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p.14 抽出テキスト

総 論

NPPV からみた急性呼吸不全

1 NPPV の定義

上気道から陽圧を用いて換気を行う方法を非侵襲的陽圧換気療法(noninvasive positive pressure ventilation: NPPV)と呼ぶ.厳密に定義をすると換気の点でCPAP (continuous positive airway pressure)はNPPV には含まれないという議論もあるが1),どちらも急性呼吸不全に使われるため,また同じような効果があることから区別をしないで用いられることが多くなってきた1〜5).両者を含む意味でNIV(noninvasive ventilation)という言葉が用いられることも多い.ただしNIV は,陰圧式の人工呼吸を含む概念でもあるので注意が必要である.最近は「侵襲的なインターフェイス(たとえば気管内チューブや気管切開チューブ)を使用しない陽圧換気療法」という臨床的に分かりやすい定義を用いるガイドラインも多い2, 3, 5, 6).なお,本ガイドラインでは,明確に区別をした場合を除き,CPAP を含む意味でNPPV という言葉を使用する.

2 急性呼吸不全に対するNPPV 使用の歴

史的な流れ

1950 年代の陽圧型人工呼吸器の普及以来,急性呼吸不全に対する人工呼吸には気管挿管または気管切開による侵襲的な陽圧換気法が多く使われてきた.非侵襲的な換気法としては,1976 年にGreenbaum ら7)の心原性肺水腫,肺炎,術後呼吸不全にCPAP をフェイスマスクで使用して挿管率が43%であったという報告があり,その後1980 年代には約10 の論文が発表され,さまざまな疾患にマスクCPAP が使用されたが,NPPV という言葉はまだなかった.

1989 年Meduri らのマスク換気を行った報告8)以降, NPPV という言葉が認識され,徐々に急性呼吸不全に対して使用されるようになってきた.Sassoon の総説9)によれば,1989〜1994 年までのNPPV に関する17 の報告(急性呼吸不全,患者総数393 例)をすべてまとめた成功率(気管挿管しないで管理できた割合)は70%であり,患者の半数以上は慢性閉塞性肺疾患(COPD)の増悪であった.米国呼吸療法学会の1996 年のNPPV に関する会議

報告10)によれば,同年までに全世界で報告された急性呼吸不全に対するNPPV の使用症例数は872 症例であり,数年で飛躍的に報告が増えていた.この会議報告でも, COPD の増悪の患者が半数以上であり,全体の成功率は約75%であった.最近でもAmbrosino らの総説11)によれば,2007 年までにNPPV に関して1,024 の論文が発表されており,その数は増加傾向にあるという.

論文数だけでなく,実際に臨床でNPPV が使用されるようになってきたかどうかについての調査の論文は2 つある.フランスのICU における1997 年とその5 年後の比較では12),すべての人工呼吸のうちNPPV の使用は16%から23%に有意に増加していた.また,別の23 箇国の調査13)でも1998 年と2004 年の比較で全人工呼吸におけるNPPV の使用率は4.4%から11.1%へと有意に増加していた.この2 つの調査においても,疾患としてCOPD の増悪が最も多かったが,他の急性呼吸不全での使用も増えていた.日本でも2006 年に多施設での症例登録が報告されており14),施設による使用頻度のばらつきはあるが挿管回避率は80%以上であった.このようにNPPV は1990 年代以降,次第に一般的に使用されるようになってきた比較的新しい呼吸管理の一方法である.

3 急性呼吸不全に対するNPPV 施行の実

際の流れ

NPPV は世界的に使用される機会が増えるとともに,その適応疾患も拡大し,また適応のゴールについても幅が広がっている.インターフェイスや人工呼吸器自体の進歩もこの20 年間では大きいものがあるが,これらについては他の項目で述べられる.

NPPV を施行するには,まず,1その施設のどの部署でNPPV を行うのか(ICU か,急患室か,一般病棟か)を考え,次いで2その部署のスタッフをどのように教育するか,を考える必要がある.NPPV を成功させるための教育の重要性はすでに指摘されており15〜17),施設間のNPPV 施行率の差にも影響しているといわれている18).

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