合併により,血栓除去カテーテルの挿入が困難,もしくは困難なことが予想される場合は,ハイブリッド治療(外科的血栓塞栓除去術+EVT)での血行再建を行う14, 18). I Cコンパートメント症候群と診断された場合は,早急に筋膜切開などの治療を行う15, 19). I C ALI 患者において,再発防止および塞栓源検索のため,心エコー,24 時間心電図,大動脈のCT 撮影などを行う14, 15). I B ALI の治療後,心房細動や心内血栓が指摘されれば,長期間の抗凝固療法を行う14, 20, 21). I B動脈硬化が原因の急性動脈閉塞患者には,通常の末梢動脈疾患患者と同様に,二次予防目的にて抗血小板薬,スタチンの投与を行う22). I A動静脈血栓が認められた場合は,悪性疾患や血栓性素因の検索を考慮する14, 15, 23, 24). IIa C患者の全身状態や時間的制約などにより,手術による血栓除去が困難な状況においては,EVT での血行再建を考慮してもよい25, 26). IIb C急性動脈閉塞の治療後,塞栓源が特定されなくても,再発防止のため抗凝固療法を考慮してもよい14, 20, 22). IIb C

本項では,UKの供給停止という緊急事態に伴う新規デバイスの導入がアップデートの中心となっているが,従来のガイドラインフォーカスアップデート版のように改訂箇所のみに限定して記載するとわが国の実臨床においてまだ確立されていない治療のみが記載されることとなり,治療としての一貫性・適切さが十分に反映されない内容になることが懸念される.従って,本項では2022年改訂版1)の内容も含めて記載した(図1).

3.1 初期治療

診断が確定次第,禁忌でない限り,可及的速やかに未分画ヘパリン5,000単位あるいは70~100単位/kgの静注を行う.ヘパリン投与によって二次血栓の進展が予防されるとともに,抗炎症作用が期待される14, 15).ヘパリン起因性血小板減少症(HIT)と診断されている症例,あるいはHITが疑われる症例では,ヘパリンに替えてアルガトロバンの投与を考慮する14). 3.2 血行再建の手段

いずれの症例においても,抗凝固療法などの治療と重症度判定を早急に行うとともに,カテゴリーI,IIaの症例では迅速な,カテゴリーIIbの症例では緊急の血行再建を行う必要がある15).一方,カテゴリーIIIの症例では,血行再建に伴う虚血再灌流障害による多臓器不全のリスクが高まるため,血行再建よりも不可逆的変化に陥っている組織の切断を選択する15).血行再建の手段としては,手術(外科的血栓塞栓除去術やバイパス術など)とEVT(CDT,経皮的血栓吸引療法,ステント留置術など),そして双方を併用したハイブリッド治療が選択肢になる.

欧米からはCDTの良好な成績が報告されているが,その多くでは,わが国でALIに対して使用できないtPA製剤や,わが国の保険上で使用可能な上限を大きく超えた量のUK製剤が使用されている5-8).手術とCDTを比較したメタアナリシスでは両者の成績に差はないとされているが27),わが国では使用可能な薬剤が限られるため,手術による血行再建が第一選択となっている.動脈硬化性疾患を合併し,外科的血栓塞栓除去術が困難な場合や,施設に外科医が存在しない場合,あるいは患者の全身状態や時間的制約などで外科的血栓塞栓除去術が困難な場合は,代替療法としてEVTが選択される.しかし,現在わが国では実質的にUK製剤がほぼ使用できないことから,CDTの施行は著しく制限されている.一方,経皮的血栓吸引療法において,2023年に機械的に血栓を吸引するシステムであるINDIGOシステムがわが国においても使用可能となっているが,欧米からはその良好な成績が報告されている12, 28-30).

3.3 手術

手術には,動脈のカットダウンによるFogartyバルーンカテーテルを用いた外科的血栓塞栓除去術,バイパス術,そして補助的に行う血栓内膜切除術,パッチ血管形成術などがある31).外科的血栓塞栓除去術の場合,局所麻酔下での施行も可能であるが,鎮痛,鎮静,再灌流時の不整脈などに備え,可能な限り麻酔科医の管理の下で施行する14).外科的血栓塞栓除去術は,X線透視下にオーバーザワイヤー血栓除去用カテーテルを用いて,標的病変にワイヤーを通過させたうえで選択的な血栓塞栓除去を行うことが推奨される4).X線透視下でバルーンの挙動やカテーテルの抵抗を確認し,バルーンの大きさを調整しつつ血栓塞栓除去を行うことで,過膨張に伴う血管穿孔や内膜損傷に伴う解離を回避することも可能である.また,血栓塞栓除
p.10
去後には血管造影を行い,流入・流出動脈の残存狭窄や閉塞などを評価し,必要であればそのままEVTを追加(ハイブリッド治療)するので,X線透視を用いない盲目的な外科的血栓塞栓除去術は好ましくない14. 16, 17).

外科的血栓塞栓除去術やハイブリッド治療を行っても末梢への十分な血流が得られないと,バイパス手術が必要になる場合もあり,動脈硬化性疾患を背景としたALIが増加している現状において,こういった症例も増加しつつある.また,カットダウンした部分に既存の動脈硬化性病変がある症例に対しては,血栓内膜切除術やパッチ血管形成術を,バイパスグラフト閉塞で吻合部狭窄を伴う症例に対しては,吻合部形成術を併施することもある.血栓を伴う膝窩動脈瘤が原因であった場合は,肢切断の頻度が高いためとくに注意を要する32, 33).下腿のびまん性の血栓塞栓のため末梢のrun-offが不良な場合には,外科的血栓塞栓除去術やEVTによりrun-offを得てから,膝窩動脈瘤の空置とバイパス術を行う31). 4 血管内治療(EVT)

4.1 EVTにおける血栓吸引デバイスの導入

EVTの適応となるのは,1動脈硬化性疾患の重症度が高く,血栓除去カテーテルの挿入が困難,あるいは血栓除去後に残存プラークがある場合,2全身状態が手術療法に適さない場合,3医師の陣容などの理由から手術による迅速な血栓除去が困難な場合などであり,代替療法として, EVTでの血行再建が選択されている.Veenstraら34)によるシステマティックレビュー(対象論文10件)において, EVTと手術療法を比較した結果は,30日後,6ヵ月後および1年後の救肢率のオッズ比(95%CI)は0.96(0.53~

急性の下肢痛

臨床所見,末梢動脈・静脈ドプラ音聴取

急性下肢動脈閉塞

ヘパリン静注(5,000単位あるいは70~100単位/kg)

カテゴリー I救肢可能

準緊急で血行再建*緊急で血行再建*

虚血再灌流障害の兆候について

評価MNMSと診断→重炭酸塩・利尿薬投与,血液透析など

* 血栓塞栓除去手術は,血管造影が可能な手術室でオーバーザワイヤー血栓除去カテーテルを用いて透視下で行う** 内圧測定に関して,減張切開を行うカットオフ値に関して一定の見解はない

コンパートメント症候群と診断→減張切開を速やかに施行**

保存的加療待機的血行再建カテゴリー IIa危機的(境界型)カテゴリー IIb危機的(即時型)カテゴリー III

不可逆的

切断

画像診断

塞栓・血栓の原因疾患,背景病態への対応

図1急性下肢動脈閉塞の診断と治療アルゴリズム(2022 年改訂版 図3) 1)⦆
p.11
1.74),1.11(0.76~1.61),1.28(0.82~1.98)と差はみられなかった.一方,大血管イベントのオッズ比は手術療法群で0.33(0.13~0.87)と低いことが報告されている.

2022年にUKが供給停止されたことに伴い,従来より施行されてきた急性下肢動脈閉塞に対する血栓溶解療法のみならず,UKを併用する治療法は困難となっている.そのため2023年に,血栓吸引デバイスであるINDIGOシステムが特例的に承認された.その適応は従来のEVTと同様であり,急性下肢動脈閉塞の第一選択は手術療法である.急性下肢動脈閉塞150人(初発例102人,各種治療[EVT,バイパス,Fogarty]後48人)に対するINDIGOシステムを使用した血栓吸引療法を評価したINDIAN試験28)では,対象を冠動脈から末梢動脈に変更したThrombo-aspiration In Peripheral Ischaemia(TIPI)スコア(0:閉塞病変再開通なし,1:末梢への血流再開ないが不完全な再疎通,2:末梢への不十分な血流再開を認める再開通,3:末梢への完全な血流再開)を用いて評価を行った.

術前はTIPI 0 が84%,TIPI 1 が13.3%,TIPI 2 が2.7%であったが,血栓吸引デバイスのみによる治療後にはTIPI 0 が4.7%,TIPI 1 が6.6%,TIPI 2 が34.7%,TIPI 3 が54%へと改善した.さらに,残存する動脈硬化性病変には血管形成術やステント留置を施行し,残存血栓病変にはtPA製剤などを使用する追加治療を行うことで,TIPI 0は1.3%,TIPI 1 は3.3%,TIPI 2 は19.3%,TIPI 3 は76%と著明に改善したとしている.重篤な合併症として危惧された血管損傷と在院死亡はなく,1ヵ月以内の死亡は全身状態が悪化した1人のみで,膝窩以下での下肢切断症例も1人であった.続くINDIAN Up 試験29)では,技術的成功を1ヵ月後のTIPI 2~3への改善と定義し,技術的成功率は96.4%,1ヵ月後生存率97.2%,下肢救済率97.6%であった.手技に関連した重篤な合併症はなかった.250人中158人(63.2%)に二次治療が施行されている.その半数になる79人で残存血栓があったために二次治療が行われており,うち47人でtPAもしくはUKが使用されていた.これらが使用できないわが国では,今後これらの症例のマネージメントを検討する必要がある.ただし,INDIGOシステムによる血栓吸引デバイス単独での成績は比較的良好であった.

MaldonadoらによるSTRIDE研究12)とその1年間のフォロー30)では,30日救肢率は98.2%と高く,30日死亡率は3.4%,1年後の救肢率は88.5%,死亡率は12%であり,従来のCDTや外科治療に比べ良好な成績であった.またINDIGOシステムの使用にあたっては血液の過剰吸引が課題とされ術者の役割分担や慣れが必要とされているが,この報告では血液吸引の電子制御が可能な新しいLightningというシステムが4割以上の症例に使用され,血液吸引量

が400 mL以下の症例が82.8%であったと報告している.ただし血栓吸引術にあたってtPAによる血栓溶解療法が19.3%で使用されている.

今後,外科的血栓除去術の代替案としての血栓吸引術が期待され,さらにINDIGOシステムの新システムであるLightningシステムの導入が期待される.

4.2 ハイブリッド治療(外科的血栓塞栓除去 術+EVT)

かつてはリウマチ熱に伴う弁膜症や心房細動などに起因する純然たる塞栓症が患者の多くを占めていたので,外科的血栓除去術のみで完結することが多かった.近年は生活様式の欧米化と高齢化に伴い,下肢閉塞性動脈疾患(LEAD)患者が増えてきたので,それに伴いLEAD合併のALIも多くみられるようになった35, 36).ALI診療では,ほとんどが緊急対応を要する患者であり,術前の情報が乏しいことが多く,また病歴があってもLEADに関する情報は精査されておらず不明なことも多い.このためLEAD合併患者がいることを念頭に,LEADのリスクファクターの有無を確認することや,画像所見(動脈の石灰化や健側の血管の状態)などからLEADの合併を疑って治療を開始することが必要である18).さらに,対側下肢の血管造影所見が病側下肢の背景病変を示唆するので,ALI手術に際して参考にする.

LEAD患者にALIが発生した場合,外科的血栓除去術のみでは残存するLEAD病変によりすぐに再発する可能性が高いことから,血栓除去後にLEADの治療を同時に行うハイブリッド治療の役割は大きい.外科的血栓除去術後に血管造影を行い,残存病変やLEADの評価を行ったうえで,EVT(経皮的血管形成術)を行うことがおもなハイブリッド治療の流れであり,外科的血栓除去術の延長線上に存在するといえる.なお,「3.3 手術」にも書かれているが,外科的血栓除去術は透視下に施行し,適宜,血管造影を行いながら施行することが重要である.外科的血栓除去術は単独でも完結することは決して少なくはないが,外科的血栓除去術とハイブリッド治療を比較するとハイブリッド治療が有効であったとの報告もあり,外科的血栓除去術後に必要に応じてEVTで補完することは重要である18).

ハイブリッド治療は有効な方法であると思われるが,いまだエビデンスが少ない.外科的血栓除去術,EVT,ハイブリッド治療を比較した報告でも,ハイブリッド治療が他の治療より優れているという大規模データの報告はない.
p.12
一方,国内で比較した報告もあり,治療成績に有意差はないとされているが,比較試験ではなく,選択バイアスを考慮すると,単純比較は難しい37).ALIでは,治療法の優劣以外にも,時間的な制約が成績に影響を与えるので,治療方法のみの成績の比較は難しい.ハイブリッド治療は外科手術とEVTのそれぞれの要素が入っており,ハイブリッド治療のみのエビデンスはまだ少ないが,EVTと外科手術の良い部分を併せて行うことが可能であり,可能な限り手術やEVT単独ではなく,ハイブリッド治療が可能な医師あるいは医師団と施設で治療を行うことが重要である15).これらのことから,今回のフォーカスアップデート版では,血栓除去カテーテルの挿入が困難,もしくは困難なことが予想される場合にハイブリッド治療による血行再建を行うことは,エビデンスレベルCであるものの,エキスパートコンセンサスとして推奨クラスIとした15, 35).

5 後療法

5.1 虚血再灌流障害

虚血状態の組織に血流が再開すると,局所で産生された毒性物質により局所性および全身性の重篤な障害が惹起される(虚血再灌流障害).局所性の虚血再灌流障害がコンパートメント症候群であり,全身性の虚血再灌流障害が筋腎代謝症候群(MNMS)である.

