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p.129 抽出テキスト

たうえで,長期NPPV の導入を検討する.ただし,安定期の昼間覚醒時自発呼吸下においてPaCO2≧60mmHg となる症例に対しては,長期NPPV の導入を強く勧める11).長期NPPV を導入して血液ガス所見が改善したあとに,もともとあった自覚症状に気づく症例が多い.自覚症状がなく,睡眠時および覚醒時の低換気がない症例に対しては,予防的に長期NPPV を導入する必要はない.ただし,基礎病変が重度で,肺活量の低いハイリスク群に対しては厳重な経過観察が必要となる.高二酸化炭素血症を伴う呼吸器系増悪入院を繰り返す症例や急性期を脱したあとも高二酸化炭素血症が続く症例は,長期NPPV の対象となる.

5 RTD におけるNPPV の機種および設

定

RTD では,従量式と従圧式人工呼吸器(bilevel PAP)との間で,数ヵ月間の使用では睡眠の質や血液ガスおよびQOL に与える影響はほぼ同様であった41).NPPV 導入にかかる日数にも変化がなかった42).ただし,従量式に耐えられず従圧式に変更する患者は多い43).長期間の多施設研究でも年が進むにつれ,使用される機器の割合が従量式から従圧式に変わってきていることも報告されている27).

使用する換気モードは症例ごとに選択することが望ましいが,Pressure Support mode(PS モード)やAssist Control mode(AC モード)あるいはSpontaneous mode (S モード)やSpontaneous Timed mode(ST モード)のように主として人工呼吸器が患者の呼吸に合わせるタイプの換気形式と,Control mode(C モード)やTimed mode (T モード)のように患者が人工呼吸器の送気に合わせる換気形式がある.呼吸筋の休息のためにはC やT モードのほうが優れている可能性が報告されている43).従量式人工呼吸器で,C モードとAC モードを比較して,6・12月後の評価では血液ガス・肺機能・使用時間・患者の満足度に差がないことが示されている44).一方,長期NPPV を導入した肺結核後遺症182 症例に関して,選択したモード別に比較し,両群に血液ガスの改善には差はなかったが,10 年後の継続率でC,T モード群(106 症例)41.4%に対してAC,ST モード群(76 症例)12.7%であったとの報告がある28).RTD 症例では,長期NPPV 導入時にはC,T モードとAC,ST モードの両方の換気モードを試し,患者がC,T モードを好めばC,T モードを選択すべきものと思われる.

患者の自発呼吸をできるだけ忠実に増強しようとする発想でつくられたProportional Assist Ventilation mode (PAV モード)がRTD 症例にも試みられている.PS モードと同等とする報告45, 46)もあるがPS モードに劣るとする報告47)もある.呼吸調整が正常でない換気不全患者に

おけるこうしたモードの限界が示されたものと解釈される.

最新のモードとして,肺胞換気量を一定に保つように設定されたモードであるAutoVPAP のRTD 症例における臨床的評価も行われているが,夜間のPaCO2 のコントロールが不良とする結果が報告されている48).

S モードやST モードにおける,吸気トリガー感度はauto triggering(患者が吸気努力していないのに器械が勝手に吸気圧を開始すること)しない程度に鋭敏に設定し,呼気トリガー感度はRTD のように吸気流速の減弱しやすい症例ではやや鈍く設定する.rise time(吸気開始から設定圧に達するのに要する時間)は患者が快適に感じるように設定するが,RTD では圧の立ち上がりを強く感じる症例が多いため,やや長めの0.1〜0.3 秒程度に設定する.吸気の最大時間は患者が自発呼吸で行う最も長い吸気時間に設定するが,もともと吸気時間の短いRTD では1.2秒程度に設定する.吸気の最小時間は吸気トリガーのかかったあとの最低限の吸気時間を確保するために用いる.吸気の最小時間が長過ぎると患者が呼気努力を開始した後も吸気圧がかかり続けることになるが,RTD ではSTモードをT モードに近い換気様式にするためにも,やや長めの0.8 秒程度に設定する.

T モードを用いる場合,IPAP が低過ぎると人工呼吸器との同調が悪くなるのでST モードより2〜4cmH2O 程度高めに設定し,換気回数は患者の自発呼吸を抑制するように多めの24 回/分前後に,吸気時間率(I%)は40%前後に設定する.

一般に,入院での十分な評価を繰り返したうえでの長期NPPV 導入が好ましいとされてきたが,医療者がNPPV に精通するにつれて外来での導入も可能となってきた49).また,患者,医療者ともに在宅でNPPV を十分な時間行っていると感じていても,実際は思っているほどには使用できていないことが指摘されている50).機器に内蔵されたデータの解析などが長期の管理には必要と考えられる.

RTD における,bilevel PAP 型人工呼吸器の代表的な設定例を表2 に示す.

文献1)毛利昌史,町田和子,川辺芳子,ほか:肺結核後遺症による在宅酸素療法症例の検討—内科的治療群と外科的治療群の比較—.結核1996; 71: 597-601. 2)Bredin CP: Pulmonary function in long-term survivors of thoracoplasty. Chest 1989; 85: 18-20. 3)Pehrsson K, Bake B, Larsson S, et al: A lung function in adult idiopathic scoliosis: a 20 year follow up. Thorax 1991; 46: 474-478. 4)McNicholas WT: Impact of sleep in respiratory failure.

レベルIV