GL検索 v0.1.0
画像は 18 ページを描画したものです
page 18

p.18 抽出テキスト

睡眠時無呼吸症候群の治療のために持続気道陽圧療法(continuous positive airway pressure:CPAP)が導入され,その後,多種類の鼻,口マスクなどが利用できるようになり,小型で,在宅で使用しやすいbilevel PAP が開発され,主にII型呼吸不全に合併する睡眠呼吸障害の改善のために使用されてきた.近年ではPaCO2 はむしろ低い心不全に伴うCheyne-Stokes 呼吸(CSR)に,CPAP, adaptive servo ventilation(ASV)などが使用されるようになっている.覚醒時高二酸化炭素血症から低二酸化炭素血症まで,種々の睡眠呼吸障害に対象が広がっているが,本項では主にII型呼吸不全について述べる.

高二酸化炭素血症を伴う慢性呼吸不全で,在宅人工呼吸の方法としてNPPV が適用され,主に睡眠時使用することにより,予後,非使用時の血液ガス,呼吸困難,朝方の頭痛,倦怠感などの自覚症状が改善する1〜6).この機序として,睡眠呼吸障害の改善,呼吸筋負荷の改善,呼吸調節系のリセッティング(NPPV によりPaCO2 を低くすると,呼吸調節系がより低いPaCO2 を維持する),などが考えられている7).種々の原因によるII型慢性呼吸不全で適用されるが,肺胞低換気という共通の問題と,それぞれの原因疾患により,睡眠呼吸障害,呼吸筋負荷,呼吸調節系の異常の各疾患への寄与が異なるために,開始時期,NPPV の主目的が異なる面がある.たとえば,肥満低換気症候群では睡眠呼吸障害の役割が大きく, COPD では呼吸筋負荷,睡眠呼吸障害の関与が考えられる8).神経筋疾患,後側彎症による胸壁の拘束性疾患ではPaCO2 の改善とともに二酸化炭素換気応答が改善するが,呼吸筋力,呼吸機能のメカニクスの変化はなく,この疾患群では呼吸調節の改善が主な効果と考えられる9).このように,共通する肺胞低換気の理解および原因疾患に応じた病態生理の評価とそれぞれの疾患に適した導入時期の決定が必要となる.

1 肺胞低換気

肺胞低換気による高二酸化炭素血症,低酸素血症のために,睡眠呼吸障害,右心不全などをきたし,呼吸困難などの悪化,睡眠呼吸障害による症状をきたす.睡眠時

などの低換気の悪化によりPaCO2 は増加し,SpO2 は低下し,肺胞低換気ではわずかの肺胞換気量の増加によりPaCO2,SpO2 は改善するため,NPPV により効果が期待されることになる(図1)10).

NPPV による血液ガスの改善の判断には,血液ガスの測定が必要となる.SpO2 の測定によるモニターが簡便であるが,低換気の指標として,SpO2 によってPaCO2 の変化を推定することは,空気呼吸では大きな変化がないと困難で,軽度の高二酸化炭素血症ではSpO2 の低下はわずかであり,血液ガス測定が必要となる.酸素吸入を行っている場合にはSpO2 の変化がわずかでも,より大きくPaCO2 が変化することがあるので,血液ガス測定がより必要である.

2 呼吸調節

高二酸化炭素血症が続くと,腎よりHCO3 −の再吸収が増加し,最終的には脳脊髄液中のHCO3 −が増加する.さらにPaCO2 の増加が起こった場合に,脳脊髄液中のpHの低下が少なく,CO2 感受性がさらに低下し,呼吸刺激の低下の一因となり,PaCO2 の上昇をより起こしやすくなる悪循環を形成すると考えられる.しかし,臨床的にこのような機序が高二酸化炭素血症と関連しているかのエビデンスはないが,NPPV による睡眠呼吸障害の改善とPaCO2 の改善により高二酸化炭素換気応答は改善すると考えられる.いずれにしても,NPPV によるPaCO2 の低下が悪循環を断ち切ることになると思われる.

3 呼吸筋負荷

慢性閉塞性肺疾患(COPD)では,呼吸筋疲労の概念のもとに呼吸筋の安静のために陰圧型人工呼吸器を使用し11),覚醒時1 日数時間の使用で効果をみるトライアルが行われた.PaCO2 により効果を判断すると,文献的には60mmHg 前後であればPaCO2 の低下が期待できる12, 13).これらの報告は,呼吸筋力の増加などはほとんど一致し

総 論

NPPV からみた慢性呼吸不全

2