5.1.1 コンパートメント症候群

虚血によって障害された組織に血流が再開すると筋肉などの組織の浮腫が生じ,筋膜に囲まれたコンパートメントの内圧が急上昇して周囲血管や神経を過度に圧迫することで虚血や神経障害を惹起する.これがコンパートメント症候群であり,患肢の腫脹,疼痛,冷感,神経障害などから診断されるが,診断に苦慮する場合は各コンパートメントの内圧を測定して診断を確定する.筋組織の内圧は通常8 mmHg以下であり,20~30 mmHg以上で本症候群と診断する.

本症候群による虚血が6~12時間以上持続すると,筋肉や神経に不可逆的な変化が生じる.したがって,本症候群と診断された場合には発症から6時間以内の可及的早期に筋膜切開を施行する必要がある14, 19).重症度カテゴリーIIa, IIbの虚血肢に対しては血行再建直後の予防的筋膜切開を考慮してもよい38).筋肉量が多く,コンパートメント区画が多い下腿におい

て発症することが多く,前方,側方,浅後方,深後方のすべを確実に開放しなければならない.筋膜切開後は,感染や切開創治癒遅延などに留意して管理する14).開放創に対しては局所陰圧閉鎖療法(NPWT)も有用である.

5.1.2 MNMS

虚血時間が長くなると,筋肉など軟部組織の細胞壊死が進行し,乳酸,カリウム,ミオグロビン,クレアチンキナーゼなどが局所に蓄積される.治療により血流が再開すると,これらの代謝物質が全身に放出され,代謝性アシドーシス,高カリウム血症,致死的不整脈,急性腎不全,呼吸不全などの重篤な多臓器障害を引き起こす39).MNMSの発症予防や治療として確立された方法はなく,予兆があれば重炭酸塩や利尿薬の投与を行い,乏尿やカリウム高値を認めれば血液透析の導入を考慮する.MNMSの致死率は依然として高いため,重症度カテゴリーIIIの虚血肢に対しては大切断を第一に考慮することとなる40).

5.2 血行再建後の薬物療法

急性下肢動脈閉塞の治療後は,再発を防ぐために原因検索が必要である.もっとも一般的なのは心房細動や心筋梗塞を背景とした心原性塞栓,そして大動脈の壁在血栓による塞栓に代表されるアテローム塞栓症であり,その検索のために心エコー検査,24時間心電図,胸腹部の造影CT検査などが推奨される.また,患者が比較的若年(60歳以下)の場合は,悪性疾患と血栓性素因の検索を積極的に考慮する23, 24).

心原性塞栓による急性下肢動脈閉塞患者に対する抗凝固療法の有効性は確立している21).古くからワルファリンが用いられてきたが,昨今では,出血性合併症のリスクが低い直接阻害型経口抗凝固薬(DOAC)の使用を積極的に考慮する14, 22).一方,心内血栓やその原因が確認されていない患者に対する抗凝固療法は,確立した治療ではないが考慮してもよい14, 22).

動脈硬化や膝窩動脈瘤が原因の急性下肢動脈閉塞患者においては,通常のPAD二次予防としての抗血小板薬投与やスタチンの投与が推奨される41).また,血行再建方法としてEVTが選択された場合,治療デバイスに準じた抗血栓療法を行うことを考慮するが,複数の抗血栓薬を使用する場合は出血リスクを十分に勘案する.VOYAGER PAD試験において,血行再建(外科的バイパス手術もしくはEVT)後に,アスピリン100 mg/日に低用量のリバーロキサバン(2.5 mg 1日2回)を加えると,大出血を増やさず
p.13
に,ALIを含む複合アウトカムの発生を低下させることが報告された42).これを受けて,わが国においてもリバーロキサバン2.5 mg錠が下肢血行再建後のPAD患者に対し保険適用となっている.PADを合併したALI患者への血行再建後に同薬剤の投与も考慮してよいだろう.

6 腹部内臓動脈

6.1 急性腸間膜動脈閉塞の治療

推奨表2急性腸間膜動脈閉塞の治療の推奨とエビデンスレベル(2022 年改訂版 表54)

推奨クラスエビデンス

レベル

血栓症による急性腸間膜動脈閉塞症例にはEVT を血行再建の第一選択として考慮する43-45). IIa B塞栓症による急性腸間膜動脈閉塞症例にはEVT と開腹手術のどちらも治療手段として考慮する43-45). IIa B開腹血行再建後では,腸管虚血の有無を確認するためにsecond look operationを考慮する43, 44). IIa C 2022年改訂版からの変更点:引用文献

上腸間膜動脈(SMA)の急性閉塞を生じた場合,末梢側に限局した塞栓症例では腸管切除のみで救命が可能になる場合があるが,より起始部に近い閉塞を伴う大多数の症例では速やかな血行再建が必要となる.外科的血行再建としては,開腹下の血栓除去術やバイパス術が行われる. EVTには,血栓吸引療法,血栓溶解療法,狭窄部に対するステント留置術などが含まれる.ただし,従来SMA閉塞症に対してわが国で使用されてきたUK製剤が供給不足のためほぼ使用できなくなり,血栓溶解療法の施行は著しく制限された.一方,これまで血栓吸引療法はガイディングシースやカテーテルを用いて用手的にシリンジで陰圧をかけて施行されてきたが46, 47),2023年には機械的に血栓を吸引するINDIGOシステムが使用可能となった.急性腸間膜動脈閉塞に対する機械的血栓吸引療法の報告は急性下肢動脈閉塞に比べると少ないが,比較的良好な治療成績が報告されている48-51).血行再建前後の腸管のviabilityの直視下確認や逆行性ステント留置などの観点から,外科的治療とEVTを組み合わせたハイブリッド治療も非常に有用である.術前の臨床所見,CTなどの画像所見から,腸管壊死や腹膜炎の有無,病因(塞栓症か血栓症か)を診

断し,治療方針を決定する43).腸管のviabilityに関しては,臨床所見や検査所見から判断することが難しい場合も少なくなく,試験開腹での評価がもっとも信頼性が高い.

塞栓症では,中結腸動脈起始部近傍でSMA本幹が閉塞することが多い43, 44).開腹下で血栓除去を施行する場合,通常は横行結腸間膜根部近傍でSMAを露出し,動脈を切開して3~4 Frの血栓除去用バルーンカテーテルを用いて塞栓を摘除する.EVTで血栓吸引を行う場合は,大腿動脈または上腕動脈からSMAにガイディングシースやカテーテルを挿入する.腹部大動脈とSMA近位部のなす角度が小さい症例では,大腿動脈からのアプローチが難しい可能性がある.

血栓閉塞は,発症前から存在していたSMA起始部の動脈硬化による狭窄が増悪して生じることが多い43, 44).外科的血行再建としては,大動脈あるいは腸骨動脈をinflowとするバイパス術が行われる.しかし,SMAの血栓閉塞症例では,しばしば大動脈や腸骨動脈の硬化性変化が高度であり,また全身状態が不良で手術リスクが高く,外科的血行再建が困難であることも多い.また,血栓閉塞部は高度石灰化を伴っていることが多く,経皮的なEVTが施行できないケースも少なくない.近年,開腹下でSMAを露出し,逆行性に閉塞部にアプローチしてEVTを施行するハイブリッド治療retrograde open mesenteric stenting(ROMS)の比較的良好な成績が報告されており,腸管のviabilityの確認ができる長所もあるため有用な治療法である52, 53).

血栓閉塞症例では外科的治療に比べEVTの成績が良好であることを示唆する報告が散見されるが,塞栓症については外科的治療とEVTの治療成績に明らかな差はない43-45).腸管壊死が疑われる場合は,開腹下での腸管の観察および壊死腸管の切除が必要であり,経皮的なEVTを先行して施行するより外科的血栓除去術やROMSを選択する方が迅速な腸管血流再開につながる.EVTを施行した場合は,最終血管造影で腸管壁の血流評価が可能である.外科的血行再建後は,術中血管造影での評価が困難な場合も多いが,そういったケースでは蛍光色素静注法が腸管血流評価に有用である54).

血行再建の直後は,不可逆的な虚血性変化の有無を判断することが難しいことも多く,また術中に生じた末梢側の塞栓症や術後の脱水,循環動態の悪化によって腸管虚血が進行する可能性があるため,慎重な経過観察が必要である.血行再建後にSMAにカテーテルを留置し,持続的に血管拡張薬を投与する場合もある.開腹術後においても,腸管壊死の有無を確認するために初回手術の24~48時間後のsecond look operationを考慮する43, 44).
p.14
第2章 抗血栓療法

推奨表3 LEAD 血行再建後の抗血栓療法の推奨とエビデンスレベル

推奨クラスエビデンス

レベル

下肢バイパス術後の抗血栓療法においては,グラフトが静脈か人工血管かにかかわらず,出血リスクを評価の上,低用量リバーロキサバンをアスピリンに追加することを考慮する42, 55-57). IIa B

1 外科的バイパス術後

下肢バイパス術後における抗血栓療法の目的は,バイパスグラフト開存率の改善(血栓症による早期グラフト閉塞と,吻合部もしくは静脈弁近傍の内膜肥厚による中長期のグラフト閉塞の予防),肢予後の改善,そしてpolyvascular diseaseにおける心血管イベントの二次予防である.抗血栓療法は,抗血小板薬,抗凝固薬,線維素溶解薬に大別されるが,下肢バイパス術後においては主として抗血小板薬が使用されてきた.しかし近年,抗血小板薬にXa因子阻害作用を持つ経口抗凝固薬を併用するdual pathway inhibition(DPI)の利点に関するエビデンスが加わった.

● 下肢閉塞性動脈疾患(LEAD)における下肢切断,

心血管死亡,心筋梗塞などの予防には抗血栓薬が有効である. ● 抗血栓薬は抗血小板薬と抗凝固薬に大別できる.

心筋梗塞予防などの抗血栓効果に相応した重篤な出血性合併症リスクの増加が抗血栓薬では不可避であり,LEAD治療においても症例ごとの血栓イベントリスクに応じた個別最適化が必須である.

ステートメント1.1

人工血管を用いたバイパス術後

1.1.1 抗血小板療法

鼠径靭帯以上の動脈領域においては,人工血管を用いた外科的バイパス術後のグラフト閉塞予防における抗血小板薬投与の要否について,明確なエビデンスはない.一方で,鼠径靭帯以下の動脈バイパス術後の抗血小板薬(アスピリン)投与は,バイパスグラフトの1年開存率を改善すると報告されているが,その効果は主に人工血管バイパスにおいてのみであった58).

バイパス術後の開存率改善目的に施行されたアスピリン単独による抗血小板薬単剤療法(SAPT)とアスピリン+クロピドグレルによる抗血小板薬2剤併用療法(DAPT)のRCTであるClopidogrel and Acetylsalicylic Acid in Bypass Surgery for Peripheral Arterial Disease(CASPAR)試験では,DAPTの優位性は認められなかった59).しかしながら,人工血管バイパスのサブグループ解析においては,DAPTによる開存率改善効果が示されている.同様に,DAPTは全体としてバイパスグラフトの開存率を向上させないが,人工血管のサブグループでは開存率向上と関連することは,米国の大規模データベースでも確認されている60).したがって,人工血管による鼠径靭帯以下バイパスでは,術後6~ 24ヵ月間のDAPT投与を考慮してもよい.長期的な利益と出血性合併症リスクのバランスについては不明である.

1.1.2 抗凝固療法

下肢バイパス術後のワルファリンを用いた経口抗凝固療法の開存率改善効果について複数のRCTが行われたが,総じて人工血管グラフト開存への効果は限定的である一方で,出血性イベントは明らかに増加する58, 61-63).アスピリン単剤と比較し,アスピリン・ワルファリン(PT-INR 1.4 ~2.8)併用療法では死亡と出血イベントが多く,バイパス開存率の改善効果は小口径人工血管の場合に限られた63).これらに基づき,LEAD患者での血行再建後の二次予防を目的としたワルファリン投与は,出血リスクを助長するた
p.15
め,基本的には推奨されない.したがって,外科手術後のアスピリン内服への恒常的な抗凝固薬(ワルファリン)の追加投与は推奨されない63, 64).

1.2 自家静脈を用いたバイパス術後

自家静脈グラフトに関しては,人工血管グラフトと比較すると抗血栓療法が開存率に与える影響に関するエビデンスは乏しいが58),心血管イベントの二次予防の観点から,抗血小板薬単剤の長期投与が一般的に行われている.

抗凝固薬(ワルファリン)に関しては,下肢バイパス術後のRCTで,静脈グラフト使用例ではワルファリン(PT- INR 3.0~4.5)のほうがアスピリン80 mg/日と比較してグラフト閉塞のリスクが低かったが,重篤な出血リスクが多かった62).しかし,spliced vein graftやpoor runoffといったグラフト閉塞リスクが高い状況に置かれた患者においては,出血リスクが低ければ追加投与を考慮してもよい58, 61, 65).

1.3 抗血小板療法と抗凝固療法の併用(DPI)

抗血小板薬にXa因子阻害薬を併用するDPIは,まず急性冠症候群の患者を対象として検討されたが66, 67),心血管イベントの低下に寄与するものの,大出血の増加が問題とされていた.その後,主に安定した心血管病患者(冠動脈疾患もしくはPAD,冠動脈疾患は20年以内の心筋梗塞歴,有症状もしくは狭心症の既往のある多枝病変,多枝病変に対するPCIもしくはCABGと定義,PADは跛行症状を有しABI低下もしくは下肢動脈狭窄を認めるもの,下肢血行再建歴,PADによる下肢もしくは足部の切断歴,頸動脈狭窄を有する患者と定義された)を対象として2013年よりCardiovascular Outcomes for People Using Anticoagulation Strategies (COPMASS)試験が行われ68),アスピリンと低用量のリバーロキサバンの併用群ではアスピリン単独群と比較してMACE(心血管死亡/脳卒中/心筋梗塞の複合)が有意に抑制されたが,大出血も有意に増加していた.そのサブ解析において,PAD患者に対するこのレジメンがMACE(心血管死亡/脳卒中/心筋梗塞)のみならずMALE(大切断/新たな急性ないし慢性下肢虚血)を減少させることが示されていた69, 70).

