p.50 抽出テキスト
2)1, 16). CQ.NPPV 機器の選択はどのように行うか? 1NPPV 機器は,患者の状態や快適性,換気モード,使 用環境などにより選択する. 近年NPPV 機器は多様化し,病態により急性期用,慢性期用,CPAP 用と分かれ,慢性期用とCPAP 用は主に在宅で用いられている.また制御方法では,気道内圧の制御で換気を行う「bilevel」,圧でも量でも換気可能な「intermediate」,ICU 人工呼吸器による「ICU」などと分けられる17).しかし,それぞれの症例で,どのようにNPPV 機器を使い分けるべきか明確な基準は今のところ存在しない18). NPPV は原則的に意識明瞭な症例に用いられるため,患者の快適性を維持することが重要で,bilevel タイプが忍容性には優れているとされる19).一方,急性呼吸不全症例では高濃度酸素が必要な場合も多く,酸素ブレンダーを有する急性期用の機種を用いるべきである.また,これらはグラフィックモニターも有しており,気道内圧波形や流量波形,ボリューム波形などをモニタリングすることで,患者と機器の同調性や作動状況を医療者が観察でき,トラブル予防にも有用である.近年,ICU 用人工呼吸器に搭載された「NIV モード」は,ある程度までのリークを補うことができ,1 台でNPPV から通常の人工呼吸管理まで行うことができる.また,回路は通常の人工呼吸器のY 回路を使用するため,抜管後も使いやすくNPPV の使用率を高めてICU 症例の快適性の向上と挿管率の低下をもたらし,重症例の予後改善につながる可能性がある18). CQ.NPPV に関するプロトコルやスタッフ教育は必要 か? 1それぞれの施設で標準的なプロトコルを作成し,そ れに基づいて実施する. 2専門的な教育プログラムにより訓練されたスタッフ が患者のケアにあたる. Sinuff らの報告では,NPPV の院内プロトコルを普及させると,スタッフのモチベーションの向上と安全性の確保が可能になるとし,プロトコルの作成と普及を推奨 している20).しかし,実際にはプロトコルに基づいてNPPV を実践している例は少なく3),プロトコルが有用である可能性は高いものの作成のための時間や労力,院内普及のさまざまな障害が予想され,実現は容易ではない.一方で医療スタッフの意欲や満足感を高めるといったインセンティブも期待できるため,プロトコルの実現に多職種で取り組めば,チーム医療の目標として有意義と思われる. NPPV にかかわるスタッフ教育については,Elliott らが必要な項目についてまとめている(表3)16).NPPV を行う施設では,NPPV に特化した教育プログラムを提供することでスタッフの技術を高め,成功率を改善できるとする報告が多数ある21, 22).特に患者の急な状態変化やトラブル時には,的確に対応することが求められる. NPPV 専用器において多くみられる警報の種類とそれに対する対処法を表4 に示すが,これらの教育は職種を越えて共有されるべきであり,ともに教え・学ぶことでチームが形成され安全意識が向上すると考えられる. 4 維持困難期の安全 CQ.NPPV の失敗にどのように対応するべきか? 1NPPV 失敗を予測し,治療戦略の見直しや気管挿 管・人工呼吸などに移行する準備を行う. 急性呼吸不全症例では,NPPV 中の呼吸状態の悪化や合併症の発生,NPPV の拒否は「NPPV 失敗」として気管挿管・人工呼吸への移行を考慮する.喘息や肺炎, ARDS などはNPPV 失敗の可能性が高く,はじめから十分な準備を行って24 時間体制で対応できるようにする必要がある.一方,NPPV 失敗を予想できれば,環境整備や人員の配置を前もって調整し,来るべき挿管処置に備えることができる.NPPV の限界の基準や気管挿管・人工呼吸へ移行するタイミングについては,アシドーシス 推奨度B 推奨度C1 レベルIV推奨度C1 レベルVI 推奨度B 表2 NPPV を施行する場所の条件 NPPV に関して訓練され専門知識のあるスタッフが勤務 4 時間適切なスタッフが対応可能 NPPV の成功率の想定 (文献1,16 より引用改変)表3 NPPV 管理に求められるトレーニング目標 ぶ する,看護師,技士などすべての職種が(NPPV に関する)技術の重要性を認識すること(最重要) NPPV の有用性を理解するために特別な教育プログラムが必要(文献16 より引用改変)