p.86 抽出テキスト
行する. 前者の病態に対しては,ARDS タイプの呼吸管理に準じて行われ,ガス交換の改善と挿管の回避が目標となる.最近では人工呼吸管理自体が肺損傷を助長することが知られ31, 32),呼吸サイクルごとでの肺胞の虚脱と開放の繰り返しが炎症を惹起することが知られている.これに対し,高めのPEEP による肺胞の開存の維持(open lung strategy)が呼吸状態を改善し炎症性サイトカインを低下させるとの報告もある33).ARDS 症例におけるNPPV によるCPAP 4 cmH2O とCPAP 12cmH2O の比較検討でもCPAP 12cmH2O の有効性が報告されている34).しかしながら最近の報告では,間質性肺炎症例においてPEEP を上げても肺胞は開存できず,むしろ予後を悪化させる可能性を示唆する報告がされているが,対象症例は挿管・人工呼吸管理例である35).PEEP/CPAP の意義は個々の症例で異なるため慎重に設定条件を検討する必要があろう.換気不全を合併した場合は圧換気補助(pressure support ventilation:PSV)主体の呼吸管理を行う.ただし,分時換気量が多量にもかかわらず高二酸化炭素血症が進行する場合は不可逆性の線維化への進行による死腔換気 の増加を意味し予後不良の徴候である. 4 NPPV 導入基準 低酸素性急性呼吸不全(PaO2/FIO2≦300)を呈した場合は,早期よりNPPV を導入してよい.挿管人工呼吸に比べて早期から開始できるというNPPV の利点を十分に活かしてよい.また,呼吸性アシドーシスを呈する場合も導入してよい. 5 NPPV 導入の実際 CPAP/EPAP 4cmH2O,FIO2 1.0 で開始し,8〜12cmH2O を目標に徐々にCPAP/EPAP を増加させる25). FIO2 はできるだけ0.6 以下にし,高濃度酸素中毒を防ぐよう試みる.頻呼吸が著しい場合や,呼吸筋疲労の徴候が認められる場合は,PSV は行ってもよい.呼吸性アシドーシスを合併した場合は十分なPSV を併用する.ただ 表1 間質性肺炎に対するNPPV 論文コード対象方法結果近藤ほか, 2005コホート研究NPPV 療法を施行した急速進行性間質性肺炎31 例慢性間質性肺炎急性増悪17 例(特発性肺線維症11 例) その他14 例PaO2/FIO2 137 APACHE II 15.0 NPPV 専用機CPAP 4~12cmH2O,適宜PS追加NPPV 使用期間9(1~24)日挿管は10 例で2 例が生存3 ヵ月生存:13 例(42%)特発性肺線維症症例は有意に予後不良 Tomii et al, 2010コホート研究間質性肺炎の急性増悪 33 例前NPPV 期11 例11 エピソード[PaO2/FIO2 167] NPPV 期22 例27 エピソード[PaO2/FIO2 139] NPPV 専用機前NPPV 期とNPPV 期の比較CPAP/EPAP 4cmH2O ~上限10cmH2O,適宜PS 追加60 日生存前NPPV 期 27%,NPPV 期 65% 0.02 Yokoyama et al, 2010 コホート研究 特発性肺線維症の急性増悪 11例PaO2/FIO2 139 NPPV 専用機CPAP 10cmH2O,6 例S/T 15cmH2O/10cmH2O,5 例90 日生存45.5%生存期間中央値30 日挿管人工呼吸移行4 例は全例死亡 Mollica et al, 2010コホート研究終末期特発性肺線維症34 例NPPV 19 例[PaO2/FIO2 89,APACHE II 19.5]挿管・人工呼吸(INV)15 例[PaO2/FIO2 99,APACHE II 24.2] NPPV は通常型人工呼吸器のPS mode でヘルメット使用PS 18(15~22cmH2O) PEEP 7(4~10)cmH2O, NPPV で有意に呼吸数低下ICU・入院死亡率:NPPV 73%,INV 100%ただし,APACHE IIはNPPV 群は有意に軽症 Yokoyama et al, 2012コホート研究NPPV 療法を施行した急速進行性間質性肺炎 38 例慢性間質性肺炎急性増悪19 例(特発性肺線維症16 例),薬剤 性間質性肺炎 12 例,急性間質性肺炎 7 例(膠原病性 3 例) PaO2/FIO2 192 APACHE II 10.1 NPPV 専用機CPAP 4~12cmH2O,適宜PS追加NPPV 使用期間11 ± 14 日30 日評価:成功18 例.8 例は挿管拒否し死亡.挿管は12 例で4 例が生存.早期NPPV 導入,PaO2/FIO2 高値, KL-6 低値,LDH 低値がNPPV 成功の予測因子 Güngör et al, 2013コホート研究ICU 管理を要した間質性肺炎120 例(特発性肺線維症96 例) NPPV 75 例NPPV 75 例の予後NPPV 失敗因子の検討NPPV 75 例→成功38 例,APACHE II> 20 と継続的なNPPV 管理の必要性がNPPV 失敗の予測因子