2015年より下肢血行再建術後の患者を対象としたVascular Outcomes Study of Acetyl Salicylic Acid Along With Rivaroxaban in Endovascular or Surgical Limb Revascularization for Peripheral Artery Disease(VOYAGER PAD)試験が,日本も参加して行われ42),下肢血行再建術(バイパスと血栓内膜摘除からなる外科手術,EVT,それ

らのハイブリッド治療を含む)が成功した術後10日以内の患者を対象とし,出血リスクが高い患者は除外された.アスピリンへの低用量のリバーロキサバン(2.5 mg 1日2回)の追加投与では,プラセボと比較して,主要複合評価項目(ALI/血管疾患が原因の大切断術/心筋梗塞/虚血性脳卒中/心血管死)の推定発生率が低下した(17.3% vs. 19.9%,観察期間中央値28ヵ月).大出血の推定発生率は,ISTH基準では併用群が高かったが(5.94% vs. 4.06%), Thrombolysis in Myocardial Infarction(TIMI)分類では有意差がなかった(2.65% vs.1.87%).

この試験においては術後6ヵ月までのクロピドグレルの使用が許容されており,実際に約半数の症例に使用されたため,クロピドグレル併用の影響に関する解析も行われた71).クロピドグレルの30日以下の短期併用では,アスピリンと低用量リバーロキサバン併用のリスク・ベネフィットは変化しなかったが,クロピドグレルを30日以上併用した群では出血イベントが増加していた.

VOYAGER PAD試験の登録患者6,564人のうち2,185人(33%)が外科手術による血行再建後であり,そのサブグループ解析でも本試験と同様にアスピリンと低用量リバーロキサバンの併用群で複合評価項目の発生率の低下が確認された55).プラセボとの比較で,主要複合評価項目(ALI/血管疾患が原因の大切断術/心筋梗塞/虚血性脳卒中/心血管死)の3年推定発生率が低下した(19.7% vs. 23.9%).TIMI分類の大出血の推定発生率には有意差がなく(1.3% vs. 1.4%),致死的出血,頭蓋内出血,再手術を要する出血にも差を認めなかった.

バイパス術後のSAPTとDAPTを比較した唯一のRCTであるCASPAR試験の主要評価項目と同じ評価項目(急性下肢虚血,予定外の追加血行再建,肢大切断,心血管死からなる複合評価項目)も比較された.CASPAR試験においてDAPTのSAPTに対する優位性が認められなかった結果とは対照的に,アスピリン・低用量リバーロキサバン併用のDPIではSAPTに対する優位性が示された(1年時ハザード比0.76,3年時ハザード比0.84)

56).

バイパス導管の種類による影響を検討したサブ解析では,外科手術を受けた2,185人のうちバイパス術施行例は1,485人(66%)で,その内訳は人工血管使用773人(53%),静脈グラフト使用646人(45%)であった.プラセボ群における予定外の追加血行再建のリスクは,人工血管使用では静脈グラフト使用の2.5倍,同様にALIのリスクは3倍であった.人工血管使用と静脈グラフト使用のいずれの状況においても,リバーロキサバン併用群でMALEが低下していた(静脈はハザード比0.66,人工血管はハザード比
p.16
0.87) 57).

CLTIコホートのサブ解析では72),リバーロキサバン併用群で予定外の追加血行再建の3年推定発生率が3.4%減少した.血行再建方法の種類別では,EVTで6.7%の減少,外科手術で2.1%の減少と,いずれにおいても利益が認められた.

VOYAGER PAD試験の結果を受け,わが国でも2022年より低用量のリバーロキサバンが下肢血行再建術施行後のPADの血栓・塞栓形成の抑制を効果・効能として保険収載され,使用可能となっている.VOYAGER PAD試験にはわが国からの登録例も含まれているが,その症例数は少数であり,出血リスクを含めたわが国での最適な患者選択と長期的なリスク・ベネフィットのプロファイルについてはまだ十分に検討されていない.このため,欧米のガイドラインではクラス1の推奨がなされているが,本フォーカスアップデート版では出血リスクが低い患者に対する血行再建後の薬物療法として低用量のリバーロキサバン(2.5 mg 1日2回)とアスピリンの併用を推奨クラスIIa,エビデンスレベルBとした.今後,わが国における症例の集積により,出血リスクが低い患者に対する推奨度の変更が考慮される.

ただし,本研究からはeGFR 15 mL/min/1.73 m 2未満の高度腎機能低下例は除外されていたため,DOACの恩恵が重症CKDを合併したLEAD患者では示されていないことが重要である.

2 EVT術後

2.1 抗血小板療法

抗血栓療法は,本来は腸骨動脈,大腿膝窩動脈,膝下下腿動脈の領域別に区別して考慮する必要があるが, EVT術後の症例は一般的に多区間に病変を有することが多いために,EVT治療対象部位というよりはEVTにおけるfinalizing deviceによって区別して考えることが多い.腸骨動脈領域であればpercutaneous transluminal angioplasty(PTA)あるいはベアメタルステント(BMS)が使用され,大腿膝窩動脈領域では,interwoven nitinol stent(IWS)を含むベアナイチノールステント(BNS),薬剤溶出ステント(DES),薬剤コーテッドステント,薬剤コーティングバルーン(DCB)あるいはステントグラフト(SG)を使用することが多い.なかでも近年DCBの使用頻度が増えており,それに合わせて抗血小板療法を用いるこ

とが多い.膝下下腿動脈については,現時点ではステント治療は適応外であるので,抗血栓療法は1剤のみか,あるいは合併症があればそれを優先した治療レジメンが適用される.

これまで多くのデータが示しているとおり,LEADのみを対象とした1次予防においてはアスピリン投与の有効性は疑問視されてきたが,血行再建後に行われる2次予防においてはアスピリンは基礎治療薬に位置づけられ,冠動脈ステント留置後のステント血栓症予防レジメンに準じて, EVT後の抗血栓療法として治療後一定期間のDAPT継続が慣例となっている(図2)

1).

抗血栓療法の選択においては,1DAPTの必要性,2至適DAPT期間,3心房細動,機械弁置換術などの合併疾患による経口抗凝固薬内服患者に対するDAPT,4腎機能障害など出血高リスク患者に対するDAPT,5血栓症高リスク患者に対するDAPTに関して,finalizing deviceの種類に加えて,個々の患者背景を踏まえた検討が必要である.ここでいうDAPTとはアスピリンにP2Y12受容体拮抗薬(クロピドグレルなど)を加えたものを指しており,シロスタゾールはDAPTに含めない.

2.1.1 PTAまたはBNS留置後

1~3ヵ月のDAPTが望ましいとされている(各デバイスのinstruction for use[IFU]での規定は臨床試験結果に基づき異なる).大腿膝窩動脈病変に対しては,6ヵ月間のDAPT群(アスピリン+クロピドグレル)でSAPT群(アスピリン)に比べ1年後のtarget lesion revascularization (TLR)が有意に少ないとの報告がある73).大腿膝窩動脈病変においてシロスタゾールの再狭窄予防効果が報告されており,PTAやBNS留置後には追加を考慮する74, 75).また,CLTI患者の大切断回避にシロスタゾールが寄与する可能性がわが国から多く報告されており,考慮する76).

2.1.2 DCB使用後

国内試験結果より,少なくとも1ヵ月以上のDAPTが望ましいとされている77).DCB不成功に対するステント追加留置症例においては,少なくとも3ヵ月のDAPTが望ましいとされている。

2.1.3 DES留置後

国際共同治験結果から,2ヵ月(DCS)もしくは3ヵ月(DES)のDAPT投与が望ましいとされている78).DAPT継続群はステント血栓症の発生率が低いとの報告もあり,血栓リスクが高く,忍容性の高い患者群に対しては,より
p.17
長期のDAPT継続を考慮する.

2.1.4 SG留置後

大腿膝窩動脈病変に対するSG治療後は,国内試験結果から少なくとも6ヵ月以上のDAPT継続投与が望ましいとされている.バルーン拡張型ステントグラフトに関しては,国内試験の結果から6~9ヵ月程度のDAPTが望ましいと考えられる.至適DAPT期間に関しては,患者や病変の血栓リスクおよび出血リスクなどを勘案して決定する. DAPT不耐でなければ投与継続とすることが望ましい.SGの血栓閉塞リスクについては,血管超音波検査による閉塞の予兆の検出,早期の介入が重要であるが,DAPTにシロスタゾールを併用することで改善が示唆されている79).

大腿膝窩動脈病変に対するSG留置術後は可及的DAPT継続が望ましい一方で,わが国におけるリスク評価に関する検討は十分とはいえない.VANQUISH研究では血管径以外にSG閉塞リスクは明らかになっておらず,抗血栓薬レジメンが長期開存に与える影響についてはさらなるデータの蓄積が必要である.また,CAD・頸動脈疾患合併例や同時期の治療例,抗凝固薬内服患者,外科的手術などに伴う抗血栓薬の一時休止に関してもエビデンスの蓄積が必要と考えられ,今後の検討が待たれる.

2.2 抗凝固療法

1.3 の項の記載の通り,無作為化前向き研究である

VOYAGER PAD試験では,LEAD患者における外科的あるいはEVTによる血行再建術後の低用量リバーロキサバン(2.5 mg 1日2回投与)の有効性が示された42).

本試験では登録時の血行再建術として,EVTが67%,外科的血行再建が33%に施行されており,それぞれのサブグループ解析が報告されている.EVT術後におけるアスピリンとリバーロキサバンの併用効果の検討では,追跡期間中央値2.5年(2.0~3.0年)で,リバーロキサバン併用群ではアスピリン単剤群と比較して,急性下肢虚血,血管性に起因する下肢大切断の発生率がが30%低下することが示された(ハザード比0.70,95%CI 0.54~0.90,P= 0.005) 80).TIMI大出血はリバーロキサバン併用群で有意に増加したが(ハザード比1.66,95%CI 1.06~2.59),頭蓋内出血や致死的出血性合併症の増加は3年間で0.9%にとどまり,有意差は認められなかった(ハザード比0.86, 95%CI 0.40~1.87,P=0.71) 80.以上より,外科的血行再

投与期間PTA/BMS/DCB/DES SG人工血管自家静脈

動脈硬化性LEAD

症候性(非血行再建例)

入院中

SAPT Class I Level A SAPT

Class IIb Level B

SAPT Class IIa Level C SAPT

Class IIa Level C SAPT

Class IIb Level B

DAPT 1~3M

Class IIa Level C DAPT

6~9M Class IIa Level C

血管内治療例外科的血行再建例

Cil*

12M DAPT 6~24M Class IIb

Level C 3ヵ月6~9ヵ月

1~2年

長期

図2 LEAD への血行再建術後の薬物療法とその投与期間(2022 年改訂版 図16) 1)⦆

BMS: bare-metal stent (bare-nitinol stent を含む), Cil: シロスタゾール, DAPT: dual anti-platelet therapy, DCB: drug-coated balloon, DES: drug-eluting stent, PTA: percutaneous transluminal angioplasty, SAPT: single anti-platelet therapy, SG stent graft *シロスタゾールは大腿膝窩動脈病変に対するPTAもしくはbare-nitinol stent留置後に考慮される.
p.18
建術のみならずEVTにおいても,DPIが術後イベントの予防に有効であることが示されている.

LEADに対する血行再建術後に低用量DOACを併用するという選択肢が増えた一方で,医療コストを踏まえてどのような患者群に使用することが望ましいか,患者背景,病変やfinalizing deviceにより適応を個々に検討する必要がある.国外のデータではクロピドグレルに対するコスト圧縮効果が示唆された報告がある一方で81),わが国における研究はなく,現時点においては低用量DOACの併用は,通常のDAPTに比較して血栓リスクの高い症例が対象になると考えられる.とくに血栓イベントの既往を有するDESあるいはSG留置後の患者は低用量DOAC併用の適応となるかもしれないが,現時点ではこれを支持するデータは乏しく,今後の検討課題である.

3 まとめ

バイパスグラフト,EVTデバイスなどの材質は経時的に改善されてきており,それにより局所の血栓性を低減でき

たインパクトは大きい.抗凝固薬,抗血小板薬もともに改善されてきたが,抗血栓療法は血栓イベントリスクが低減すればするほど重篤な出血イベントリスクが増加する側面を有し,常に両者のバランスが必要である.前述のように,血行再建術後の低用量リバーロキサバンによる臨床成績の改善を示すRCTが報告されたが,この出血イベントのジレンマを完全に克服する状況にはない.抗血栓療法を実施する場合には個々の症例の出血リスクを勘案することが必須である.

なお,禁煙,血糖管理,降圧,脂質低下などによる全身性の動脈硬化・血栓イベントリスクの低減効果は明白であり,包括的なリスク管理,いわゆる至適薬物療法が前提となることを忘れてはならない.

第3章 包括的高度慢性下肢虚血(CLTI)に

対する血行再建(バイパス/EVT)

● CLTIの血行再建(バイパス術とEVT)に関する最新

の大規模臨床試験はBEST-CLI試験とBASIL-2試験である. ● BEST-CLI試験(コホート1)は,外科的バイパス群

が有意に良好な結果であった. ● BEST-CLI試験(コホート2)は,両群間に有意差を

認めなかった. ● BASIL-2試験は,EVT群が有意に良好な結果であっ

た. ● 両試験の違いを理解して,臨床に応用する.

ステートメント鼠径靭帯以下の病変を有するsevere limb ischemiaへの

外科的手術とEVTを比較したBASIL試験82)の報告以降,鼠径靭帯以下へのEVTが積極的に施行されるようになった.わが国において外科的バイパス手術とEVTを前向きに比較したSPINACH研究では,治療群間で3年のAFSに差はなかった(52% vs. 52%,P=0.26) 83).この結果から,鼠径靭帯以下の病変を原因とするCLIにおいて,適切な患者選択にて施行された外科的バイパス手術とEVTにおいて,AFSに差がないことが示された.

