p.20 抽出テキスト
b.睡眠呼吸障害の型 睡眠時酸素飽和度を連続測定すると図2 に示すように,短時間にSaO2 の低下と回復を繰り返す無呼吸型と比較的長時間SaO2 が低下する低換気型がある24).無呼吸型は閉塞型と中枢型に分類され,中枢型はさらに主に中枢型とCSR に分類される25). 1)無呼吸型 閉塞型が最も多く,閉塞性無呼吸は肥満,扁桃肥大(内腔が狭い),小顎症(骨格が狭い)などのために上気道が狭小である場合に,覚醒時は咽頭周囲筋の活動が最大に近く,咽頭の開通が保たれているが,睡眠に伴う筋緊張低下により,吸気時の陰圧により咽頭が閉塞し,無呼吸となる26).また,肺気量の低下により咽頭は閉塞しやすくなり27, 28),肺内の酸素量が低下し,無呼吸,低換気により低酸素血症は悪化しやすくなり呼吸調節に影響を与える.非肥満例の男性のOSA では仰臥位への姿勢変化に伴い下肢から頸部へ水分移動し,咽頭が閉塞しやすくなる29).CSR では肺への水分移動により過換気となり, PaCO2 が低下しCSR の原因となる30). 無呼吸時入眠し,呼吸再開時には脳波上短期覚醒を伴い,無呼吸ごとに入眠と覚醒を繰り返す.閉塞性睡眠時無呼吸症候群で使用されるNCPAP は,陽圧負荷による気道確保であり,閉塞性睡眠時無呼吸症候群では,呼吸筋の低下はないので,気道確保を行えば,無呼吸は消失する31). 2)低換気型 睡眠時低換気は呼吸補助筋の筋活動低下あるいは横隔膜活動が増加しないことによる低換気(特にREM 睡眠時に悪化する)が主な原因であり32),無呼吸が秒単位であるのに比し,少なくとも数分単位で続く(図2).このため,無呼吸低呼吸指数(AHI)としては増加が少ない場合もある.さらに,睡眠に伴う上気道抵抗の増加と吸気筋の活動低下が同時に起こる場合もあり,低換気はさらに悪化しうる.たとえば,肺機能低下を伴う肥満低換気症候群の症例に気管切開を行った場合には,無呼吸は改善するが,REM 睡眠時に伴う低換気が残存する場合がある33). また,睡眠による機能的残気量の低下などにより肺内の酸素量が低下し,無呼吸,低換気により低酸素血症は悪化しやすくなる34).これらの睡眠呼吸障害により,呼吸不全,心不全の原因あるいは悪化因子となり,悪循環を形成し,NPPV などにより歯止めをかける必要がある. 睡眠呼吸障害の睡眠の質に対する影響は,低酸素血症などにより中途覚醒が増加し,REM 睡眠で,特に低換気は悪化し,睡眠の質が低下する35). 5 睡眠呼吸障害とNPPV 侵襲的人工呼吸は,挿管チューブによる気道確保と人工呼吸より成るが,NPPV も同様の作用が必要である.鉄の肺などの陰圧型人工呼吸器では,呼吸補助は可能であるが,気道確保の作用がなく,睡眠時,上気道閉塞による閉塞性無呼吸をきたすことがあるため症例により効果が異なり,また装着は煩雑である.NPPV は,陽圧により気道確保するとともに,IPAP とEPAP の圧差がpressure support 圧となり,呼吸補助可能で,最も有効と考えられている.装着も容易であり,慣れれば自己装着できる. 後側彎症,結核後遺症や,神経筋疾患では上述のようにREM 睡眠時には横隔膜活動が増加しないため,あるいは,呼吸補助筋活動の低下の影響が大きい場合,さらに上気道抵抗の増加などにより低換気が悪化するため, NPPV の適応となる. CPAP,NPPV のみで,睡眠時のdesaturation が改善しなければ,酸素吸入の併用が必要となる. 睡眠時のhypercapnia,hypoxemia の悪化に対して酸素吸入を行った場合には,限界があることが多く,NPPVが適用される36).通常は夜間にNPPV を行う.PaCO2 の改善が不十分であれば,昼間,数時間追加する.あるいは,NPPV により不眠となれば,昼間行う場合もある. Time 1:00 2:00 4:00 5:00 0 1 2 3 睡眠 ステージ 100 90 80 70 60 50 40 SpO2 % 70 100 90 80 60 50 PtcCO2 mmHg 図2 睡眠時呼吸障害のパターン 左に短時間のSpO2 の低下と回復を繰り返す無呼吸型と,右に急速眼球運動睡眠時に悪化する低換気型を示す. PtcCO2:経皮PCO2. (文献24 より引用)