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p.54 抽出テキスト

に次いで,NPPV 継続の可否判断を行う.あらゆる連絡が困難である場合を想定し,医師不在の状況における継続の可否判断についての申し合わせや判断後の搬送に関する備えが必要である.さらに,在宅で一定時間のNPPV 継続を前提とした避難待機のためには「電源喪失および消耗品枯渇環境下におけるNPPV 継続プラン」を策定する必要がある.

在宅医療用のNPPV 機器は主として電動式である.既述のように,電動式は本体のみで気流(陽圧)をつくり出すことができることから,近年では健康保険制度の規定5)に基づき,在宅用人工呼吸器にはバックアップ電源(バッテリー)を装備することが推奨されている.しかし,これらの非常電源は,用手的補助換気に切替えるまでの短時間(数分ないし数十分)に限定的動作を保障するものから,停電状態の回復までの比較的長時間(8 時間以上)の動作が可能なものまでさまざまである.自施設の機器の停電後における動作可能時間について,事前に把握しておく必要がある.その際には,動作モードやリーク量を考慮して推定する.実際には,電源,医療機器,医療材料,医療担当者の確保に関する条件を総合的に判断する必要があるため,机上論ばかりではなく実際に問題点を把握するための訓練を行うことが推奨される6, 7).

すでに緊急用電源を配備している場合であっても表2・図1 の初期対処を行う訓練を推奨する.

NPPV はバッテリーを含む電源が確保できない状況では実施および継続が困難である.また,実施のためには,機器本体とは別にマスクなどのインターフェイスや呼吸回路,加湿器などの専用補機類が必要であり,それらの

損傷や消耗の状況によっては実施や継続が困難になる.

一般にNPPV の中止によって病態悪化が予測される状況では,必要に応じて気管挿管を行い,IPPV に変更することが求められる.IPPV 用の機器(ベンチレーター)のうち酸素ボンベなどを駆動源として用いる一部の機器脚注)を除けば,多くは安定した圧源あるいは内蔵のコンプレッサーを駆動させる電源を必要とする.そのためIPPV実施に際しては電源確保が大前提となる.

つまり,実施困難の原因が「電源」である場合には,IPPVかNPPV かの差は問題にならず,呼吸状態を維持する手段としては,代替電源の確保あるいは電源が得られる場所への患者搬送という方法のみが残されることとなる.

脚注):駆動源として,圧縮酸素ボンベ(276〜1,034 kPa の乾燥医療

用酸素ガス)などを用いる搬送用自動換気装置で,タイムサイクル,ボリュームコントロール,プレッシャーリミットなどのCMV モードを基本とするが,CMV デマンド,自発呼吸の介在などを許容する機器もある.日本では,PneupacTM やParapacTM などの名称で販売されている. 3)医療機関以外での継続可否判断

NPPV に限らず,医療行為の継続や中止は医師の判断によらなければならない.しかし,在宅環境における発災では医師や担当医療機関への連絡が試みられたとしても,実際に医師の判断が得られる連絡が可能な状況とは限らない.そのため,要支援者として自治体に登録し,医師に代わって患者の安全を確保し,誰が継続の可否を判断するかについて,普段から医師の指導に基づいて訓

表1 医療施設内でNPPV を実施している場合の具体的対処手順(例) a.共通項目(上から順に実施・確認する)

(意識・呼吸・循環)する.

NPPV 機器の装着をいったん解除する. 1自発呼吸が可能→事前処方の吸入量に従い酸素吸入に切り替える. 2自発呼吸では不十分→換気用バッグを用いて用手補助換気を開始する.

(可能ならテスト肺と圧力計を用いる)する. NPPV 機器を再装着する(異常時は1か2を継続).

SpO2 で全身・呼吸状態を再評価する. NPPV 継続かIPPV への移行の要否と実施可能時間を評価し実施する. ※非常電源,駆動圧源,施設内の医療用ガス供給システムおよびバックアップ酸素ボンベの使

用可能時間を推定するとともに,継続可能な医療機関への移送手段を確保する. b.被災現地の医療機関においては(共通項目に加えて)

NPPV やIPPV の継続可能性を評価する.

c.後方の支援医療機関においては(共通項目に加えて)

NPPV やIPPV 患者数を評価する(電源・診療体制から).

※救急室やICU など,目視観察が可能かつ医療用ガス配管がなされている場所で行うことが

望ましい.その後は病態に応じて自施設で管理方法を検討するか,NPPV 継続を前提に在宅環境への復帰を含む,他施設への搬送を検討する.