近年,外科的バイパス手術とEVTの比較に関して,2つの大規模RCT(BEST-CLI試験84)とBASIL-2試験85))の結果が報告された(表5,表6).この2 つのランドマーク試験の背景と主要な結果を述べる.
p.19
1 BEST-CLI試験

BEST-CLI試験84)は,5ヵ国,150施設が参加し,鼠径靱帯以下の下肢動脈に病変を有するCLIを対象としたRCTである.本研究は,下肢表在静脈の有無によって2つのコホートに分かれている(コホート1:適当な大伏在静脈[GSV]がある群,コホート2:自家静脈を組み合わせて使用する必要がある群).主要評価項目は,全死亡またはMALEの複合であった.コホート1は外科的バイパス群が718人,EVT群が716人で,追跡期間中央値は2.7年であった.主要評価項目は,外科的バイパス群で302人,EVT群で408人に発生し,有意差をもってバイパス群でMALEfree survivalが高かった(ハザード比0.68,95%CI 0.59~ 0.79,P<0.001).コホート2は外科的バイパス群が197人, EVT群が199人で,追跡期間中央値1.6年の間に,主要評価項目は外科的バイパス群で83人,EVT群で93人に発生し,外科的バイパス群とEVT群の間にMALE- free survivalの差はなかった(ハザード比0.79,95%CI 0.58~ 1.06,P=0.12).コホート1では外科的バイパス手術の優位性が示され,コホート2では外科的バイパス手術とEVTの同等性が示された.さらに,副次評価項目(死亡, MALE,MACE[心筋梗塞,脳卒中],など)は両コホートで同等であった.

従来,提唱されてきたPatients risk estimation, Limb Staging, Anatomic pattern of disease(PLAN)コンセプ

ト86)では,外科的バイパス手術の適応に重要な「使用可能な自家静脈」が評価されておらず,BEST-CLIはその問題を解決している.また,MALEを再治療の項目に絞り,1治療有効性の面から深刻でない再介入を除外している点, 2治療効果はないが大切断になっていない状態を評価項目から除外している点は,実際の臨床現場に則していると考えられる.一方,EVT施行に重要な下腿動脈の解剖については考慮しておらず,EVT成功率が低い傾向があるという限界もある.

いくつかのサブ解析も報告されており,血行再建後30日以内の合併症については,MACE,死亡,重篤な有害事象(死亡/生命の危機/入院を要するもしくは入院期間延長を要する/重度機能障害/機能喪失/試験の安全性に関わるもの)において,コホート1,2ともに治療群間の有意差を認めなかった87).初回血行再建後の再血行再建については,major reintervention,any reinterventionはコホート1, 2とも外科的バイパス術の方が有意に少なく(コホート1:ハザード比0.37,P<0.001,コホート2:ハザード比0.53, P=0.007),再血行再建となった症例はともに早期の介入が多かった88).血行再建後のQOL(VascuQOL,EQ-5D, SF-12,PCS,MCS,SF-6D R2,pain numeric rating scale[PNRS])に関しては,術前,血行再建後30日,3ヵ月,12ヵ月,その後12ヵ月ごとに評価した結果,コホート1では両群ともに有意に改善していたが,VascuQOL,SF- 12,MCS,SF-6D R2,numeric rating scale pain ではEVT群の方が外科的バイパス術群より有意に良好であっ

表5 BEST-CLI とBASIL-2 の概要1

BEST-CLI84) BASIL-285)

登録期間2014年8月~2019年10月2014年7月~2020年11月サンプルサイズ2,100 600最終登録患者数1,830 345施設数150(米国,カナダ,フィンランド,イタリア,ニュージーランド) 41(英国,スウェーデン,デンマーク)主要評価項目全死亡またはMALEの複合AFS

副次評価項目• MALE(時期不問)または術後30日以内の死亡• minorな再治療• MACE • 重篤な有害事象• 全死亡までの期間(全生存期間) • 罹患肢の大切断までの期間• 初発MALEまでの期間• 初発MACEまでの期間発行年月日2022年11月7日2023年4月25日雑誌名N Engl J Med Lancet
p.20
た.コホート2でもすべてのHR-QOLツールにおいて,血行再建後,統計学的に有意な改善を認めたが,EVTと外科的バイパス術との差はなかった89).

2 BASIL-2試験

BASIL試験82)は2005年に報告された外科的バイパス術とEVTを比較した最初のRCTである.1999年から2004年に治療した452人の患者を外科的バイパス術優先群228人とEVT優先群224人に分けて比較した.英国の27施設で行われ,対象の平均年齢は70歳,約40%が糖尿病を罹患していた.さらに詳細な解析が2010年に公表され,外

科的バイパス術とEVTのどちらを先に行っても生存率とAFSに差はなかったと報告されたが,治療後2年以上生存した患者の解析では,外科的バイパス術群の生存率はEVT群よりも有意に良好で,AFSも良好な傾向であった.また,CLTI患者において人工血管を使用した外科的バイパス術の成績が極めて不良であることも示され,この結果がその後の治療に大きく影響を与え続けた.しかしながら,当時のEVTはバルーン治療に限定されており,75%の治療が大腿膝窩動脈領域に限定されたことから,次世代デバイスを用いた治療および,下腿動脈への治療を十分に評価する試験が必要であった.

BASIL-2試験85)は,そのような過程を踏まえ,膝下動

表6 BEST-CLI とBASIL-2 の概要2

BEST-CLI84)コホート1 (N =1434) BEST-CLI84)

コホート2 (N =396) BASIL-285)

(N =345)

バイパス術EVTバイパス術EVTバイパス術EVT

年齢(年) 66.9 67.0 68.4 68.8 72.4 72.5男性(%) 72.0 71.1 71.6 72.4 81 72.5糖尿病(%) 72.1 71.6 62.2 58.3 68 69血液透析(%) 9.4 11.8 12.8 10.1 6 3 Rutherford分類4(%) 20.3 20.0 29.4 30.2 13 11 Rutherford分類5(6) 79.7 80.0 70.6 69.8 87 89クロスオーバー(%) 3.5 0.4 1.0 2.0 7 3.5技術成功率(%) 98.3 84.7 100 80.6 96 80バイパス術大腿-膝窩動脈バイパス(%) 40 - 47.9 - 1 -大腿-下腿·足部動脈バイパス(%) 35.7 - 37.4 - 59 -膝窩-下腿·足部動脈バイパス(%) 15.7 - 8.4 - 40 - EVTバルーン血管形成術(%) - 52.7 - 47.2 - 60 BMS(%) - 39.3 - 43.1 - 10 DCB(%) - 27.8 - 25.1 - 0 DES(%) - 24.2 - 21.5 - 0 SG(%) - 8.6 - 12.8 - 0転帰全死亡(%) 33.0 37.6 25.9 24.1 53 45大切断術(%) 10.4 14.9 15.2 14.1 20 18 AFS(%) 43.3 52.4 41.1 38.2 37 47再治療(%) 9.2 33.1 14.2 25.6 5 19
p.21
脈への自家静脈バイパス術とEVTを比較したRCTであり,現状の治療法に則して再評価したものである.BASIL試験もBASIL-2試験も主要評価項目は一貫してAFSである.

BASIL-2試験の結果は2023年に発表された.3ヵ国, 41 の血管外科施設が参加し,172人が静脈バイパス群, 173人がEVT群に割り付けられた.2014年から2020年に行われ,追跡期間中央値40ヵ月間における死亡または大切断の発生は,外科的バイパス群で108人(63%),EVT群で92人(53%)であり(ハザード比1.35,95%CI 1.02~ 1.80,P=0.037),その発生率は有意差をもってEVT群が低かった.全死亡率は外科的バイパス群が53%,EVT群は45%で,外科的バイパス群で高かった(ハザード比1.37, 95%CI 1.00~1.87).再血行再建率は外科的バイパス群が5%,EVT群が19%(リスク比0.27,95%CI 0.13~0.55)とEVT群が高かった.クロスオーバー治療は外科的バイパス群が46人(27%),EVT群が33人(19%)に行われたが(リスク比1.43,95%CI 0.94~2.18),この結果は主要評価項目には含まれていない.この点がBEST-CLI試験との違いである.BASIL-2試験では,治療戦略として最適なEVTを最初に行う方がAFSを向上させるとしており,これはとくにEVT群の死亡数が少ないことが寄与していた.

3 まとめ

BEST-CLI試験では,良好な静脈資源がある患者ではバイパス群がEVT 群より良好な結果であったとし, BASIL-2試験ではEVT-firstアプローチはバイパスfirstアプローチより良好な結果であった.同じCLTIを対象に行った2つの大規模臨床試験で相反するような結果が提示された.

この結果を臨床に適切に生かすためには,2つの試験の違いを理解することが重要になる.もっとも重要な違いと

して,BEST-CLI試験の主要評価項目が全死亡またはMALEの複合であったのに対し,BASIL-2試験ではAFSであった点があげられる.BASIL-2試験では,大切断率はEVT群とバイパス群で差はなく,おもにEVT群の死亡率の低さ(45% vs. 53%)が主要評価項目の差異に起因した.バイパス群は全身麻酔であり,周術期合併症が死亡率に関連したと考えやすいが,実際には30日死亡率は両群で差はなく,BASIL-2試験の主要評価項目であるAFSの差は,おもに慢性期死亡率の差によるものであった.解析がintention to treat解析であり,バイパス群で実際手術を受けたのは84%(145/172人)であったこと,透析例(6% vs. 3%)や心筋梗塞の既往(24% vs. 13%)がバイパス群の方が高率だったことに起因した可能性が考察されている.一方,BEST-CLI試験のコホート1にはBASIL-2試験の4倍以上の患者が登録されているが,患者年齢はより若く, Rutherford分類5 が少なかったなど,全体としてBEST- CLI試験は疾患の重篤性がBASIL-2試験より低めで,それに伴う死亡率の低さが晩期の再治療率に影響を与えたのではないかと推察できる.また,膝窩動脈以下の血行再建術はBASIL-2試験では必須であったが,BEST-CLI試験のコホート1では60%程度しか施行されなかった点も,バイパス優位な結果に影響したのではないかと考えられている.両試験ともにコロナウイルスのパンデミックにより登録が滞り,当初予定していたサンプルサイズを達成できなかったことが限界としてあげられる.

CLTI患者に対してEVT-firstとバイパスfirstのどちらがよいのかに関して,わが国で実施されたSPINACH研究で示されたように,患肢,患者の重症度を勘案して治療戦略を選択すべきであるという基本的な考え方が変わるものではなく,どちらの治療にも精通した下肢チームが個々の患者に合わせて最適な選択をすべきであることが,改めて両試験で示された.
p.22
第4章 CTLIに対するDVA(distal/

deep venous arterialization)

1 適応病変

包括的高度慢性下肢虚血(CLTI)においては,多診療科・職種により構成された集学的治療チームによって, PLANコンセプト86, 90)に基づいてリスクが評価され,外科的血行再建あるいは血管内治療(EVT),あるいはその両者のハイブリッド血行再建が検討される.Global Vascular Guideline(GVG) 86)では,血行再建術の適応があり,推定2年生存率が50%以下または周術期死亡率が5%以上の高リスクCLTI症例ではEVTを考慮し,それ以外の標準的リスク患者では,代用血管としての静脈の評価をしたうえで適切な血行再建術を選択することが推奨されている.この標準的リスク患者における血行再建術の選択方法としては,Wound, Ischemia, and foot Infection(WIfI)分類86, 90, 91)とGlobal Anatomic Staging System(GLASS)分類86, 90)で評価された創傷および解剖学的重症度マトリックスで判定することが提唱されており,より重度な症例には外科的バイパス術が,軽度な症例にはEVTが望ましいとされている.

多くのCLTI症例は解剖学的には血行再建が可能であり,外科的バイパス術やEVTにより,初期技術的成功となる足部への直接的な血流再開が行われる.また,潰瘍や壊疽を有しない安静時疼痛にとどまる症例(Rutherford分類4度)やWIfI分類stage 2のような限局的な組織欠損症例では,inflowである中枢側の病変や大腿膝窩動脈領域のみの血行再建を実施することで,下腿から足部への連続する

● 足部深部静脈動脈化(DVA)とは,血行再建が不可

能な(no-option)CLTI患者に対して,足部の深部静脈に動脈血を流し,酸素化された血液を組織に逆行性に供給して下肢大切断を回避する治療で,外科的アプローチと経皮的アプローチがある.

ステートメント血行再建を行わなくとも症状の改善が得られる可能性があ

る.そのため,no-option CLTIとされる症例は,WIfI分類stage 3,4で足関節から足部まで連なる足背動脈や足底動脈などの標的血管が確認できない症例(=GLASS P2 modifier 86, 90))となる.一般的に足関節から足部レベルの動脈は血管造影で確認するが,血管造影でこれらの動脈が確認できない場合でも,超音波検査で開存を確認して血行再建が実施される症例もある92, 93).したがって,nooption CLTIの明確な定義はこれまでなされていないが, 1足関節から足部レベルにおいて,外科的血行再建の対象となるバイパス遠位吻合部に適した標的血管が確認できない(desert foot,図3),2バイパス手術の代用血管に適した自家静脈がない,3EVTの対象となる遠位部真腔が確認できない,4EVTにおける高度石灰化small artery disease(SAD) 94)などによるガイドワイヤーやバルーンカテーテルなどのデバイスの不通過や対象血管の拡張困難,があげられる95, 96).

外科的血行再建が不適応と判断された場合にはEVTが選択されるが,その手技成功の可能性を予測する因子に関して,膝下動脈病変および足関節以下の病変でそれぞれ報告がある.膝下動脈病変においては,慢性完全閉塞近位端の断端形状,石灰化の有無,対象血管径,閉塞長,そして遠位部真腔の有無で層別化を行ったところ,多因子

図3 desert foot の血管撮影像

正面像側面像
p.23
を有する複雑病変ではガイドワイヤーの通過率が低くなることが示された97, 98).また,足関節以下の病変では,石灰化の程度,標的血管遠位部真腔の有無,そしてpedal archの閉塞が手技成功に影響すると報告されている99).

