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p.39 抽出テキスト

1 はじめに

まず,はじめにNPPV では通常鎮静を必要としない.海外の報告であるが,欧州では24%程度で鎮静が行われ,米国では41%で鎮静が行われている1).日本での調査では,NPPV 中の鎮静は56%の症例で施行されており,使用薬剤はdexmedetomidine が最多(27%)と報告されている2).

つまり,多くの場合には鎮静は必要とされていないのが現状である.しかし,鎮静を必要とするケースがあるのも事実である.

急性呼吸不全に対するNPPV の使用は増加しているが,その鎮静ガイドラインは存在していない.通常, NPPV による呼吸補助により,呼吸状態が改善し,快適性が増す.従来,NPPV 中に鎮静を行うことは禁忌とされてきた.過鎮静になり,気管挿管に至ることもあるのも一因である.しかし,通常の気管挿管人工呼吸では,日内変動をつけた鎮静管理が可能になり,人工呼吸装着期間やICU 在室期間の短縮につなげることが可能になってきている3).抜管後のNPPV 移行症例も多くなっている現在では,NPPV 中の鎮静は着目されている.また,患者のなかには鼻口マスクによるNPPV そのものに耐えられない場合もある4).そして,従来相対的禁忌とされてきた不穏状態において軽度鎮静をかけることによりNPPV を行う可能性も検討されている5).

2 鎮静薬の必要性

NPPV 中に不穏に陥り,一部ではせん妄に至るケースも認められる.それによる合併症も生じる6, 7).これらが原因となりNPPV 治療の失敗に至るケースも起こりうる8).また,一見NPPV 治療がうまくいったような場合でも,不穏・せん妄のような状況でICU 退室すると,一般病棟でhaloperidol などの多用の結果,痰詰まりから再挿管,そしてICU 再入室というケースもある.

このように,せん妄・不穏はNPPV 失敗の要因であり,この前駆症状の90%は不眠である.つまり,不眠に対処が必要であり,この原因となりうる不十分な鎮痛や

生理的原因の除去を確認したのち,最小限の鎮静をしていく必要がある場合も存在する.まずは,患者とのコミュニケーションで原因を抽出すべきである.

Masip らの報告では急性呼吸不全に対するNPPV 治療において,9%がマスクの不快感や患者の協力が得られず気管挿管に至っている9).同様にDelcaux らの報告では14%が,Carlucci らの報告では22%が気管挿管に至っているとしている4, 10).NPPV 治療を継続するために,選択的に鎮静をする必要がある.その頻度は,10〜20%程度であり,その他の80〜90%は鎮静の必要もなく患者の協力が得られ,NPPV を開始し継続しているということは忘れてはならない.NPPV 中の鎮静は通常,ICU またはそれに準じる環境で行われるべきである.ただし,末期呼吸不全の緩和的治療などにおいてはこの限りではなく,病状や患者家族の意向を踏まえて適切な医療環境を選択することも可能である.

3 鎮静薬の開始時期

鎮静前にまず行うべきことは,1鎮静薬を使用せず解決できる問題がないかを検討,2NPPV の設定が適切かどうかを確認,3患者とのコミュニケーションの確立, 4患者環境の詳しい説明を行うことである.

NPPV 中のメンタルケアも重要である.1不安・苦痛の緩和(患者の訴えを傾聴,現状理解の有無,コミュニケーション方法の確認,治療意欲の動機づけ,家族協力の獲得,睡眠環境の整備),2口渇の緩和(フローが強いため,口渇を生じやすい),3消化器症状の確認(腹部膨満,嘔気・嘔吐),4気分転換をしていく必要がある.

また,鎮静を行うことにより,NPPV による気道管理がうまくいかなくなり気管挿管となることもあることに注意をしながら,鎮静を開始しなくてはならない.そのため,鎮静薬使用前にすべきことを先行すべきであるが,不眠・不穏・せん妄が表出してくれば,不眠に対処していく必要がある.本来,不穏状態ではNPPV は相対的禁忌であり,気管挿管を検討すべきであるが,軽度の鎮静

総 論

NPPV と鎮静薬の使用

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