p.24 抽出テキスト
NPPV 専用機種の多くは,吸気時には吸気圧(inspiratory positive airway pressure:IPAP),呼気時には呼気圧(expiratory positive airway pressure:EPAP)をかけるbilevel PAP 方式を採用している1, 3).内蔵したブロアーで圧力を発生させる仕組みで,圧力を制御弁で調整する機種やブロアーの回転数で調整する機種がある.ブロアーの送気能力は最大流量で100〜240L/分あり,多少のリークや窮迫した患者の吸気需要にも十分に対応できると考えられている1, 2).圧力の設定範囲は機種ごとに異なり, EPAP の下限は2〜4cmH2O で上限は15〜25cmH2O, IPAP の下限は0〜4cmH2O,上限は20〜40cmH2O となっている.最大のpressure support(IPAP−EPAP)は16〜37cmH2O で,急性期,慢性期のほぼ全症例に対して十分な換気能力があると考えられる.人工呼吸器本体の重量は,急性期用の機種では,酸素濃度モジュールや大型モニターを装備しているため,在宅用の機種と比較すると重くなっている.一方,在宅用の機種は,2kg 前後と軽量であるが,流速(フロー)や酸素飽和度(SpO2)などもモニタリングできるような機能を搭載した機種もある.外部回路は1 本のチューブからなり,回路内は常に陽圧に保たれている.マスク近傍の呼気排気孔より,吸気・呼気を通じて常にリーク(intentional leak)を生じている.また,NPPV 中にはマスクのずれや鼻マスク使用時の開口による予期せぬリーク(unintentional leak)も生じる.このため,これらのリークを前提として自動的に供給流量を調整して,設定圧や吸気・呼気トリガー感度を維持できるように設計されている.なお,チューブ内やマスク内に溜まった呼気に含まれるCO2 は呼気排気孔を通して排気されるので,呼気を十分に洗い出し,CO2 の再呼吸を防ぐためには,ある程度のEPAP(一般的には4cmH2O 以上)が必要になる4).呼気排出孔のないマスクを使用する場合は,チューブとマスクの間にウィスパースイベルコネクター(呼気排出孔のあるコネクター)などを接続して使用する.前述のとおり,痰などによる呼気排出孔の閉塞は非常に危険であるため十分に注意する. 利点としては,回路内のリークを前提としたNPPV 専用機種のため,リークの補正やトリガー方式にさまざまな工夫がなされていることがあげられ1, 2),機種によっては,圧トリガー,フロートリガー,ボリュームトリガーをはじめとして,シェイプトリガーといった特殊な方式が用いられているものもある.また,在宅用機種はブロアー内蔵型のため圧縮空気の配管設備やコンプレッサーを必要とせず小型軽量であり,極めて静音性に優れている.最近では,機器の進歩により病態に合わせて1 回のpressure support や換気量,バックアップ換気の頻度を含む細かな設定を自動的に行う機種も出てきている.また,いずれの機種においてもEPAP の圧力範囲を広く取ってあり,COPD やチェーン・ストークス呼吸に合併した閉塞性睡眠時無呼吸にも対応できる.また,従圧式 人工呼吸器を使用するうえで,上気道閉塞をきたす症例では上気道を開存しうるEPAP レベルを設定しないとpressure support がうまく機能せず,換気が不十分になることを知っておく必要がある. 一方,欠点として,マスクが大きくずれたり,想定以上の大量リークの補正は不能で,設定した圧を維持することができなくなることがあげられる5).このような場合,鼻マスク使用時は,鼻口マスクに変更したり,チンストラップなどで対処する.それでもリークが著しい場合には,NPPV の中断を余儀なくされることもある.必ずしもNPPV 専用機種に限ったことではないが,トリガーに関しては以下のような問題点がある.1一般にトリガー感度に優れているが,喘息発作あるいはCOPD の増悪時など自発吸気流速の極めて小さい症例では,患者の吸気努力があるにもかかわらず吸気トリガーのかからない場合がある.2unintentional leak を患者の吸気流と判断して,auto triggering(患者が吸気努力をしていないのに機器が勝手にIPAP を開始すること)を起こすことがある.3COPD のように吸気終末時に吸気流速が減弱しにくい症例や大量のリークが存在する場合などでは,呼気トリガーが働かず,患者の吸気努力が終了し呼気努力が始まっているのにもかかわらずIPAP が供給され続けることもある.4肺・胸郭のコンプライアンスの小さい肺結核後遺症などでは急速に吸気流量が減弱するため, auto cycling(患者が吸気努力を続けているにもかかわらずIPAP がEPAP に切り替わること)することがある. 吸入気酸素濃度(FIO2)を設定できるのは急性期用の機種のごく一部の機種に限られ,在宅用の機種ではマスクやマスク近傍のポートから酸素を供給するため,吸入気酸素濃度(FIO2)を50%以上にすることは難しい.酸素流量が多過ぎると十分なトリガー感度を維持できなくなる場合があるので,高濃度酸素が必要な症例には注意を要する. また,クリティカルケア型人工呼吸器に比べ,モニタリング機能が不十分である.圧,換気量,流速をディスプレイ上に表示できる急性期用の機種でさえ,換気量の測定は不正確とされている. 一方,これもNPPV 専用機種に限ったことではなく,従圧式人工呼吸全体にいえることであるが,肺コンプライアンスの変化により換気量が変動するため,症例によっては十分な換気が確保できないことがある. c.排痰ケア用装置 終末期の神経筋疾患およびCOPD や肺結核後遺症の増悪時では,吸気筋筋力が低下しているだけではなく,呼気筋筋力も低下している.有効な排痰のためには,咳のときに160L/分の呼気流速が必要といわれている6).排