集学的治療チームによりno-option CLTIと判断された場合に,治療の選択肢の一つとなるのがDVAである.DVAは,足部の深部静脈に動脈血を流し,酸素化された血液を末梢の組織に逆行性に供給する治療であり,外科的,経皮的どちらの報告もある95, 100-104).

2 外科的 DVA(sDVA)

2.1 定義と適応

DVAの治療概念は,1881年から1916年に下肢虚血に対して大腿動静脈を用いた内シャントの有効性が臨床的かつ実験的に広く研究され,1912年に初めてその術式が報告されたが,1916年以降は本術式に対する研究がなされず,それ以降1948年になるまで文献的報告はなされなかった105).1977年,1984年にSheil,Lenguaが血行再建困難な重症下肢虚血に対してDVAの手術成績を報告したものの,その救肢率はいずれも50%を超えるものではなく,救肢に有効な術式として捉えられなかった106, 107).しかし, 1990年以降,動脈再建が困難な症例に対するDVAの臨床成績が再び報告され108-111),2000年代にはno-optionとされた重症虚血に対する救肢術として,大切断リスクの高い症例に対して臨床使用された112-114).

通常の血行再建が困難な,いわゆるdesert foot(図3)やno-optionと判断されるCLTIは,全体の20%を超えないが一定数存在すると報告されている95).no-optionと診断する際の問題点として,no-option CLTIの定義が不明確かつ診断に対する客観的な指標がない点,その診断を診療医師に一任されている点があげられる115).CLTIに関わる診療科や診療医師の主観によって診断基準が異なるため,血管外科医や血管内治療医の立場からみたno-optionの診断は必ずしも一致するものでなく,結果的にno-optionと診断される症例の幅が広い.わが国からのCLTIに対する末梢バイパス401肢の報告において,DVAの適応となる症例は4肢(1.7%)で,おもに透析症例が対象であった116).一方で,血管内治療医による報告では,3.8%(36/951肢)がno-option CLIとしてDVAを施行していた117).このようにDVAの適応は診療医師,診療科によって異なる. 2.2 術式

sDVAは,重症下肢虚血(CLTI)に対して動脈血を下肢静脈に逆行性に灌流させる術式である.動脈再建が困難な場合に大切断の回避を目的に考慮される術式であるが,灌流メカニズムおよびその有効性は確立されていない.大腿動脈や膝窩動脈をinflow arteryとして動脈血を再建静脈に灌流させるために大伏在静脈(GSV)をグラフトとして使用することが多いが,GSVのほか,上肢静脈や人工血管を用いた報告もなされている111, 118).

静脈の再建部位をより末梢とすることで臨床成績が向上したことから109, 111, 112),足背もしくは足底の静脈,いわゆる足部領域の静脈がDVA吻合部として定着した.術式の安定化のためには,DVA造設部位の末梢化に加えて,重度虚血に陥った足部への動脈血灌流のために足部領域の静脈弁を有効に破壊できるかが重要と考えられている114).現時点では,逆行性に足部静脈を破壊できる外科的デバイスは存在しないが,バルーンカッター,プローブ,外科ゾンデやFogartyバルーンカテーテルが用いられてきた100, 110, 111)(表7).動脈圧による静脈弁不全化については議論がわかれており,Ozbekらが施行したDVAは弁破壊することなく足部のGSVから足背静脈弓を通じて灌流を成立させる術式であるが,足部深部静脈への動脈血灌流は限定的で安静時痛や間欠性跛行の改善が報告されたものの,組織欠損を合併する症例での有効性は懐疑的である113).

sDVAの臨床的課題は,DVAグラフトの開存率が著しく低い点であり,動脈血を足部に灌流させる目的を考慮すると静脈弁破壊法は本術式の肝ともいえる.これらの課題から,笹嶋らやMutiranguraらはDVA単独での血行再建以外に,末梢動脈バイパスへの追加治療としての補助的DVAや遊離組織補填の栄養動脈としてのDVAの有用性を見出し,救肢率から創傷治癒に評価項目を移行させた100, 119).

2.3 臨床成績と留意点

sDVAの臨床試験では救肢率が主な評価項目であり, DVAを施行した際の救肢率は20~100%とばらつきが大きい(表7).sDVAに関する3 つのシステマティックレビューが報告されている.Luらは2006年に228人を対象に臨床成績をレビューした結果,術後1年救肢率が71% (95%CI 64~77),sDVAの二次開存率は46%(95%CI 39~53)と解析した114).大切断を免れた症例では,創傷
p.24
治癒や安静時疼痛改善を認めたと報告されているが,ABIやtcPO2などを用いたsDVAによる虚血改善評価がなされていない点は留意する必要がある.フォローアップ期間における死亡率は1~33%だが,静脈灌流増加に伴う死亡例は報告されなかった.

Schreveらのレビューは2017年に768人のsDVAを対象としており,術後1年の救肢率は75%(95%CI 70~81),術後30日以内死亡率および院内死亡率は0~10%であった.DVAの開存率を示した文献は15文献中6文献のみで,術後1年の開存率は59~71%であり,術後2年ではさらに10%程度低下した.これらの結果はエビデンスの質としては低いものの,no-optionと診断されたCLTI症例の大切断回避の治療法としての可能性が示唆されている120).このように術後1年で70%程度の救肢率が提示されている一方で, sDVAが有効でない場合の大切断率は23~70%程度と高率であることも認識する必要がある(表7).Hoらは2020年にsDVA,経皮的DVA(pDVA),hybrid DVAを対象と

したシステマティックレビューを行ったが,sDVAに関してはSchreveらのレビュー結果と変わりないと結論付けた.また,sDVAの術式自体が画一的でなく,これらに伴う臨床成績について議論することが困難な状況であると言及している121).

創傷治癒率に関しては,重度虚血に伴う広範組織欠損に対してsDVAと遊離組織補填を組み合わせた笹嶋らの報告では67%(6/9例),sDVAと動脈バイパスを併施したMutiranguraらの報告では73%(19/26例)と,sDVA施行なしでは大切断に直面している症例群に対する治療オプションとして提示しうる術式といえる.一方で,組織欠損を伴う症例に対するsDVA単独による創傷治癒に関するエビデンスは少なく,笹嶋らの報告では広範組織欠損に対する創傷治癒率は50%(2/4例)であり,非治癒2人は大切断に至った.同様にMutiranguraらの報告でも,治癒に至

表7 sDVA の報告例(PubMed にて検索,抜粋)

筆頭著者(報告年)症例数観察期間(中央値,月) DVA 施行方

法グラフト

材料中枢吻合部再建静脈弁破壊救肢率/ 大切断率

(術後年数)

Sheil GR.106) (1977) 5 -単独GSV -足背静脈- 60%/40% Lengua F.107)

(1984) 8 -単独GSV大腿動脈膝窩動脈足部静脈あり38%/記載なしLengua F.109)

(1995) 26 -単独GSV大腿動脈膝窩動脈足部静脈あり73%/記載なしMätzke S.110)

(1999) 14 3~132(41)単独GSV大腿動脈GSVバルーンカッター57%(1Y)/50%

Taylor RS.111) (1999) 18 4~28(17)単独GSV上肢静脈人工血管大腿動脈膝窩動脈足背静脈足底静脈プローブバルーンカッター75%(1Y)/17% Lengua F.112)

(2001) 60 1~180単独GSV大腿動脈膝窩動脈足部静脈あり60%/40% Ozbec C.113) (2005) 7 -単独GSV膝窩動脈GSVなし100%/0%

Sasajima T.100) (2010) 9 1~36(12)単独(n=4)動脈バイパス併施(n=2)皮弁併施(n =3) GSV大腿動脈膝窩動脈グラフト前脛骨静脈足背静脈足底静脈外科ゾンデF o g a r t y バルーン78%/22% Mutirantura P.119)

(2011) 26 5~60動脈バイパス併施GSV -足部静脈あり76%/23%(2Y)

Djoric P.122) (2012) 30 (6)単独GSV -足背静脈プローブF o g a r t y バルーン83%/記載なし

Houlind K118) (2013) 10 <12単独(n=8)動脈バイパス併施(n=2) GSV人工血管大腿動脈膝窩動脈足背静脈足底静脈Valvelotome (GSV末梢ま

で) 20%/70%
p.25
らなかった6人(23%)は大切断となった.Djoricらは安静時痛もしくは足趾レベルに限定する組織欠損に対する足背静脈弓へのsDVA施行例の救肢率と創傷治癒が,保存加療を選択した症例に比べて有意に良好であったと報告した(救肢率:83% vs. 13%,創傷治癒率:88% vs. 0%).本研究の著者らは,sDVAによる足部組織の再灌流障害についても保存加療群と比較検討しており,術後1週間でTPとTBIの改善が保存加療群と比べて有意に良好であったと報告している.また,sDVA灌流後10分以内の酸化ストレスの程度は灌流前と比較しても有意な差はなく,灌流直後という制限はあるが,sDVAが組織再灌流障害に寄与しない点を生化学的な検証から証明した122).

sDVAに関する治療成績を理解する上で留意すべき点は,本術式の適応が術者ごとに異なる点,再建静脈や弁破壊方法を含めた術式が画一的でなく,施設,術者を含めた変動因子が多く含まれている点である.また.EVTや外科的血行再建の適応とならないno-option患者を対象としており,大切断リスクが非常に高い状況下でsDVAの施行と臨床成績が評価されていることから,救肢,臨床症状の改善を含めた評価項目として肯定的な結果を示した論文が多いことを考慮することも必要である.MätzkeらはsDVAの術後1年救肢率が57%と報告したが,背景が同様の保存加療群の救肢率は54%と差がなかったと報告したことからもわかるように110),RCTが行われていない以上,明確な比較対象がないことからsDVAの有効性を評価することは困難である. 3 経皮的DVA(pDVA)

CLTIのうち20%の患者は血行再建が技術的に難しく,下肢大切断を免れ得ない,いわゆるno-option CLTIであると報告されている123).そのような患者に対して,1912年に外科的に深部静脈を動脈化するいわゆるsDVAが報告されたが,普及することはなかった124).近年になり,企業製デバイスの登場に伴い経皮的DVA(pDVA)が注目を集め,その有用性が報告されている95, 101, 125-127).しかし,欧米諸国では使用可能な企業製専用デバイスは日本では現在保険適用外で,既存のデバイスやテクニックを用いた,いわゆるoff the shelf pDVAが一般的である102, 128).

3.1 適応

pDVAの適応となりうるのは,足首以下の動脈がびまん性に閉塞,または高度石灰化を伴うため(いわゆるsmallartery disease[SAD] 94)),EVT時の遠位穿刺や外科的バイパス手術時の遠位吻合が不可能など,血行再建が極めて困難な状態,もしくは実際に血行再建を試みて不成功だった患者である(図4).解剖学的にはシャント血流の確保のために,inflowとなる動脈の中枢側に狭窄病変がないことが望ましい.また,pDVAのinflowのターゲットとなる脛骨動脈の他に,もう1本,他の膝下動脈が開存している方が,pDVAで作成されたシャントが閉塞した場合の急性虚血や下肢大切断リスクは軽減される129).深部静脈血

pDVA実施2ヵ月後pDVA実施直後pDVA実施前図4 desert foot に対するpDVA 実施前後の血管撮影像pDVA実施前:足首以下の動脈開存が乏しく,いわゆるdesert footの状態であるpDVA実施直後:後脛骨動脈から連続する静脈の描出が見られるpDVA実施2ヵ月後:術直後と比べ静脈がさらに拡張しており,良好な血流が確認できる
p.26
栓症や重度の心不全,急性下肢虚血の患者は,一般的にpDVAの適応から除外されていることが多い.

3.2 手技

EVTによる動静脈瘻作成にはさまざまな方法が報告されている.リエントリーデバイスを使用して動脈から静脈を穿刺する方法130),ガイドワイヤーで動脈から静脈に穿通する方法131),透視下や超音波ガイド下に動静脈を経皮的に穿刺する方法などが報告されている102, 128).動静脈瘻部はステントが留置されることが多いが,バルーン拡張のみの報告もある.ステントの選択として,脛骨腓骨動脈幹など下腿中枢側での動静脈瘻作成では,静脈分枝から中枢静脈への盗血の可能性があり,カバードステントが使用されることが一般的である.末梢側での動静脈瘻作成ではベアステントが使用されることもある102).足趾の静脈まで動脈血流を逆流させる必要があるため,足底静脈までバルーン拡張を行い,静脈弁の破壊を行う.

3.3 術後のメンテナンス

pDVA後に前足部の浮腫やチアノーゼを伴う例がある.いずれもシャント造設に伴う静脈高血圧,うっ血が原因と考えられている.また,一次的に壊死が増悪,拡大する例も報告されており,患者への十分な術前説明が重要である.動静脈瘻の開存は定期的に確認する必要がある.動静脈瘻が閉塞すると,虚血が悪化し,下肢大切断に至る可能性が高くなる.シャント作成部から末梢の静脈部の拍動が触知できるか,ドプラ聴診器でシャント音が聴取できるか,もしくはデュプレックス超音波検査でシャントが開存しているかを,外来で定期的に確認する.狭窄や閉塞があるようなら,バルーン拡張や血栓吸引など再治療を計画する.抗血小板療法,抗凝固療法に関するコンセンサスは得られていないが,多くの研究では永続的なSAPTに加え,3~ 6ヵ月間抗凝固薬が併用されている.静脈床を介した創部への血流はシャント作成後すぐに得られるものではなく,緩徐に発達することが報告されている103)(図4).

3.4 治療成績

企業製のLimFlowデバイスを用いたpDVAの成績が,欧米諸国から報告されている.PROMISE I,II試験, ALPS試験の結果によると,pDVAの手技成功率は96.9~ 99%,6ヵ月,12ヵ月の大切断回避率はそれぞれ66.1~ 83.9%,70~71%であった95, 125, 126).術後6ヵ月で67~ 76%の患者において創傷治癒や改善が得られた.

