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p.82 抽出テキスト

は,BTS のガイドラインなどでは禁忌とされている1).しかし,挿管・人工呼吸を希望せずNPPV までの呼吸管理を選択した症例では,実際に昏睡下に急性期NPPV が行われており,欧米の報告でも良好な成績が報告されている13).

以上より,NPPV は肺結核後遺症を中心とするRTD 症例の急性期においても,COPD 増悪時と同様に,ある一定以上の呼吸管理技能を有する施設においては,最初に試みられるべき呼吸管理方法といえる.

3 急性期NPPV の適応

増悪時のNPPV の開始基準は,おおむねCOPD と同様であるが,表1,表2 に示すように,呼吸性アシドーシスが多少進んでいてもNPPV が有効なことが多々ある.また,対象患者は意識が清明であることが望ましいが,熟練者が行う場合には,CO2 ナルコーシスで意識消失に至った患者でも,NPPV(主として鼻口マスクを用いる)は有効に機能し,挿管を回避できることが多い.特に,侵襲的人工呼吸を希望しない患者では試みる価値がある.

4 急性期NPPV の留意点

過労などによる右心不全のみに起因する増悪はNPPVなどの呼吸管理で比較的容易に改善するが,気管支炎や肺炎などの呼吸器系感染症を伴う場合には呼吸管理にやや難渋する11).

急性期NPPV は一般病棟(呼吸器病棟)でも十分に施行可能であるが7),無効であった場合の侵襲的人工呼吸への迅速な移行ができるICU での管理のほうが望ましい.

酸素濃度を設定できないbilevel PAP の機種でも十分に対応できるが7),酸素濃度を設定できる機種のほうが便利である.

使用するマスクは,状態に応じて鼻マスクと鼻口マスクを使い分けてよいが,鼻マスクより鼻口マスクのほうが成績がよい傾向にあり,患者に受け入れられやすいことが報告されている14).

急性期NPPV が失敗した場合に侵襲的人工呼吸に移行するかどうかは,急性イベントの可逆性の見込み,患者・家族の意向,医療機関の設備の充実度や医療者の呼吸管理技量,といったことを考慮して決定する.

RTD では,長期NPPV は軽症例においても臨床症状・生活の質を改善することが知られているため15),増悪は長期NPPV 導入の重要な契機と考えてよい.したがって,急性期を切り抜けた後の患者の呼吸状態を十分評価し,長期NPPV に移行すべきかどうかを積極的に検討する必要がある. 5 急性期導入の実際の手順

急性期の導入時には,患者・家族に,NPPV をしなければ気管挿管に至る危険性が高いこと,NPPV をしてもうまくいかなければ本人・家族の希望があれば挿管下人工呼吸をすることを説明する.

患者の状態に応じてマスクを選択する.吸入酸素濃度はSpO2 が早急に95%程度になるまで,高濃度(酸素ポートを使用する機種では10〜15 L/分と高流量)に設定してよいが,高濃度酸素吸入による換気抑制にも注意する. S モードで開始するが,吸気トリガーに難があれば,Tモードに変更する.EPAP は4cmH2O で固定し,IPAPは5 分間程度で10〜20 cmH2O まで上げる.SpO2 をモニターして,S モードなら90%以上を,T モードなら96〜98%になるよう酸素流量あるいは酸素吸入濃度を調整する.開始後は1〜2 時間おきに血液ガスを測定し,改善の程度で,NPPV を継続するか挿管下人工呼吸に移行するかを判断する.

気道分泌物の多い症例にNPPV を連続的に使用していくと,最初は血液ガスの改善があっても3〜4 時間後には痰づまりによる呼吸状態の再悪化を生じてくることが多い.気道分泌物の喀出には,短時間NPPV を中断しネブライザー吸入などを行ったあと,排痰を積極的に行う.カフマシーンと徒手排痰介助が有効なときがある.それでも自己排痰やカテーテルによる吸痰ができない症例では,気管支鏡による気道分泌物の吸引除去やミニトラックなどの気管内留置が有効である.ただし,痰が粘稠で非常に多いときは侵襲的人工呼吸への移行を早めに考慮

レベルIV表1 急性期にNPPV を施行するための条件

1高二酸化炭素血症2意識状態がほぼ清明で治療に協力でき,耐えられる3球麻痺がなく自己排痰が可能(痰量は少ないほどよい) 4循環動態が安定している5消化管出血がない6NPPV に習熟した医療従事者がいる7NPPV が無効なとき,速やかに挿管下人工呼吸に移行できる

表2 急性増悪時におけるNPPV の開始基準(血液ガスなど)酸素療法・気管支拡張薬・ステロイド薬・抗生剤などの保存的な治療にもかかわらず,室内気吸入下の血液ガスが以下のようになったとき

7.25 ≦pH <7.35注1:著しい高二酸化炭素血症を伴うRTD 症例の急性

増悪時には,熟練者が行う場合,7.10 <pH <7.25でもNPPV が有効なことがあるPaO2 <45mmHg

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