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p.91 抽出テキスト

ビデンスとなった.NPPV は気管挿管を減少させ,死亡率を減少させる.CPAP とbilevel PAP を分けて検討したメタアナリシスではCPAP が,よりよい生命予後を提供できるとわかった25).CPAP は死亡率を25%から13%へと有意に減少させ,6 人にCPAP で治療をすれば1 人の気管挿管を回避し,10 人にCPAP で治療をすれば1 人の死亡を回避できることが確認された26).8 年間にICUでのNPPV 使用率が約30%から90%に増加したのに対し,死亡率は実に21%から7%へと14 ポイント低下したとする報告がある33).NPPV 従来の治療方法に比べ生存退院を有意に改善する13).さらに80 例の重症心原性肺水腫に対し行った研究では,NPPV は院内死亡率を有意に減少させた(死亡率:酸素23%,CPAP 4%,bilevel PAP 7%)19).メタアナリシスではNPPV(特にCPAP)は死亡率を改善させることが確認されている27〜29).NPPV は気管挿管を32%から16%へ減少させ,死亡率を13%から8%へ減少させる29).CPAP とbilevel PAP を分けて検討したメタアナリシスでは,CPAP は有意に死亡率を減少させることが確認され27, 28),7 人にCPAP で治療をすれば1 人の気管挿管を回避,8 人にCPAP で治療をすれば1 人の死亡を回避できると報告されている28).一方, bilevel PAP は死亡率を低下させる傾向にあったが有意なものではなかった27, 28).しかしCPAP とbilevel PAP との間には有意な差はなかった27).急性心原性肺水腫に対するCPAP の使用は,よりよい生命予後を提供できる. Nava らも,最もNPPV が効果を発揮する症例が心原性肺水腫であるとしている34).他にも,NPPV は急性心原性肺水腫に対し院内ではfirst-line treatment とすべきであり,院外でも救急要請があったときにメディカル・ケア・チームが到着したときに,すぐに院外でNPPV を開始すると臨床症状の改善,気管挿管の回避,しいては院内死亡の減少をもたらすとの報告もある35).また,院外発症の急性心原性肺水腫を疑う呼吸不全患者を対象に,搬送中にヘルメット型CPAP を使用するだけの治療を受けた群(59 人)とCPAP に加え従来の薬物療法を搬送時に追加治療として行った群(62 人)で比較検討も行われている36).結果は,全患者でヘルメット型CPAP は忍容され院外挿管症例はなく,酸素化,呼吸数,血行動態の改善を認めた.両群間の比較では院内挿管症例,死亡数に差はなく,その他の臨床所見も同様に差はなかった.以上より,薬物療法の併用の有無にかかわらず,院外発症の急性心原性肺水腫にはヘルメット型CPAP 導入が適応されるべきとの考えが示唆されている.21 の研究に対して行われたシステマティックレビューで,NPPV にて管理された急性心原性肺水腫において挿管率,院内死亡率,心筋梗塞,院内滞在日数,ICU 滞在日数も減少したとしている37).

しかし,一方で大規模RCT でもNPPV が無効であったという報告がNew England Journal of Medicine に掲

載された38).それは,NPPV は生命予後を改善させることはないとする結果であった.しかし,この研究には多くの問題点がある.この報告では両群とも気管挿管率が低い.また,死亡率はstandard oxygen treatment 群では低く,NPPV 群で高い.この研究に登録された多くの症例は軽症の肺水腫であり,この研究に登録された患者は人工呼吸が必要とされていない軽症の患者が多かったといわれている39).著者らも論文中の最後のまとめで次のように述べている.“NPPV は有効でない”と結論しているのではない.NPPV はより重症の肺水腫患者や通常の薬物治療に反応しない患者に使用することを考慮すべきである.

安全性に関してはADHERE database から解析が報告された40).15 万人からなるデータベースで,呼吸管理が正確に確認された約37,000 人の心不全患者で人工呼吸を必要としたのは2,430 人(6.5%).そのうちNPPV は72%の患者に用いられ,有効率は96%であった.また,NPPVから気管挿管へと移行した場合でも,はじめから気管挿管・人工呼吸をされて患者と比べ,まったく差はなく, NPPV は安全に用いられる治療方法であることが解る.つまり,適応さえ間違えなければNPPV をfirst-line treatment とするほうが,治療成績がよいと考えられる.

8 NPPV の開始時期

急性心原性肺水腫の呼吸管理を成功させるためには,いたずらに酸素投与のみで様子をみるべきではなくNPPV を第一選択とし,積極的に早期に開始することである41, 42).低酸素血症に呼吸困難を伴っていれば,直ちに開始すべきである.

Mebazza らは急性心不全の治療指針を提示している43).病院到着時,初期治療マネジメントのひとつにNPPV の適応があげられている.心原性ショックと右心不全以外はNPPV の適応であるとしている.

急性心原性肺水腫の呼吸管理はNPPV を第一選択とし,早期に開始する.モードはCPAP を第一選択とする. CPAP を行っても高二酸化炭素血症や呼吸困難が続くようなときにbilevel PAP に変更し,いたずらに酸素投与のみで様子をみるべきではなく積極的にNPPV を行う44).開始時期としては,低酸素血症(ルーム・エアでSpO2 90%以下)に呼吸困難を伴っていれば,直ちに開始.また,SpO2 90%以上でも起坐呼吸,あえぎ呼吸など臨床上,強い呼吸困難を伴う場合も使用する.呼吸苦を訴える肺水腫患者は,NPPV の開始により呼吸苦は改善する.

日本の報告で,Sato らは4,842 名のHospitalized Heart Failure について報告している.そのなかで,起坐呼吸の患者は63.3%であったが,NPPV 使用例は24.4%