わが国からも多施設後ろ向き研究の結果が報告されている.off the shelfテクニックを用いたpDVAの手技成功率は88.9%,大切断回避率は術後6,12ヵ月で72.2%, 72.2%,創傷治癒率は術後6,12ヵ月で23.0%,53.2%であった127).近年発表されたシステマティックレビューでは, 208人の患者からなる5 つの観察研究が評価対象となった132).メタ解析の結果,技術的成功率は96.2%(95%CI 91.5~98.4),追跡期間中(6~35ヵ月,多くは12ヵ月未満)の全生存率は82.8%(95%CI 70.5~95.2),患肢救済率は77.2%(95%CI 65.2~89.1)であった.pDVA後の創傷治癒率は53.4%(95%CI 30.3~76.5)であった.一次開存率は30.8%(95%CI 21.8~39.7)と低く,再治療介入率は46.7%(95%CI 37.1~56.3)と高かった.比較的高い閉塞率から,シャント開存の有無について頻回の確認が必要であることが示唆される.また,pDVA後の特徴として,通常の動脈血行再建と比較して創傷治癒に時間を要するようである.これは,前述のように静脈床を介したreversal flowの発達に一定の時間を要するためと推察されている103).

4 まとめ

CLTIは,客観的に証明された下肢動脈閉塞性疾患に起因する虚血性の安静時疼痛,潰瘍,壊疽(Rutherford分類4~6,Fontaine分類III ~IV)を含む臨床症候群を伴う末梢動脈疾患(PAD)と定義される86, 133).この定義の中には,軽度の血管不全から,閉塞病変が非常に複雑で血行再建治療の「選択肢なし(no-option)」の状態までの広範囲にわたる重症度が含まれる.現在,このno-option状態に対しては,下肢大切断が唯一の解決策と考えられている.しかしながら,患者の生存と下肢切断の長期予後は直接関係しており,治療の方針が「生命と下肢」の両方に大きな影響を及ぼすことが知られている134).

no-option CLTI患者に対して,DVAは下肢大切断を回避する方法として期待されるが,遠位足部静脈にバイパス吻合するsDVAは標準化されておらず,安定した治療成績を得ることは困難である121).pDVAはEVTにより近位部に動静脈瘻を作成し,静脈弁を破壊することで,深部静脈を動脈化し,創部へ逆行性に送血する治療法である.わが国ではoff the shelfテクニックを用いたpDVAの成績が報告されているが127),本治療に用いる適切な医療機器は薬事承認されておらず,依然としてアンメットニーズとなっ
p.27
ている.海外ではLimFlow Systemを使用したpDVAの手技成功率は97~99%,6ヵ月,12ヵ月の大切断回避率はそれぞれ66~84%,70~71% 95, 125, 126)で,術後6ヵ月で67 ~76%の患者が創傷治癒または改善が得られた.コホート対照と比較して,1年間の死亡率が61%,切断が51%減少したことから135),生命予後に大きく寄与すると考えられ,米国FDAにより2023年に承認されて臨床使用が開始されている.しかし,適応症例は限定されており,わが国で対

象の中心になると想定される透析患者への有効性は明らかでなく,pDVA後の創傷への介入の最適時期,長期の開存性,再治療など,残された課題も少なくなく,今後さらなる経験の蓄積が必要である.なお,DVAはその術後創管理や再建血行管理の特殊性から,経験豊富な施設以外での実施は推奨されない.
p.28
付表 2025年JCS/JSVSガイドラインフォーカスアップデート版末梢動脈疾患:班構成員の利益相反(COI)に関する開示(2022年1月1日~2024年12月31日)

氏名参加者自身の申告事項配偶者・一親等親族または収入・財産を共有する者についての申告事項所属する組織・部門の長に関する申告事項(参加者が組織・部門の長と共同研究の立場にある場合)

顧問株保有・

利益特許使用料講演料原稿料研究費奨学寄附金寄附講座その他顧問株特許研究費奨学寄附金

班員:東 信良アインファーマシーズ班員:市橋 成夫日本ゴア班員:井上 政則ボストン・サイエンティフィックジャパンテルモ班員:大木 隆生Endo v a s c u l a r Japan日本ゴアシャルマン班員:緒方 信彦フィリップス・ジャパン班員:後藤 信哉米国心臓協会Mass General Brighamデューク大学中谷財団福田記念医療技術振興財団米国心臓協会班員:曽我 芳光ボストン・サイエンティフィックジャパンメディコスヒラタカネカメディックス日本ベクトン・ディッキンソン班員:横井 宏佳アボットメディカルジャパンテルモ第一三共協力員:穴井 洋キヤノンメディカルシステムズ協力員:川﨑 大三メディキットコーディスジャパンメディコンテルモボストン・サイエンティフィックジャパンカネカメディックスオーバスネイチメディカル協力員:菊地 信介カネカメディックス協力員:丹 通直ボストン・サイエンティフィックジャパンカネカメディックスオーバスネイチメディカルテルモ東海メディカルプロダクツ協力員:松原 健太郎旭化成ファーマ中外製薬大鵬薬品工業
p.29
氏名参加者自身の申告事項配偶者・一親等親族または収入・財産を共有する者についての申告事項所属する組織・部門の長に関する申告事項(参加者が組織・部門の長と共同研究の立場にある場合)

顧問株保有・

利益特許使用料講演料原稿料研究費奨学寄附金寄附講座その他顧問株特許研究費奨学寄附金

外部評価委員:北岡 裕章アストラゼネカファイザーブリストル・マイヤーズ スクイブアルナイラムアレクシオンファーマ外部評価委員:中村 正人ボストン・サイエンティフィックジャパンテルモボストン・サイエンティフィックジャパンボストン・サイエンティフィック ジャパンテルモ朝日インテックカネカメディックス大塚メディカルデバイスニプロ外部評価委員:宮田 哲郎バイエル薬品外部評価委員:宮本 伸二社会医療法人財団石心会大分岡病院三洋化成社会貢献財団日本ライフライン杵築中央病院大分岡病院※法人表記は省略※以下の構成員については申告事項なし班長:重松 邦広班員:高山 利夫班員:出口 順夫班員:原 正幸班員:三井 信介協力員:安齋 均協力員:児玉 章朗協力員:橋本 拓弥協力員:藤原 昌彦協力員:保坂 晃弘外部評価委員:吉川 公彦外部評価委員:古森 公浩※本ガイドライン作成に掛かるすべての費用は日本循環器学会が負担しており,民間企業からの資金提供は受けていない.
p.30
1 日本循環器学会,日本血管外科学会.2022年改訂版 末梢動脈疾患ガ

イドライン.https://www.j-circ.or.jp/cms/wp-content/uploads/2022/03/ JCS2022_Azuma.pdf 2. 厚生労働省.NDB オープンデータ:レセプト情報・特定健診等情報.https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000177182. html 3. Riggs P, Ouriel K. Thrombolysis in the treatment of lower extremity occlusive disease. Surg Clin North Am 1995; 75: 633-645. PMID: 7638710 4. Obara H, Matsubara K, Kitagawa Y. Acute Limb Ischemia. Ann Vasc Dis 2018; 11: 443-448. PMID: 30636997 5. The STILE Investigators. Results of a prospective randomized trial evaluating surgery versus thrombolysis for ischemia of the lower extremity. The STILE trial. Ann Surg 1994; 220: 251-268. PMID: 8092895 6. Ouriel K, Veith FJ, Sasahara AA. Thrombolysis or Peripheral Arterial Surgery (TOPAS) Investigators. A comparison of recombinant urokinase with vascular surgery as initial treatment for acute arterial occlusion of the legs. N Engl J Med 1998; 338: 1105-1111. PMID: 9545358 7. Kashyap VS, Gilani R, Bena JF, et al. Endovascular therapy for acute limb ischemia. J Vasc Surg 2011; 53: 340-346. PMID: 21050699 8. Taha AG, Byrne RM, Avgerinos ED, et al. Comparative effectiveness of endovascular versus surgical revascularization for acute lower extremity ischemia. J Vasc Surg 2015; 61: 147-154. PMID: 25080883 9. Grip O, Kuoppala M, Acosta S, et al. Outcome and complications after intra-arterial thrombolysis for lower limb ischaemia with or without continuous heparin infusion. Br J Surg 2014; 101: 1105-1112. PMID: 24965149 10. Li J, Wang B, Wang Y, et al. Therapeutic effect of liposomal prostaglandin E1 in acute lower limb ischemia as an adjuvant to hybrid procedures. Exp Ther Med 2013; 5: 1760-1764. PMID: 23837069 11. Bluethmann SM, Mariotto AB, Rowland JH. Anticipating the "Silver Tsunami": Prevalence Trajectories and Comorbidity Burden among Older Cancer Survivors in the United States. Cancer Epidemiol Biomarkers Prev 2016; 25: 1029-1036. PMID: 27371756 12. Maldonado TS, Powell A, Wendorff H, et al. STRIDE study group. Safety and efficacy of mechanical aspiration thrombectomy for patients with acute lower extremity ischemia. J Vasc Surg 2024; 79: 584-592. PMID: 37931885 13. Maldonado TS, Dexter DJ, Kado H, et al. CLOUT Registry Investigators. Outcomes from the ClotTriever Outcomes Registry show symptom duration may underestimate deep vein thrombus chronicity. J Vasc Surg Venous Lymphat Disord 2022; 10: 1251-1259. PMID: 35714903 14. Björck M, Earnshaw JJ, Acosta S, et al. Editor's Choice European Society for Vascular Surgery (ESVS) 2020 Clinical Practice Guidelines on the Management of Acute Limb Ischaemia. Eur J Vasc Endovasc Surg 2020; 59: 173-218. PMID: 31899099 15. Gornik HL, Aronow HD, Goodney PP, et al. 2024 ACC/AHA/ AACVPR/APMA/ABC/SCAI/SVM/SVN/SVS/SIR/VESS Guideline for the Management of Lower Extremity Peripheral Artery Disease: A Report of the American College of Cardiology/American Heart Association Joint Committee on Clinical Practice Guidelines. Circulation 2024; 149: e1313-e1410. PMID: 38743805 16. Lipsitz EC, Veith FJ. Fluoroscopically assisted thromboembolectomy: should it be routine? Semin Vasc Surg 2001; 14: 100-106. PMID: 11400085 17. Zaraca F, Stringari C, Ebner JA, et al. Routine versus selective use of intraoperative angiography during thromboembolectomy for acute lower limb ischemia: analysis of outcomes. Ann Vasc Surg 2010; 24: 621-627. PMID: 20363108 18. de Donato G, Setacci F, Sirignano P, et al. The combination of surgical embolectomy and endovascular techniques may improve outcomes of patients with acute lower limb ischemia. J Vasc Surg 2014; 59: 729-736. PMID: 24342067 19. von Keudell AG, Weaver MJ, Appleton PT, et al. Diagnosis and treatment of acute extremity compartment syndrome. Lancet 2015; 386: 1299-1310. PMID: 26460664 20. De Haro J, Bleda S, Varela C, et al. Meta-analysis and adjusted indi-

rect comparison of direct oral anticoagulants in prevention of acute limb ischemia in patients with atrial fibrillation. Curr Med Res Opin 2016; 32: 1167-1173. PMID: 26949899 21 Campbell WB, Ridler BM, Szymanska TH. Two-year follow-up after

acute thromboembolic limb ischaemia: the importance of anticoagulation. Eur J Vasc Endovasc Surg 2000; 19: 169-173. PMID: 10727366 22. Forbes TL, DeRose G, Harris KA. Is long-term anticoagulation after acute thromboembolic limb ischemia always necessary? Can J Surg 2002; 45: 337-340. PMID: 12387535 23. Hultcrantz M, Björkholm M, Landgren O, et al. Risk for Arterial and Venous Thrombosis in Patients With Myeloproliferative Neoplasms. Ann Intern Med 2018; 169: 268. PMID: 30128518 24. Vig S, Chitolie A, Bevan D, et al. The prevalence of thrombophilia in patients with symptomatic peripheral vascular disease. Br J Surg 2006; 93: 577-581. PMID: 16607693 25. Kolte D, Kennedy KF, Shishehbor MH, et al. Endovascular Versus Surgical Revascularization for Acute Limb Ischemia: A Propensity-Score Matched Analysis. Circ Cardiovasc Interv 2020; 13: e008150. PMID: 31948292 26. Tsujimura T, Takahara M, Iida O, et al. In-Hospital Outcomes after Endovascular Therapy for Acute Limb Ischemia: A Report from a Japanese Nationwide Registry [J-EVT Registry]. J Atheroscler Thromb 2021; 28: 1145-1152. PMID: 33229856 27. Darwood R, Berridge DC, Kessel DO, et al. Surgery versus thrombolysis for initial management of acute limb ischaemia. Cochrane Database Syst Rev 2018; 8: CD002784. PMID: 30095170 28. de Donato G, Pasqui E, Sponza M, et al. INDIAN trial collaborators. Safety and Efficacy of Vacuum Assisted Thrombo-Aspiration in Patients with Acute Lower Limb Ischaemia: The INDIAN Trial. Eur J Vasc Endovasc Surg 2021; 61: 820-828. PMID: 33648846 29. de Donato G, Pasqui E, Ruffino MA, et al. INDIAN UP Trial group. Mechanical thrombectomy in acute limb ischemia: ad Interim results of the INDIAN UP Trial. J Cardiovasc Surg (Torino) 2023; 64: 247- 254. PMID: 37078985 30. Maldonado TS, Powell A, Wendorff H, et al. STRIDE study group. One-year limb salvage and quality of life following mechanical aspiration thrombectomy in patients with acute lower extremity ischemia. J Vasc Surg 2024; 80: 1159-1168. PMID: 38914349 31. Creager MA, Kaufman JA, Conte MS. Clinical practice. Acute limb ischemia. N Engl J Med 2012; 366: 2198-2206. PMID: 22670905 32. Kropman RH, Schrijver AM, Kelder JC, et al. Clinical outcome of acute leg ischaemia due to thrombosed popliteal artery aneurysm: systematic review of 895 cases. Eur J Vasc Endovasc Surg 2010; 39: 452-457. PMID: 20153667 33. Robinson WP 3rd, Belkin M. Acute limb ischemia due to popliteal artery aneurysm: a continuing surgical challenge. Semin Vasc Surg 2009; 22: 17-24. PMID: 19298931 34. Veenstra EB, van der Laan MJ, Zeebregts CJ, et al. A systematic review and meta-analysis of endovascular and surgical revascularization techniques in acute limb ischemia. J Vasc Surg 2020; 71: 654- 668. PMID: 31353270 35. Howard DP, Banerjee A, Fairhead JF, et al. Oxford Vascular Study. Population-Based Study of Incidence, Risk Factors, Outcome, and Prognosis of Ischemic Peripheral Arterial Events: Implications for Prevention. Circulation 2015; 132: 1805-1815. PMID: 26350058 36. The Japanese Society For Vascular Surgery Database Management Committee Member, Ncd Vascular Surgery Data Analysis Team. Vascular Surgery in Japan: 2016 Annual Report by the Japanese Society for Vascular Surgery. Ann Vasc Dis 2021; 14: 419-438. PMID: 35082955 37. Tan M, Takahara M, Haraguchi T, et al. One-Year Clinical Outcomes and Prognostic Factors Following Revascularization in Patients With Acute Limb Ischemia - Results From the RESCUE ALI Study. Circ J 2024; 88: 331-338. PMID: 37544740 38. Rothenberg KA, George EL, Trickey AW, et al. Delayed Fasciotomy Is Associated with Higher Risk of Major Amputation in Patients with Acute Limb Ischemia. Ann Vasc Surg 2019; 59: 195-201. PMID: 31034949 39. Haimovici H. Muscular, renal, and metabolic complications of acute arterial occlusions: myonephropathic-metabolic syndrome. Surgery 1979; 85: 461-468. PMID: 432807 40. Eliason JL, Wakefield TW. Metabolic consequences of acute limb ischemia and their clinical implications. Semin Vasc Surg 2009; 22: 29-33. PMID: 19298933 41. Aboyans V, Ricco JB, Bartelink MEL, et al. ESC Scientific Docu-

