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b.マスクの装着 急性期導入に引き続き慢性期に移行する場合と,慢性期になってはじめて導入する場合とで,マスクフィッティングはかなり異なる. 前者では,急性期を通じて患者自身マスクに対する恐怖心も薄れ,また息切れがマスク換気によって軽減したという体験を持つ場合もあり,その後のマスク装着率(アドヒアランス)に影響を与える. 表4 に,マスク装着の場合の基本的なステップを記載しているが,要点は徐々に機器からの高流量の気体に慣れさせ,咽頭の力を抜き声門を開放させて,一定の気道内圧をつくりながら吸気がほぼ一定の間隔で続けられ,また多少の抵抗はあるものの呼出できるということである. 6 回路と加湿の選択 NPPV 機種では,通常,吸気・呼気回路が1 本になったものが使用されるが,機種ごとに決まった回路が専用で使用されるべきで,他機種のものを代用することは原則的にはできない(回路のコンプライアンスやリークの違いの問題).なお一部の機種(Trilogy®)ではactive 回路(呼気弁を持つ)とpassive 回路(呼気ポート使用)との2 系統の回路を持つ機種があり,原則として前者は気管挿管あるいは気管切開(active flow 回路),後者はマスク換気用に使い分けなければならない脚注). 加湿については,急性期用NPPV(BiPAP Vision®, RespironicsV60®など)では通常設置されているが,それ以外の慢性期用呼吸器では,装備されていない場合が多い.元来NPPV は上気道を介しての送気のため,ある程度加湿はされるものの,口やマスクからのリーク流量の多い場合には,回路に加湿装置を入れたほうがよい20). 上気道が乾燥したまま長期使用していると,咽頭に分泌物の塊ができて,上気道閉塞など思わぬ合併症を招くことがある. 脚注):気管切開でもpassive 回路は使用できる場合がある. 7 併用酸素吸入方法 特にHOT 患者で,本治療の導入対象であるCOPD や肺結核後遺症などでは,換気不全に加え低酸素血症が併存することが多い.小型のNPPV 機器では通常O2 ブレンダーが存在しないため回路の根元あるいはマスクからO2 を投与する.NPPV の場合,FIO2 を規定する要素としては,上記の酸素投与部位や吸気・呼気圧・マスク死腔量など,装置だけでなく,患者側の要因として換気量やリークなど複雑な因子が関与している21). したがって,回路根元からのO2 投与は,回路のintensional leak のため,FIO2 を上げる効率は悪いが,一定の酸素濃度を保ちやすい.一方マスクからの投与では,呼吸状態によって酸素濃度の変動が大きいが,FIO2 を上げる効率が高くなる場合もある.ただし,マスクの種類によっては逆にFIO2 が予想より低くなる場合もある.すなわちNPPV 中はマスクのdead space に関してphysiological dead space(生理学的死腔)の一部となるという考え方があり,マスクポートよりO2 を投与するとき,マス 表3 鼻マスクと鼻口マスクの特徴 利点欠点 鼻マスク 鼻口マスク 表4 覚醒中のマスクフィッティング装着訓練1.30 分程度マスク装着に付き添える時間をつくる. 2.まずはマスクを手に持って患者の顔に当てて支え,呼吸に合わないときには外し,呼吸器が呼吸に同調することを体感してもらう. 3.呼吸と換気の送気が合ってきたら,ストラップできつくならないように固定する. 4.鼻口マスクでは会話してもマスクの位置がずれたり外れたりしないことを確認する. 5.すべてのマスクでリークは起きるため,呼吸が同調していればある程度のリークは許容する. 6.経時的にリーク量,換気量,SpO2 や血液ガスの結果を評価し,許容リーク量や呼吸器設定の再評価を行う.