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p.57 抽出テキスト

る在宅医療機器として,酸素濃縮器,CPAP,在宅リハビリテーションなどとともに大きな影響を受けた10, a).

東日本大震災下の岩手では,2011 年7 月の段階で,津波などによる直接的な災害死を免れた1,053 名のnCPAP療法中の患者に対し,震災直後2 週間における療養状況の調査を実施した.回答が得られた1,047 名のうち,966名(92.2%)は何らかの理由で治療継続が困難な状況にあったと答えた.直接的災害死を免れた患者におけるCPAP 使用困難の原因として,966 名中879 名(90.9%)において電源の確保困難をあげている11).

2011 年9 月には,安否確認をかねて太平洋沿岸部に居住するNPPV および酸素療法中の患者を含む約300 名(実際には308 名)を対象とする調査を行い,表5 に示すような結果を得た.これによれば,居宅が倒壊していない場合でも,何らかの理由で避難せざるを得ない状況が明らかであり,NPPV(在宅人工呼吸療法)患者は在宅酸素療法患者とともに,ほぼ全例が避難的入院(医療機関への搬送)の対象となっていた.一方,CPAP 使用困難例

は一般避難者と同等に扱われていた. e.感染対策:医療材料の枯渇と衛生環境の悪化

への対応大規模災害時には,生活用品ばかりでなく医薬品や医療材料の枯渇が問題となる.このような状況では,医療材料の流用や定められた消毒レベルを無視した使用が行われる危険性を孕んでいる.

NPPV の主なインターフェイスは鼻口マスクであるが,用いられる呼吸器の仕様によって細部の仕様が異なる.たとえば,ICU 用ベンチレーターでは回路とマスクの双方にリークポートのないものを用いるが,NPPV 専用機では逆にマスクあるいは回路の一方にリークポートを有する回路でなければならない.これらの資材は外見上,極めて類似しているため,相互に混用される事例が報告され,警告12)がなされている.

表4 仮設あるいは臨時医療施設や後方搬送時の初期対処(例) a.共通項目(上から順に実施・確認する) (意識・呼吸・循環)を目視的に確認する. ※患者自身による自己確認を含む

(倒壊・落下・浸水などのリスク回避).

NPPV 機器装着をいったん解除する. 1自発呼吸が可能→事前処方の吸入量に従い酸素吸入に切り替える. 2自発呼吸では不足→換気用バッグを用いて用手的補助換気開始する.

※在宅NPPV 療法では,自発呼吸が困難で用手的換気補助を要する例は対象としないことが

原則であるが,一部の神経筋疾患患者では導入後の病態変化により,ほぼ終日NPPV を要する状態で使用せざるを得ない例も存在する.これらの特殊な症例に関しては,災害発生後の安全性と患者の希望を考慮し,NPPV 継続の可否を再評価する必要がある.

* に安否連絡と支援要請を行い,可能な限り介助者を確保する. (可能ならテスト肺と圧力計を用いる)する. SpO2 で全身・呼吸状態を再評価する. NPPV 継続かIPPV への移行の要否と実施可能時間を評価し実施する. ※非常電源,駆動圧源,施設内の医療用ガス供給システムおよびバックアップ酸素ボンベの使

用可能時間を推定するとともに,継続可能な医療機関への移送手段を確保する.

b.居宅における継続(共通項目に加えて)

NPPV 継続を前提として継続可能時間を再評価する. ※電源は定格どおりに動作するとは限らない.メーカー指定のバッテリーや非常電源装置,酸

素ボンベなどの機器の使用可動時間から推定するとともに,継続可能な医療機関への移送手段を確保する.

c.一時的避難場所における継続(共通項目に加えて)

NPPV 継続の要否と継続可能時間を定期的に評価する. ※電源は定格どおりに動作するとは限らない.メーカー指定のバッテリーや非常電源装置,酸素ボンベなどの機器の使用可動時間から推定するとともに,継続可能な医療機関への移送手段を確保する. NPPV 機器の設置や作動音などに配慮して患者を配置する.

(搬送担当者と協議)する.

*:主治医など:医療器械や酸素の提供会社を含む.