文献
p.31
ment Group. 2017 ESC Guidelines on the Diagnosis and Treatment of Peripheral Arterial Diseases, in collaboration with the European Society for Vascular Surgery (ESVS): Document covering atherosclerotic disease of extracranial carotid and vertebral, mesenteric, renal, upper and lower extremity arteriesEndorsed by: the European Stroke Organization (ESO)The Task Force for the Diagnosis and Treatment of Peripheral Arterial Diseases of the European Society of Cardiology (ESC) and of the European Society for Vascular Surgery (ESVS). Eur Heart J 2018; 39: 763-816. PMID: 28886620 42. Bonaca MP, Bauersachs RM, Anand SS, et al. Rivaroxaban in Peripheral Artery Disease after Revascularization. N Engl J Med 2020; 382: 1994-2004. PMID: 32222135 43. Acosta S, Björck M. Modern treatment of acute mesenteric ischaemia. Br J Surg 2014; 101: e100-e108. PMID: 24254428 44. Lim S, Halandras PM, Bechara C, et al. Contemporary Management of Acute Mesenteric Ischemia in the Endovascular Era. Vasc Endovascular Surg 2019; 53: 42-50. PMID: 30360689 45. Arthurs ZM, Titus J, Bannazadeh M, et al. A comparison of endovascular revascularization with traditional therapy for the treatment of acute mesenteric ischemia. J Vasc Surg 2011; 53: 698-705. PMID: 21236616 46. Kawasaki R, Miyamoto N, Oki H, et al. Aspiration therapy for acute superior mesenteric artery embolism with an angled guiding sheath and guiding catheter. J Vasc Interv Radiol 2014; 25: 635-639. PMID: 24674219 47. Raupach J, Lojik M, Chovanec V, et al. Endovascular Management of Acute Embolic Occlusion of the Superior Mesenteric Artery: A 12- Year Single-Centre Experience. Cardiovasc Intervent Radiol 2016; 39: 195-203. PMID: 26202388 48. Bisdas T, Stavroulakis K, Beropoulis E, et al. Initial Experience With the 6-F and 8-F Indigo Thrombectomy System for Acute Renovisceral Occlusive Events. J Endovasc Ther 2017; 24: 604-610. PMID: 28548010 49. Kawano M, Azuma M, Hattori Y, et al. Short-term experience with aspiration embolectomy using a ACE68 reperfusion catheter to treat embolic superior mesenteric artery occlusion. Emerg Radiol 2021; 28: 675-678. PMID: 33417115 50. Garzelli L, Ben Abdallah I, Nuzzo A, et al. Endovascular Thrombectomy for Acute Arterial Mesenteric Ischaemia: No Benefit of Mechanical Over Manual Thrombus Aspiration. Eur J Vasc Endovasc Surg 2022; 64: 128-129. PMID: 35568314 51. Xu R, Tang L, Qin S, et al. Percutaneous Mechanical Thrombectomy Using the AcoStream Thrombus Aspiration System for Acute Superior Mesenteric Artery Embolism. Ann Vasc Surg 2024; 106: 264-272. PMID: 38815920 52. Oderich GS, Macedo R, Stone DH, et al. Low Frequency Vascular Disease Research Consortium Investigators. Multicenter study of retrograde open mesenteric artery stenting through laparotomy for treatment of acute and chronic mesenteric ischemia. J Vasc Surg 2018; 68: 470-480. PMID: 29548812 53. Sénémaud JN, Roussel A, Pellenc Q, et al. Retrograde Open Mesenteric Stenting for Acute and Chronic Mesenteric Ischaemia: Results from an Intestinal Stroke Centre. Eur J Vasc Endovasc Surg 2021; 62: 55-63. PMID: 33965329 54. Karampinis I, Keese M, Jakob J, et al. Indocyanine Green Tissue Angiography Can Reduce Extended Bowel Resections in Acute Mesenteric Ischemia. J Gastrointest Surg 2018; 22: 2117-2124. PMID: 29992520 55. Debus ES, Nehler MR, Govsyeyev N, et al. Effect of Rivaroxaban and Aspirin in Patients With Peripheral Artery Disease Undergoing Surgical Revascularization: Insights From the VOYAGER PAD Trial. Circulation 2021; 144: 1104-1116. PMID: 34380322 56. Bonaca MP, Szarek M, Debus ES, et al. Efficacy and safety of rivaroxaban versus placebo after lower extremity bypass surgery: A post hoc analysis of a "CASPAR like" outcome from VOYAGER PAD. Clin Cardiol 2022; 45: 1143-1146. PMID: 36251249 57. Govsyeyev N, Nehler M, Conte MS, et al. Rivaroxaban in patients with symptomatic peripheral artery disease after lower extremity bypass surgery with venous and prosthetic conduits. J Vasc Surg 2023; 77: 1107-1118.e2. PMID: 36470531 58. Bedenis R, Lethaby A, Maxwell H, et al. Antiplatelet agents for preventing thrombosis after peripheral arterial bypass surgery. Cochrane Database Syst Rev 2015; 2015: CD000535. PMID: 25695213 59. Belch JJ, Dormandy J, et al. CASPAR Writing Committee. Results of the randomized, placebo-controlled clopidogrel and acetylsalicylic acid in bypass surgery for peripheral arterial disease (CASPAR) trial. J Vasc Surg 2010; 52: 825-833. PMID: 20678878 60. Belkin N, Stoecker JB, Jackson BM, et al. Effects of dual antiplatelet

therapy on graft patency after lower extremity bypass. J Vasc Surg 2021; 73: 930-939. PMID: 32777321 61 Sarac TP, Huber TS, Back MR, et al. Warfarin improves the outcome

of infrainguinal vein bypass grafting at high risk for failure. J Vasc Surg 1998; 28: 446-457. PMID: 9737454 62. Dutch Bypass Oral anticoagulants or Aspirin (BOA) Study Group. Efficacy of oral anticoagulants compared with aspirin after infrainguinal bypass surgery (The Dutch Bypass Oral Anticoagulants or Aspirin Study): a randomised trial. Lancet 2000; 355: 346-351. PMID: 10665553 63. Johnson WC, Williford WO. Department of Veterans Affairs Cooperative Study #362. Benefits, morbidity, and mortality associated with long-term administration of oral anticoagulant therapy to patients with peripheral arterial bypass procedures: a prospective randomized study. J Vasc Surg 2002; 35: 413-421. PMID: 11877686 64. Aboyans V, Ricco JB, Bartelink MEL, et al. Editor's Choice 2017 ESC Guidelines on the Diagnosis and Treatment of Peripheral Arterial Diseases, in collaboration with the European Society for Vascular Surgery (ESVS). Eur J Vasc Endovasc Surg 2018; 55: 305-368. PMID: 28851596 65. Warfarin Antiplatelet Vascular Evaluation Trial Investigators. Oral anticoagulant and antiplatelet therapy and peripheral arterial disease. N Engl J Med 2007; 357: 217-227. PMID: 17634457 66. Mega JL, Braunwald E, Wiviott SD, et al. ATLAS ACS 2–TIMI 51 Investigators. Rivaroxaban in patients with a recent acute coronary syndrome. N Engl J Med 2012; 366: 9-19. PMID: 22077192 67. Ohman EM, Roe MT, Steg PG, et al. Clinically significant bleeding with low-dose rivaroxaban versus aspirin, in addition to P2Y12 inhibition, in acute coronary syndromes (GEMINI-ACS-1): a double-blind, multicentre, randomised trial. Lancet 2017; 389: 1799- 1808. PMID: 28325638 68. Eikelboom JW, Connolly SJ, Bosch J, et al. COMPASS Investigators. Rivaroxaban with or without Aspirin in Stable Cardiovascular Disease. N Engl J Med 2017; 377: 1319-1330. PMID: 28844192 69. Anand SS, Bosch J, Eikelboom JW, et al. COMPASS Investigators. Rivaroxaban with or without aspirin in patients with stable peripheral or carotid artery disease: an international, randomised, double-blind, placebo-controlled trial. Lancet 2018; 391: 219-229. PMID: 29132880 70. Anand SS, Caron F, Eikelboom JW, et al. Major Adverse Limb Events and Mortality in Patients With Peripheral Artery Disease: The COMPASS Trial. J Am Coll Cardiol 2018; 71: 2306-2315. PMID: 29540326 71. Hiatt WR, Bonaca MP, Patel MR, et al. Rivaroxaban and Aspirin in Peripheral Artery Disease Lower Extremity Revascularization: Impact of Concomitant Clopidogrel on Efficacy and Safety. Circulation 2020; 142: 2219-2230. PMID: 33138628 72. Hogan SE, Debus ES, Nehler MR, et al. Unplanned Index Limb Revascularization With Rivaroxaban Versus Placebo in Patients With Critical Limb-Threatening Ischemia After Endovascular and Surgical Treatment: Insights From VOYAGER PAD. Circulation 2024; 149: 635-637. PMID: 38377256 73. Strobl FF, Brechtel K, Schmehl J, et al. Twelve-month results of a randomized trial comparing mono with dual antiplatelet therapy in endovascularly treated patients with peripheral artery disease. J Endovasc Ther 2013; 20: 699-706. PMID: 24093324 74. Iida O, Yokoi H, Soga Y, et al. STOP-IC investigators. Cilostazol reduces angiographic restenosis after endovascular therapy for femoropopliteal lesions in the Sufficient Treatment of Peripheral Intervention by Cilostazol study. Circulation 2013; 127: 2307-2315. PMID: 23652861 75. Miura T, Miyashita Y, Soga Y, et al. DEBATE in SFA Investigators. Drug-Eluting Versus Bare-Metal Stent Implantation With or Without Cilostazol in the Treatment of the Superficial Femoral Artery. Circ Cardiovasc Interv 2018; 11: e006564. PMID: 30354784 76. Soga Y, Iida O, Hirano K, et al. Impact of cilostazol after endovascular treatment for infrainguinal disease in patients with critical limb ischemia. J Vasc Surg 2011; 54: 1659-1667. PMID: 21872419 77. Iida O, Soga Y, Urasawa K, et al. MDT-2113 SFA Japan Investigators. Drug-Coated Balloon vs Standard Percutaneous Transluminal Angioplasty for the Treatment of Atherosclerotic Lesions in the Superficial Femoral and Proximal Popliteal Arteries: One-Year Results of the MDT-2113 SFA Japan Randomized Trial. J Endovasc Ther 2018; 25: 109-117. PMID: 29264999 78. Yokoi H, Ohki T, Kichikawa K, et al. Zilver PTX Post-Market Surveillance Study of Paclitaxel-Eluting Stents for Treating Femoropopliteal Artery Disease in Japan: 12-Month Results. JACC Cardiovasc Interv 2016; 9: 271-277. PMID: 26847118 79. Iida O, Takahara M, Soga Y, et al. One-Year Outcomes of Hepa-

