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さらに,人工呼吸関連感染予防の見知から,仮に開放型であっても呼吸回路は患者間の共用を避けることが望ましく,吸入器などと同様に高水準消毒あるいは滅菌を要する医療機器にあたる.呼吸回路は目にみえる汚れがない場合には定期的な交換を要しないが,医療機器や医療材料が長期間不足した場合には,再消毒のうえで使用する必要がある可能性がある.その際には,いわゆるスポルディングの分類13)に従って消毒方法を選択する必要がある. 1)呼吸ケア用機器 人工呼吸器,ネブライザー,吸入麻酔装置などの呼吸ケア用機器は,その内部を通過する空気や水・薬液の飛沫が気道粘膜に付着し,さらに下気道に達するため,セミクリティカル器具に分類される.特に患者間で共用する場合は高水準消毒ないし滅菌が原則13)である.被災地において,高水準消毒や滅菌を行うことが困難な場合は, 70°Cを超える熱水による30 分間処理するか,80°C10 分間の熱水消毒が高水準消毒の代替法14)とされる.蛇管や加湿器などは部品ごとに処理する必要がある.湿熱に耐えない部品は通常,フタラールなどを使用するが,残留薬の毒性を考慮すると災害時には推奨できない.また,これらの器具において実際に感染伝播リスクが高いのは緑膿菌やアシネトバクターなどのグラム陰性菌が多いので,揮発性があり残留の少ない低濃度の次亜塩素酸ナトリウム(100 ppm,1 時間)を用いて中水準消毒を行う.十分な設備のない臨時医療施設で呼吸器系装置の消毒に用いる低濃度の次亜塩素酸ナトリウムは結核菌に対しては無効であり,患者間の共用や繰り返し使用は避けなければならない.加湿用の水にはグラム陰性菌が増殖することがあるので,滅菌精製水を用い少なくとも24 時間以内に交換する必要がある. 2)気管カテーテル・経鼻カテーテル これら気道粘膜に直接接触する物品はディスポーザブルが望ましい.災害現場では,喀痰の吸引カテーテルなど頻繁に使用するものは,同一の患者に使用する限りにおいて,高水準消毒をすることなく再使用せざるを得な い場合があるが,消毒用エタノールで清拭し滅菌済みの0.1%ベンザルコニウム塩化物液や0.05〜0.2%アルキルジアミノエチルグリシン塩酸塩液に浸漬して保管する場合でも,可能な限り頻繁にカテーテルと浸漬用薬液を交換する.消毒薬に浸漬した吸引カテーテルは毎回滅菌精製水で洗浄し,アルコール綿で外面を清拭して用いる. 3 おわりに 大規模自然災害は,事象の頻度そのものが低く,発生直後における科学的調査実施上の制約から,明確な数値的エビデンスが得られにくい分野である.しかし,災害時ではあっても平常時と同様に倫理的,技術的規範が無視されることがあってはならず,NPPV 療法もその例外ではない. 文献1)阪神・淡路大震災について.国土庁防災局,平成8 年1月9 日現在http://www.bousai.go.jp/kohou/oshirase/h08/w-new09.html 2)インフラ等の被害・復旧状況.内閣府,平成23 年7 月14 日現在 http://www.cao.go.jp/shien/2-shien/1infra.html 3)東日本大震災被災者の健康状態に関する調査.「岩手県調査」研究分担者小川彰, 坂田清美,厚生労働科学特別研究事業H23-特別—指定—002(研究代表者林健治)平成23 年度総括・分担研究報告書,p201-207(2012 年3 月) 4)人工呼吸器安全使用のための指針第2 版.人工呼吸2011; 28: 210-225. 5)社会保険点数表:C164 人工呼吸器加算の2 人工呼吸器6)立原敬一,石田 等,諏訪邦夫:NPPV(非侵雲的陽圧人工換気法)の現況と将来. www.teikyo-jc.ac.jp/jyoho/periodical_pdf/journal 2012_145-149.pdf 7)三浦美穂子,今野明美,大槻真紀子,ほか:呼吸器科病 表5 在宅呼吸療法施行患者の動向 在宅酸素療法在宅人工呼吸療法在宅CPAP 療法 震災前施行者数216 35 57震災後在宅者数117(54.3%) 11(31.4%) 39(68.4%)避難的入院53 19 1避難33(15.3%) 4(11.4%) 15(26.3%)死亡7 1行方不明2居宅全壊者数56 6 16 (2011 年9 月時点:岩手医大睡眠医療科調査) ※数値は被災地全体の状況を示すものではないが,在宅医療機器の供給会社が限定されている岩手においては,ある程度実態を反映しているものと考えられる.