p.77 抽出テキスト
た症例は17 例中2 例のみであり,NPPV 群は有意に気道内圧が低く,合併症は特にみられなかったと報告している1).Fernandez らは,後ろ向き研究で救急室での喘息発作に対するNPPV とIPPV との比較検討を行い,NPPV群でPaCO2 の低下およびpH の改善を認め,挿管回避は67%(22/33)であったが,ICU 滞在期間,入院期間,予後には有意差を認めなかったと報告している2).日本のMurase らは,後ろ向き研究でNPPV 導入前と導入後の致死的喘息発作症例の比較研究を行い,NPPV 導入後に有意な挿管率の低下(2/57(3.5%)vs. 9/50(18%),p= 0.01)と入院期間の短縮(8.4± 2.8 vs. 12.6± 4.2 days,p< 0.01)を認めたと報告している14). Holley らは,NPPV の有効性をランダム化比較試験にて検討し,有意差は認めないものの,挿管率や入院期間の減少,入院費用の減少傾向を認めたと報告している.この報告ではNPPV を使用しないことへの倫理的懸念から治験が途中で終了している3).Soroksky らは,救急外来受診の重症喘息発作30 例におけるNPPV の有効性をランダム化比較試験で検討した15).その結果,3 時間のNPPV 使用により,対照群と比較して有意に肺機能の改善が良好で入院を防ぐと報告した.Soma らは,救急外来において吸入療法併用下でのNPPV の有効性を検討した.IPAP/EPAP 8/6cmH2O 群,6/4cmH2O 群と対照群とに分けた検討で,8/6cmH2O 群でFEV1.0 の改善が大で あり,NPPV 群で呼吸困難感と喘鳴の改善が良好であった16).Brandao らは,救急外来でのNPPV による15 分間の吸入療法の効果を検討した.IPAP/EPAP 15/5cmH2O群,15/10cmH2O 群,対照群の3 群比較で,15/10cmH2O群でピークフロー,FEV1,FVC の改善が良好であった17). Gupta らは,53 例を対象にIPAP/EPAP 12/5cmH2O によるNPPV 療法と対照群の比較検討を行い,挿管率では有意差を認めなかったが,NPPV により,全入院期間,ICU滞在期間の短縮,気管支拡張薬総使用量の減少が認められた18).Galindo-Filho らは,IPAP/EPAP 12/5cmH2Oによる9 分間の吸入療法により,呼吸数,一回換気量,分時換気量,ピークフロー,FEV1,FVC,IC,吸入効率の改善が認められたa). 以上の研究からは,喘息発作患者に対して,NPPV と吸入療法の併用により,吸入効率の改善,肺機能の改善を早める効果は期待されるが,挿管回避効果は明らかではなく,喘息の重積発作にNPPV が有効であるという証拠としては不十分である20).喘息発作に対するランダム化比較試験のまとめを表1 に示す.今後の多施設・多数例でのランダム化比較試験による検証が必要であるが, 2000 年から2008 年の間での米国での全国調査では,喘息急性発作に対する人工呼吸管理において,侵襲的人工呼 表1 BA とNPPV:エビデンスのまとめ 論文コード対象方法結果Holley et al, 2001 RCT NPPV 19 人対照16 人救急外来,鼻マスクIPAP/EPAP 10/5cmH2O 4~18 hr/day NPPV で挿管回避傾向,入院期間短縮(研究は早期終了) Soroksky et al, 2003 RCT NPPV 15 人対照15 人予防的人工呼吸救急外来,鼻マスク対照群でsham NPPV IPAP/EPAP 14/4cmH2O,3hr NPPV でFEV1 改善大きく入院の減少挿管例なしSoma et al, 2008 RCT high-pressure NPPV 16 人low-pressure NPPV 14 人対照14 人NPPV で2 人脱落NPPV による吸入療法救急外来,鼻/ 鼻口マスクhigh IPAP/EPAP 8/6cmH2O,1hr low IPAP/EPAP 6/4cmH2O,1hr High NPPV でFEV1 改善大high あるいはlow NPPV で呼吸困難と前明の改善大挿管例なしBrandao et al, 2009 RCT high-pressure ⊿NPPV 12 人low-pressure ⊿NPPV 12 人対照12 人NPPV による吸入療法救急外来,鼻口マスクhigh ⊿IPAP/EPAP 15/5cmH2O, 15min low ⊿IPAP/EPAP 15/10cmH2O, 15min Low ⊿NPPV でピークフロー,FEV1.0,FVC の改善大挿管例なしGupta et al, 2010 RCT NPPV 28 人対照25 人NPPV による補助換気呼吸器ICU,鼻口マスクIPAP/EPAP 12/5cmH2O,4hr NPPV で早いFEV1 と臨床所見の改善傾向NPPV で全入院,ICU 滞在期間の短縮,気管支拡張剤総使用量の減少挿管では差なしGalindo-Filho et al, 2013 RCT NPPV 13 人(3 人脱落)対照15 人(4 人脱落) NPPV による吸入療法救急外来,鼻口マスクIPAP/EPAP 12/5cmH2O,9min NPPV で呼吸数,一回換気量,分時換気量,ピークフロー, FEV1.0,FVC,IC,吸入効率の改善大挿管例なし