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p.144 抽出テキスト

1 はじめに

肥満低換気症候群(obesity-hypoventilation syndrome: OHS)は,著しい肥満と日中の肺胞低換気を示す病態であり,過去にPickwick 症候群1)と呼ばれていたものに相当する.現在では,OHS は閉塞型睡眠時無呼吸症候群(obstructive sleep apnea syndrome:OSAS)の最重症型と考えられている.OHS に関して,これまで明確な定義はなかったが,近年,厚生省研究班(栗山班)2)が表1 のような定義を発表しており,診断と治療のための指針も公表されている.しかし,この定義は日本独自のものであり,AASM(American Academy of Sleep Medicine)3)では,特にOHS を分類せず,sleep hypoventilation syndromeのなかに含め,BMI(body mass index)>35kg/m2 を危険因子としている.しかし,最近発表されたいくつかのレビュー4〜6)ではOHS という言葉が用いられており, BMI>30 kg/m2 と日中の肺胞低換気(PaCO2>45mmHgおよびPaO2<70mmHg)に睡眠呼吸障害(sleep-disordered breathing:SDB)を伴う病態と定義されている.近年注目されている最大の理由は,罹患率の高さと予後の悪さであり,有病率は全SDB 患者の10〜20%に過ぎな

いのに死亡率は高く,図1 4)に示すように明らかな予後不良が示されている.したがって,OHS に対しては早期の適切な診断と有効な治療が望まれる.

2 治療法の選択

a.減 量

OHS は高度の肥満(BMI>30kg/m2)を伴っているため,減量は常に考慮されるべき治療法である.OSAS に対する減量の効果は大規模研究で明らかにされており,

各論B:慢性呼吸不全

肥満低換気症候群

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CQ 19肥満低換気症候群に対して,CPAP とbilevel PAP のいずれを第一選択とすべきか?

回答:肥満低換気症候群は,高度肥満(BMI≧30kg/m2)・高二酸化炭素血症(PaCO2≧45mmHg)を

伴う重症のOSAS(AHI≧30)例が多く,ガス交換障害が高度であるため循環系合併症を惹起しやすく,予後不良の病態である.前向きのコホート研究でCPAP 単独でも有効性が期待できることが示唆され,ランダム化比較試験でbilevel PAP のCPAP に対する優位な治療効果が示されていないことから,減量と同時にnasal CPAP が治療の第一選択と考えられる.しかし,通常のOSAS 患者に比し高圧のCPAP が必要なことが多く,その不快感のため治療の継続が難しかったり,CPAP だけでは睡眠中の低呼吸やdesaturation を是正できない場合は,bilevel PAP による治療が必要となる.

CQ19 推奨: 1肥満低換気症候群に対し,第一選択としてCPAP を使用する.【エビデンスレベルIII,推奨度B】2CPAP の治療効果が不十分であれば,bilevel PAP を使用する.【エビデンスレベルIII,推奨度

C1】

表1 肥満低換気症候群(OHS)の診断基準1高度の肥満(BMI ≧30kg/m

2)を呈する. 2日中における高度の傾眠を呈する. 3慢性の高二酸化炭素血症(PaCO2 >45mmHg)を呈する. 4睡眠時呼吸障害の重症度が重症以上(つまり,無呼吸低呼吸指数≧30,SaO2 最低値≦75%,SaO2 <90%の時間が45 分以上または全睡眠時間の10%以上,SaO2 <80%の時間が10 分以上,などを目安にして総合的に判定する)であること.診断の基準: 上記1~4のすべてを満たす場合