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p.72 抽出テキスト

シスを呈する症例の20%は救急外来から一般病棟に搬送されるまでにアシドーシスが改善する点も示されている.また,Wood らは,救急室でのNPPV の使用は必要以上に挿管を遅らせる結果,病院内死亡率を増加させる可能性があることを報告している7).

最近の14 のランダム化比較試験でのメタアナリシスによれば,NPPV による挿管(risk reduction[RR]0.39, 95%CI 0.28〜0.54),死亡率(RR 0.52,95%CI 0.36〜0.76)の減少が報告されている.さらに,NPPV の効果は,重症例で高く,軽症例で低いことが示されている8).英文誌に発表されたランダム化比較試験のまとめを表1に示す9〜19).

3 NPPV 導入の治療方針

COPD の増悪におけるNPPV の作用機序を図1 に示すが20),増悪の呼吸状態を端的に表現するならば,“努力性の浅い頻呼吸(rapid shallow breathing)”である. PEEP/EPAP による呼気閉塞を改善し,pressure support (PS)により吸気補助を行い,換気効率を高めることが目標となる.導入に際しては下記のどちらの方針かを決定する必要がある.

1気管挿管を念頭に置き,NPPV によっても病状が悪

化する場合は気管挿管を実施する. 2気管挿管を希望しない患者に対する最高限度の治療

法として実施する.通常はNPPV 専用機種の使用し,可能であればモニターが充実しFIO2 設定可能な機種の使用が望ましいが,在宅NPPV 用の機種でも使用可能である. 4 NPPV 導入基準

COPD の増悪におけるNPPV の導入基準を表2 に示す21).努力性呼吸の判定には,胸鎖乳突筋を代表とするような呼吸補助筋の使用の観察が重要である.また,ガス交換においては,pH に注意しPaCO2 の蓄積が単に慢性的なものであるか,増悪かを区別する必要がある.一般にpH<7.25 の重症のアシドーシス症例はNPPV の成功率が下がると報告されており,導入基準を満たせば早めの導入が望ましい.また,安定期のPaCO2 高値は増悪時のNPPV 導入のリスクファクターである点に留意すべきであるc).表2 の基準によるCOPD の増悪における成功率は80〜85%と高率である1).

NPPV には挿管していないことによる限界があるので導入除外条件が存在する(表2).意識障害のある患者は,一般にNPPV の適応にならないとされるが,CO2 ナルコーシスによる意識障害ではNPPV 導入により意識状態の改善を期待できる22).したがって,NPPV に習熟した施設では,まずはNPPV を導入し反応性を評価して,継続するか,挿管・人工呼吸管理に移行するかを選択してもよい.なお,熟練施設では,NPPV 療法中の気管支鏡による気道分泌物管理は,比較的安全に施行可能で有効と報告されている23).

5 NPPV 導入の実際

以下に導入の実際を示す13). 1)適応条件・除外条件の確認(表2,表3)

比較的早期に試験的にNPPV を導入するのか,NPPVがうまくいかない場合に挿管人工呼吸管理を行うことを前提とするのか,挿管を希望しない患者の治療上限とし

横隔膜平低化

呼吸筋疲労

呼吸筋不全換気量低下

呼吸困難感呼吸努力増加

Air trapping

内因性PEEP増加

↑PaCO2

PEEP EPAP肺弾性収縮力増加気道抵抗上昇

PS IPAP-EPAP気管支攣縮気道分泌増加

気道炎症

図1 COPD 増悪の病態とNPPV の作用機序

(文献20 より引用改変)