p.60 抽出テキスト
1 はじめに Medline search を用い,「noninvasive」「ventilation」に「dispersion」「infection control」「transmisssion」のキーワードを用い,英語の文献を検索したところ,それぞれ5,39,22 件の論文がヒットした.これらを,「randomized controlled trials」でフィルターしたところ,該当する文献は0,2,0 件であったが,いずれも非侵襲的換気と感染予防に関して直接的に検討した研究ではなかった. RCT 以外の研究に関して再検討すると,Hui らによる2件の実験的検討が拾い上げられた1, 2).そこで,これら文献の参考論文を含めて非侵襲的換気と感染予防に関する論文を可及的に再検索収集し,今回の解析対象とした.なお,医中誌データベースにおいて,「非侵襲的」「換気」に「汚染」「院内感染」「感染予防」を掛け合わせて原著論文を検索したが,参考にすべき日本語論文は検出することができなかった.いずれにせよ,本主題における臨床的エビデンスは非常に低いものしかないことが明らかとなった. 2 推奨文 1新興感染症を含めた呼吸器感染症(疑いを含む)患者 において,病原体拡散予防目的で,NPPV 使用を控える必要はない. 2NPPV を適用するすべての患者へのケアに際して, 標準予防策を適用する. 3確定診断された,あるいは,推定される感染経路別 予防策を適用する. 4NPPV 関連器具を再使用する場合は,適切な手法に より消毒か滅菌を行う. 5NPPV 回路の交換は,明らかな破損や汚染を認めた 場合に行えばよい. 3 推奨の説明 a.推奨文1に対して NPPV は,半閉鎖式の呼吸回路を使用しており,圧制御のための呼気バルブを有するものがある.また,意図的な漏れ(intentional leak)が存在する.このため,患者呼気を含む回路内ガスが治療室内に拡散する可能性が指摘される.Hui らは,煙ガスを用いた実験的検討により, 1呼気バルブを介した回路内気の拡散があること1),2この拡散は,使用するマスク(呼気バルブ形状)や,回路内圧により影響を受けること2),3最大の拡散はマスクより0.8m 半径に及ぶことを指摘した2). 一方,同じ研究者らは,酸素マスクや3),ジェットネブライザー4)を用いて同様の検討を行い,これらのデバイスによっても無視できない拡散現象が生じていることも指摘した.しかし,これらはいずれも実験的な研究であり,直接的な感染伝播についての検討がなされているわけではない.また,デバイスよりも,患者の咳そのものによる拡散効果がはるかに高いとする意見もある5).これらの知見は,病原体拡散に関して,NPPV を特別視する必要性はない可能性を示唆するものの,意図的な漏れを含めた汚染に関しては十分な検討がない. 2003 年の中国を中心とした重症急性呼吸不全ウイルス(SARS)流行の際には,医療従事者の感染が報告され,気管挿管手技と並んで,NPPV の使用が感染伝播リスクにつながる可能性が示唆された6).しかし,Yu らによるケースコントロール研究による検討では,ユニット内における感染伝播率に影響を与える因子が多変量解析手法により検討され,多人数への感染伝播に有意に関連する因子は,1ベッド間隔が1m 以内,2呼吸器症状のある医療従事者の就業,3酸素療法,であるとされた7). NPPV の使用は,少人数の感染伝播を予後因子とした場合には有意の関連因子であったが,多人数の感染伝播については,有意な因子ではなかった.なによりも,NPPVよりも酸素療法そのものが有意な関連因子として残ったことは興味深い. SARS アウトブレイク時の報告で,Fowler らによる解 レベルIV レベルV レベルV レベルV レベルIV総 論 感染対策 10