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p.76 抽出テキスト

各論A:急性呼吸不全

喘 息

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1 はじめに

喘息の重積発作による死亡者数は2011 年度年間2,000人を超え,日本の呼吸器救急のなかで重大な問題である.救急領域での喘息治療の基本は,短時間作用性の気管支拡張薬(β 2 刺激薬)の吸入および酸素投与,ステロイド静注,重症例にはエピネフリン皮下注,人工呼吸療法などであるが,特に人工呼吸に関してはNPPV を施行する試みが行われるようになった1〜3).急性呼吸不全におけるNPPV についてはCOPD の増悪において多くの検討がなされ根拠のある治療として認識されている4, 5).NPPV を行う背景としては,喘息の発作の病態は多くの点でCOPD の増悪と共通性が認められる点や,喘息発作による呼吸不全は発作が寛解すれば速やかに回復するため,人工呼吸の時間が短く済む点,などがある1, 6).

喘息の世界的ガイドラインであるGINA(the Global Initiative For Asthma,http://www.ginasthma. com)によれば,喘息の重積発作に対する治療の第一選択はβ 2 刺激薬の吸入・皮下注・静注およびステロイドの全身投与,酸素吸入であり,これらの治療に対して反応の悪い(poor response)症例に対してICU 入室,気管挿管・人工呼吸療法を考慮するとされている.NPPV に関する記載はなく,他のNPPV に関連するガイドラインでもその効果は明確でない7〜10).喘息発作に対する人工呼吸療法の第一

選択は,現在のところ気管挿管による人工呼吸と考えられているが,NPPV も有用性が検討されている治療法である.なお,日本における喘息のガイドラインでは, NPPV は,pressure support(PS)による圧補助とPEEPによる呼気終末での気道開存の維持により患者の呼吸パターンを改善する可能性があるが,試みるとしても経験のある専門医により管理されることが望ましい.特に意識障害のある場合や気道分泌物が多い場合は,挿管,人工呼吸管理の開始が遅れることのないよう留意すべきである,と記載されている11).

2 NPPV のエビデンス

1982 年,Martin らは,ヒスタミンにより誘発した喘息発作に対してCPAP の付加が気道を拡げ,気道抵抗を減少させ,呼吸仕事量を減らすことを報告した12).Shivaram らは,喘息発作に対してnasal CPAP は循環動態に悪影響を及ぼすことなく呼吸数や呼吸困難を改善すると報告した13).その後,Meduri らは1996 年に,ICU に入室した喘息重積発作の患者におけるNPPV およびIPPVの有効性を比較検討した.NPPV はIPPV と同様に喘息発作の患者の呼吸性アシドーシスを是正し,挿管に至っ

CQ 2喘息発作の呼吸管理にNPPV を使用すべきか?

回答:現在のところ喘息発作に対する人工呼吸療法の第一選択は,気管挿管による人工呼吸と考えられ

ているが,NPPV の有効性を示唆する報告が集積されつつあり,実地臨床でもNPPV が普及しつつある.NPPV を十分習熟した施設で適応を吟味して行えば,呼吸困難や呼吸機能を改善し,気管挿管を回避したり,入院期間の短縮などの利点が期待できる.一方で喘息発作は急激に増悪することがあり,挿管のタイミングが遅れると生命の危険を伴うことから,増悪の兆しがあれば躊躇せず気管挿管下での呼吸管理に移行する必要がある.喘息発作における急性呼吸不全に対し,NPPV は試みてもよい.ただし,経験が少ない施設においては日常的には行うべきでない.

CQ2 推奨:喘息発作による急性呼吸不全に対し,NPPV は試みてもよい.【エビデンスレベルII,推

奨度C1(経験が少ない施設においては推奨度C2)】