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p.63 抽出テキスト

1 はじめに

NPPV の普及につれてNPPV 中の患者ケアの知見が蓄積され,質の高いケアがNPPV の成否や患者の予後に大きく影響することが示されている.一方,ケアの内容は,急性期・慢性期それぞれの特徴を考慮してテーラーメードする必要もあり,加えて入院から在宅まで長期にわたる場合に一個人・単一施設の努力のみで質の高いケアを提供することは困難で,地域医療連携や多職種による多面的なチームアプローチが推奨される.一方,在宅NPPV の症例は徐々に増加しているものの1),それを支える地域の支援体制は決して十分とはいえず2),改善が求められている.本項では,急性期から慢性期,在宅まで,患者に継続的にかかわることを前提に,NPPV のケアにかかわる推奨項目をあげる.

2 メンタルケア・せん妄対策

CQ.NPPV 中のメンタルケアとせん妄対策はどのよう

に行うか? 1メンタルケアにより,NPPV の継続のための患者の

受容と協力を促す. 2せん妄の発症は予後の悪化につながるため,予防およ

び早期発見・対応に努める. 3環境整備は不安の解消,睡眠リズムの改善などをも

たらし,不穏やせん妄の予防につながる

.

4早期離床や運動療法は,せん妄予防やADL の維持

に有効である.

患者の精神状態やNPPV の受け入れはNPPV 成功の重要な要素であるとされ,NPPV の効果を理解し,それをポジティブに捉えて,患者がアドヒアランスを維持できるような支援が不可欠である.また,Antón らはCOPD症例における検討で意識レベルが明瞭に維持されていることがNPPV 成功の因子であることを示し3),またIngadóttir らは医療者が患者や家族のさまざまな要求に十分注意を払うことが在宅NPPV において重要であると

報告した4).患者の健全な精神状態を維持する,あるいは治療に対する前向きな姿勢を引き出すことは,ケアの大きな要素であり,NPPV 症例を担当するすべての医療者は,早くから患者の精神的なケアに十分配慮すべきである.

一般的に重症患者において,「せん妄」の発症はその予後を悪化させることが知られており,近年せん妄の予防が強く推奨されている5〜9).一方,NPPV をはじめとする多くの医学的介入は患者に何らかのストレスを与え,もともとの疾患や病態に加えてせん妄発症のリスクとなる.また,高齢,認知症の合併もせん妄発症のリスクであり,患者の高齢化もせん妄対策が必要な要因といえる.特に不穏(agitation)では,NPPV の装着に協力を得られず,NPPV 失敗につながりやすい10).

NPPV の受容を促す方法のひとつとして,急性期管理では少量の鎮痛薬や鎮静薬を使用することも広く行われているが(別項参照),鎮静薬の使用には批判的な意見もある.一方,慢性期においてNPPV の受容を促す有効な薬物療法は今のところ存在しない.

NPPV 中の睡眠障害は,患者のQOL や予後の悪化,特にせん妄発症と関連があることが示され11),睡眠環境の改善や薬物による睡眠コントロールの有用性が検討されている.睡眠導入薬については,日本ではbenzodiazepine 系の薬剤が多く使用されているが,濫用や習慣性・依存性,またせん妄の誘発などが問題である.さらに呼吸抑制や筋弛緩作用も有するため,慢性呼吸不全症例に使用しづらい.したがって現時点では,薬物よりも音や照明の調節,日中の活動性の維持といった睡眠環境の整備を行うことが主に推奨される.

ICU において挿管・人工呼吸中の重症患者を対象とした検討では,早期に離床を図り運動療法を取り入れることでせん妄発症が抑えられ,人工呼吸時間や入院期間の短縮や早期にADL の改善が得られることが示されている12).NPPV 症例を対象とした検討ではないが,NPPVにおいても同様の効果を得られる可能性がある.また,慢性呼吸不全症例へのリハビリテーションは,ADL や

推奨度B

レベルIV

推奨度A

レベルII

レベルIV

推奨度C1

推奨度A

レベルII総 論

導入後のケア

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