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p.81 抽出テキスト

1 RTD 症例の増悪の原因

急性期NPPV の対象となるRTD 症例の増悪の原因として,過労などに起因する単純な右心不全のみの場合と気道感染を合併している場合がほとんどであるが,肺炎やARDS などの重症感染症の合併例も1〜2 割程度認められる.また,昏睡・昏迷を呈している症例での使用も散見される.

2 急性期NPPV の成績

欧米の報告では,RTD に対する急性期NPPV に関して,Meduri らが3 症例に用いて1 症例で成功し1),また同様Meduri らが急性期NPPV 158 症例に関する大規模な報告のなかでRTD 5 症例に用いて3 症例で成功した2)と報告している.一方,昏睡を伴う症例を対象にNPV (negative pressure ventilation)を使用したCorrado らの報告では,RTD 症例が25 症例あり16 症例で成功している3).このため,2000 年のBTS の急性呼吸不全でのNIVガイドラインにおいて,RTD 増悪でのNPPV 使用の勧告グレードは低くなった4).その後のRobino らのRTD 20症例における報告でも,成功率が35%と低く,ICU 死亡率も15%と高かった5).特殊なケースであるが,慢性呼吸不全の増悪にNPPV とNPV を症例に応じて用いたTodisco らのRTD 26 症例における報告では,80%の

NIV 成功率が得られている6).10 年間の症例を集積したAdigüzel らのトルコからの報告では,増悪した後側彎症55 例にNPPV が行われ,76%の成功率が報告されている7). Banfi らは,長期の在宅人工呼吸を受けている後側彎症7例(NPPV 6 例,TPPV 1 例)が増悪したときに,在宅で抗生剤投与・酸素濃度の調整・人工呼吸使用時間の延長などの呼吸管理をして全例が回復したと報告している8).

一方,日本では,Shimazu らがRTD 4 症例に用いて全例で挿管が回避でき全例が生存したと報告しており9), Kondoh らは5 症例に用いて4 症例で挿管を回避できたとしている10).Tsuboi らは肺結核後遺症の増悪50 症例・66 エピソードでの急性期NPPV の成績を報告している.挿管を回避でき急性期を脱した率は,全体では92%,呼吸器系感染を伴わない場合には96%,気道感染のみなら93%,肺炎・ARDS でも75%のという高率であった.さらに,昏睡・昏迷状態の患者に対しても88%の成功率があるとしている11).また,Aso らは肺結核後遺症58 症例をまとめ,増悪時のNPPV の成功率が86%と高率であり,NPPV 開始時のpH が低い症例や栄養状態が悪い症例で成功率が低くなることを報告している12).

このように,日本でのRTD 症例に対する急性期NPPVの成績はおおむね良好である.

昏睡・昏迷状態の患者にNPPV で呼吸管理すること

各論A:急性呼吸不全

拘束性胸郭疾患の増悪

3

CQ 3拘束性胸郭疾患の増悪の呼吸管理にNPPV を使用すべきか?

回答:急性期NPPV の肺結核後遺症を含む拘束性胸郭疾患(restrictive thoracic disease:RTD)に

おける有効性に関しては,ICU などの救急領域での症例数が少ないため,いまだ結論が得られていない.欧米でのRTD のわずかな急性期NPPV 症例をまとめると,挿管および侵襲的人工呼吸を回避できる確率は50%前後と低い.一方,日本ではCOPD の増悪と同等かそれ以上の良好な成績が報告されている.NPPV に習熟した施設においては,NPPV を急性期のRTD 症例に対する呼吸管理方法の第一選択とすることを推奨する.

CQ3 推奨:拘束性胸郭疾患の増悪に対し,NPPV を第一選択として推奨する.【エビデンスレベルIV,

推奨度A】