p.78 抽出テキスト
吸管理の比率が減少したのに対しNPPV の比率が増加しており,実臨床での適応が広がりつつあるb). 3 NPPV の治療方針 NPPV の喘息発作に対する利点としては,1気道内にCPAP/EPAP による陽圧をかけることによる気道抵抗の低下(内因性PEEP に対して),2換気不全を伴っている場合は,PS というかたちで換気補助,および,3挿管の回避,ということが従来から考えられてきた.特に気管挿管を回避することで,挿管操作に伴う合併症も回避し人工換気を速やかに開始することができると同時に,気管チューブによる気管支攣縮の心配もなく,経口摂取や内服治療が継続可能であるという利点がある.さらに,最近ではNPPV の併用による呼吸機能の速やかな改善が報告されており,挿管回避を目的とするよりも早期にNPPV を導入する意義が期待されている. NPPV の管理対象となる喘息患者の重症度は,CPAPのみで比較的呼吸困難の改善が良好で,薬物療法への反応性も良好で短期間で軽快する軽症例から,パニック状態のためマスクを装着するのも困難な症例,さらに高度の呼吸性アシドーシスや意識障害を伴い,挿管のタイミングを図りながらNPPV 管理を行う重症例までさまざまである.実際CPAP のみで喘鳴が減少することをしばしば経験する.一般に喘息の呼吸不全に対しては,人工呼吸によるサポートは意外と低い圧で十分であるといわれており,マスク換気でも十分対応可能である場合が多い. 4 NPPV 導入基準 a.救急外来での初期治療(鑑別疾患) 喘息の既往のある患者では喘息発作の診断は比較的容易であるが,初発の喘息の場合や本人から病歴聴取が困難な場合は種々の疾患の鑑別を行う必要がある.心臓喘息の場合,虚血性心疾患の有無は鑑別のうえで特に重要である. 喘息発作と診断された場合には,その後の治療方針を決定するため重症度の判定を行う.GINA では,症状・ピークフロー・肺機能検査・SpO2・酸素投与・β 2 刺激薬への反応性などから決定し,重症例と判断された症例のうち,初期治療後の再評価で1 時間以内に反応のみられないものをICU 入室とし人工呼吸を考慮するとされている. b.導入基準 喘息発作に対するNPPV の適応基準は,これまで明確に検討されたものは見当たらない.本ガイドラインでのNPPV の導入基準を暫定的に表2 に示す.ポイントは, 頻呼吸や呼吸性アシドーシスなどのデータが改善しない症例には早めに導入してもよい点と,NPPV への反応が不良な場合にはNPPV に固執し過ぎないことである. NPPV は挿管管理の代わりとはならないとの認識が重要である.なお,呼吸管理と同時並行で薬物療法を最大限に行っていくことはいうまでもない. 急性呼吸不全症例では低酸素血症を合併する例も多くみられることから,喘息発作に対しても吸入酸素濃度を設定できるNPPV 専用器を用いることが望ましい. 5 NPPV 導入の実際 導入の実際はCOPD の増悪に準じて行う(各論A-1「COPD の増悪」参照). a.初期設定 以下の方法を喘息に対するNPPV の初期設定とその後の管理として提示する. IPAP 8cmH2O,EPAP 4cmH2O で開始し,ベッドサイドで患者の呼吸数,呼吸パターンや聴診所見,呼吸困難感(Borg スケールなどで評価)などを参考にIPAP やEPAP を増加させる.なお,CPAP モードのみでも,内因性PEEP が解除され自覚症状が改善される場合がある.いずれの場合でも増悪の徴候があれば直ちに気管挿管に移行できるよう備えをしておく. b.モニタリング NPPV 中は心電図・血圧・SpO2 などの持続的・間欠的測定を厳重に行い,呼吸音・呼吸困難感などを評価し,血液ガスも開始後2 時間程度は30 分ごとに測定し,呼吸性アシドーシスの進行の有無をチェックする.病状安定までは設定変更時や数時間ごとに血液ガスをチェックする.意識レベルにも注意し,意識レベルが低下する場合や,意識障害が遷延する場合にも気管挿管への移行を検討する. c.気管挿管の適応 気管挿管の適応を表3 に示す.呼吸停止,意識障害のある場合は,最初から気管挿管管理を行う.これに対し, NPPV を行っても明らかな呼吸筋疲弊や急激なPaCO2 上昇を認める場合や,低酸素血症を認める場合は挿管の適応となる.また,喘息発作の際には急激に悪化する場合があるので,PaCO2 が45 mmHg 以上の患者では,いつでも挿管・人工呼吸へ移行できるように準備する. d.離脱基準 NPPV 施行にあたっては,患者の心配や不安を解消す