rin-Bonded Stent-Graft Therapy for Real-World Femoropopliteal Lesions and the Association of Patency With the Prothrombotic State Based on the Prospective, Observational, Multicenter Viabahn Stent-
p.32
Graft Placement for Femoropopliteal Diseases Requiring Endovascular Therapy (VANQUISH) Study. J Endovasc Ther 2021; 28: 123- 131. PMID: 32959718 80. Rymer J, Anand SS, Sebastian Debus E, et al. Rivaroxaban Plus Aspirin Versus Aspirin Alone After Endovascular Revascularization for Symptomatic PAD: Insights From VOYAGER PAD. Circulation 2023; 148: 1919-1928. PMID: 37850397 81. Tsilimigras DI, Moris D, Karaolanis G, et al. Rivaroxaban versus Clopidogrel for Peripheral Artery Disease: A Clinico-Economic Approach of the COMPASS Trial. Curr Pharm Des 2018; 24: 4516- 4517. PMID: 30621559 82. Bradbury AW, Adam DJ, Bell J, et al. BASIL trial Participants. Bypass versus Angioplasty in Severe Ischaemia of the Leg (BASIL) trial: Analysis of amputation free and overall survival by treatment received. J Vasc Surg 2010; 51 Suppl: 18S-31S. PMID: 20435259 83. Iida O, Takahara M, Soga Y, et al. SPINACH Investigators. Three- Year Outcomes of Surgical Versus Endovascular Revascularization for Critical Limb Ischemia: The SPINACH Study (Surgical Reconstruction Versus Peripheral Intervention in Patients With Critical Limb Ischemia). Circ Cardiovasc Interv 2017; 10: e005531. PMID: 29246911 84. Farber A, Menard MT, Conte MS, et al. BEST-CLI Investigators. Surgery or Endovascular Therapy for Chronic Limb-Threatening Ischemia. N Engl J Med 2022; 387: 2305-2316. PMID: 36342173 85. Bradbury AW, Moakes CA, Popplewell M, et al. BASIL-2 Investigators. A vein bypass first versus a best endovascular treatment first revascularisation strategy for patients with chronic limb threatening ischaemia who required an infra-popliteal, with or without an additional more proximal infra-inguinal revascularisation procedure to restore limb perfusion (BASIL-2): an open-label, randomised, multicentre, phase 3 trial. Lancet 2023; 401: 1798-1809. PMID: 37116524 86. Conte MS, Bradbury AW, Kolh P, et al. GVG Writing Group. Global vascular guidelines on the management of chronic limb-threatening ischemia. J Vasc Surg 2019; 69 Suppl: 3S-125S. PMID: 31159978 87. Siracuse JJ, Farber A, Menard MT, et al. Perioperative complications following open or endovascular revascularization for chronic limb-threatening ischemia in the BEST-CLI Trial. J Vasc Surg 2023; 78: 1012-1020.e2. PMID: 37318428 88. Conte MS, Azene E, Doros G, et al. Secondary interventions following open vs endovascular revascularization for chronic limb threatening ischemia in the BEST-CLI trial. J Vasc Surg 2024; 79: 1428-1437. e4. PMID: 38368997 89. Menard MT, Farber A, Powell RJ, et al. BEST-CLI Investigators. Quality of Life in Patients With Chronic Limb-Threatening Ischemia Treated With Revascularization. Circulation 2024; 149: 1241-1253. PMID: 38597097 90. 東信良,重松邦広,尾原秀明,他.包括的高度慢性下肢虚血の診療に関するGlobal Vascular Guidelines ポケットガイド日本語訳版.日血外会誌 2021;30:141-162. 91. Mills JL Sr, Conte MS, Armstrong DG, et al. Society for Vascular Surgery Lower Extremity Guidelines Committee. The Society for Vascular Surgery Lower Extremity Threatened Limb Classification System: risk stratification based on wound, ischemia, and foot infection (WIfI). J Vasc Surg 2014; 59: 220-234. PMID: 24126108 92. Pomposelli FB Jr, Jepsen SJ, Gibbons GW, et al. Efficacy of the dorsal pedal bypass for limb salvage in diabetic patients: short-term observations. J Vasc Surg 1990; 11: 745-752. PMID: 2359188 93. Eiberg JP, Hansen MA, Jørgensen LG, et al. In-situ bypass surgery on arteriographically invisible vessels detected by Doppler-ultrasound for limb salvage. J Cardiovasc Surg (Torino) 2004; 45: 375-379. PMID: 15365518 94. Ferraresi R, Ucci A, Pizzuto A, et al. A Novel Scoring System for Small Artery Disease and Medial Arterial Calcification Is Strongly Associated With Major Adverse Limb Events in Patients With Chronic Limb-Threatening Ischemia. J Endovasc Ther 2021; 28: 194-207. PMID: 33054496 95. Shishehbor MH, Powell RJ, Montero-Baker MF, et al. PROMISE II Investigators. Transcatheter Arterialization of Deep Veins in Chronic Limb-Threatening Ischemia. N Engl J Med 2023; 388: 1171-1180. PMID: 36988592 96. Li J, Varcoe R, Manzi M, et al. Below-the-Knee Endovascular Revascularization: A Position Statement. JACC Cardiovasc Interv 2024; 17: 589-607. PMID: 38244007 97. Tan M, Ueshima D, Urasawa K, et al. Prediction of successful guidewire crossing of below-the-knee chronic total occlusions using a Japanese scoring system. J Vasc Surg 2021; 74: 506-513.e2. PMID: 33607205 98. Kokkinidis DG, Strobel A, Jawaid O, et al. Development and valida-

tion of a predictive score for anterograde crossing of infrapopliteal chronic total occlusions: (The Infrapop-CTO Score). Catheter Car- diovasc Interv 2020; 95: 748-755. PMID: 31905260 99. Sato Y, Morishita T, Tan M, et al. Prediction of Technical Failure of

Inframalleolar Angioplasty in Patients with Chronic Limb Threatening Ischaemia. Eur J Vasc Endovasc Surg 2022; 63: 852-863. PMID: 35659488 100. Sasajima T, Azuma N, Uchida H, et al. Combined distal venous arterialization and free flap for patients with extensive tissue loss. Ann Vasc Surg 2010; 24: 373-381. PMID: 19765948 101. Kum S, Tan YK, Schreve MA, et al. Midterm Outcomes From a Pilot Study of Percutaneous Deep Vein Arterialization for the Treatment of No-Option Critical Limb Ischemia. J Endovasc Ther 2017; 24: 619- 626. PMID: 28697694 102. Ichihashi S, Shimohara Y, Bolstad F, et al. Simplified Endovascular Deep Venous Arterialization for Non-option CLI Patients by Percutaneous Direct Needle Puncture of Tibial Artery and Vein Under Ultrasound Guidance (AV Spear Technique). Cardiovasc Intervent Radiol 2020; 43: 339-343. PMID: 31797100 103. Nakama T, Obunai K, Kojima S, et al. Angiographic Findings of the Development of a Reverse Blood Supply After Percutaneous Deep Venous Arterialization. JACC Cardiovasc Interv 2020; 13: 1489- 1491. PMID: 32222436 104. Clair DG, Mustapha JA, Shishehbor MH, et al. PROMISE I: Early feasibility study of the LimFlow System for percutaneous deep vein arterialization in no-option chronic limb-threatening ischemia: 12-month results. J Vasc Surg 2021; 74: 1626-1635. PMID: 34019990 105. SZILAGYI DE, JAY GD 3rd, MUNNELL ER. Femoral arteriovenous anastomosis in the treatment of occlusive arterial disease. AMA Arch Surg 1951; 63: 435-451. PMID: 14868197 106. Sheil GR. Treatment of critical ischaemia of the lower limb by venous arterialization : an interim report. Br J Surg 1977; 64: 197-199. PMID: 890266 107. Lengua F, Nuss JM, Lechner R, et al. Arterialization of the venous network of the foot through a bypass in severe arteriopathic ischemia. J Cardiovasc Surg (Torino) 1984; 25: 357-360. PMID: 6480686 108. King TA, Marks J, Berrettoni BA, et al. Arteriovenous reversal for limb salvage in unreconstructible upper extremity arterial occlusive disease. J Vasc Surg 1993; 17: 924-932; discussion 932-933. PMID: 8487361 109. Lengua F, Cohen R, L'Huillier B, et al. Arteriovenous revascularization for lower limb salvage in unreconstructible arterial occlusive disease (long-term outcome). Vasa 1995; 24: 261-269. PMID: 7676737 110. Mätzke S, Pitkänen J, Lepäntalo M. Does saphenous vein arterialisation prevent major amputation in critical leg ischaemia? A comparative study. J Cardiovasc Surg (Torino) 1999; 40: 845-847. PMID: 10776715 111. Taylor RS, Belli AM, Jacob S. Distal venous arterialisation for salvage of critically ischaemic inoperable limbs. Lancet 1999; 354: 1962-1965. PMID: 10622299 112. Lengua F, La Madrid A, Acosta C, et al. [Arterialization of the distal veins of the foot for limb salvage in arteritis. Techniques and results]. Ann Chir 2001; 126: 629-636; discussion 637-638. PMID: 11676233 113. Ozbek C, Kestelli M, Emrecan B, et al. A novel approach: ascending venous arterialization for atherosclerosis obliterans. Eur J Vasc Endovasc Surg 2005; 29: 47-51. PMID: 15570271 114. Lu XW, Idu MM, Ubbink DT, et al. Meta-analysis of the clinical effectiveness of venous arterialization for salvage of critically ischaemic limbs. Eur J Vasc Endovasc Surg 2006; 31: 493-499. PMID: 16488164 115. Troisi N, D'Oria M, Fernandes E Fernandes J, et al. International Union of Angiology Position Statement on no-option chronic limb threatening ischemia. Int Angiol 2022; 41: 382-404. PMID: 36053161 116. Kikuchi S, Sasajima T, Inaba M, et al. Evaluation of paramalleolar and inframalleolar bypasses in dialysis- and nondialysis-dependent patients with critical limb ischemia. J Vasc Surg 2018; 67: 826-837. PMID: 28965798 117. Ferraresi R, Casini A, Losurdo F, et al. Hybrid Foot Vein Arterialization in No-Option Patients With Critical Limb Ischemia: A Preliminary Report. J Endovasc Ther 2019; 26: 7-17. PMID: 30591004 118. Houlind K, Christensen J, Hallenberg C, et al. Early results from an angiosome-directed open surgical technique for venous arterialization in patients with critical lower limb ischemia. Diabet Foot Ankle 2013 Dec 17. doi: 10.3402/dfa.v4i0.22713 PMID: 24358432 119. Mutirangura P, Ruangsetakit C, Wongwanit C, et al. Pedal bypass with deep venous arterialization: the therapeutic option in critical limb ischemia and unreconstructable distal arteries. Vascular 2011; 19: 313-319. PMID: 22008976 120. Schreve MA, Vos CG, Vahl AC, et al. Venous Arterialisation for Sal-

vage of Critically Ischaemic Limbs: A Systematic Review and Meta-Analysis. Eur J Vasc Endovasc Surg 2017; 53: 387-402. PMID: 28027892
p.33
121. Ho VT, Gologorsky R, Kibrik P, et al. Open, percutaneous, and hybrid deep venous arterialization technique for no-option foot salvage. J Vasc Surg 2020; 71: 2152-2160. PMID: 31901360 122. Djoric P, Zeleskov-Djoric J, Stanisavljevic DM, et al. Distal venous arterialization and reperfusion injury: focus on oxidative status. Eur Surg Res 2012; 48: 200-207. PMID: 22678100 123. Faglia E, Clerici G, Clerissi J, et al. Long-term prognosis of diabetic patients with critical limb ischemia: a population-based cohort study. Diabetes Care 2009; 32: 822-827. PMID: 19223609 124. Halstead AE, Vaughan RT. Arteriovenous anastomosis in the treatment of gangrene of the extremities. Surg Gynecol Obstet 1912; 14: 1-19. 125. Mustapha JA, Saab FA, Clair D, et al. Interim Results of the PROM- ISE I Trial to Investigate the LimFlow System of Percutaneous Deep Vein Arterialization for the Treatment of Critical Limb Ischemia. J Invasive Cardiol 2019; 31: 57-63. PMID: 30819976 126. Schmidt A, Schreve MA, Huizing E, et al. Midterm Outcomes of Percutaneous Deep Venous Arterialization With a Dedicated System for Patients With No-Option Chronic Limb-Threatening Ischemia: The ALPS Multicenter Study. J Endovasc Ther 2020; 27: 658-665. PMID: 32419597 127. Nakama T, Ichihashi S, Ogata K, et al. Twelve-Month Clinical Outcomes of Percutaneous Deep Venous Arterialization with Alternative Techniques and Ordinary Endovascular Therapy Devices for Patients with Chronic Limb-Threatening Ischemia: Results of the DEPAR- TURE Japan Study. Cardiovasc Intervent Radiol 2022; 45: 622-632. PMID: 35277729 128. Ysa A, Lobato M, Mikelarena E, et al. Homemade Device to Facili-

tate Percutaneous Venous Arterialization in Patients With No-Option Critical Limb Ischemia. J Endovasc Ther 2019; 26: 213-218. PMID: 30764701 129. Huang I, Nakama T, Ichihashi S, et al. Technical Aspects of Percuta-

neous Deep Venous Arterialization Using Off-the-Shelf Devices. J Endovasc Ther 2024; 31: 350-359. PMID: 36168745 130. Pua U, Huang IKH. Percutaneous Deep Vein Arterialization. J Vasc Interv Radiol 2019; 30: 610-613. PMID: 30910184 131. Gandini R, Merolla S, Scaggiante J, et al. Endovascular Distal Plantar Vein Arterialization in Dialysis Patients With No-Option Critical Limb Ischemia and Posterior Tibial Artery Occlusion: A Technique for Limb Salvage in a Challenging Patient Subset. J Endovasc Ther 2018; 25: 127-132. PMID: 29264998 132. Roustazadeh R, Gombert A, Krabbe J, et al. Short-Term Outcomes and Efficacy of Percutaneous Deep Vein Arterialization for No-Option Critical Limb Ischemia: A Systematic Review and Meta-Analysis. Biomedicines 2024; 12: 318. PMID: 38397920 133. Conte MS. Bypass versus Angioplasty in Severe Ischaemia of the Leg (BASIL) and the (hoped for) dawn of evidence-based treatment for advanced limb ischemia. J Vasc Surg 2010; 51 Suppl: 69S-75S. PMID: 20435263 134. Norgren L, Hiatt WR, Dormandy JA, et al. TASC II Working Group. Inter-society consensus for the management of peripheral arterial disease. Int Angiol 2007; 26: 81-157. PMID: 17489079 135. Pietzsch JB, Ederhof M, Geisler BP, et al. Cost-Effectiveness of Per-

cutaneous Deep Vein Arterialization for Patients With No-Option Chronic Limb-Threatening Ischemia: An Exploratory Analysis Based on the PROMISE I Study. J Crit Limb Ischemia 2021; 1: E148-E157.