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p.126 抽出テキスト

1 肺結核後遺症の成り立ち

RTD の主たる疾患である肺結核後遺症について説明する.肺結核後遺症による慢性呼吸不全は,外科的治療群と内科的治療群に分けることができる.有効な化学療法がなかった時代の治療は,胸郭成形術・肺切除術や人工気胸術などのいわゆる外科的治療が主体であった.胸郭成形術は数本の肋骨を切除し胸郭を縮める手術であり,人工気胸術は胸腔内に空気を繰り返し注入する手技であり(結果として慢性膿胸になることが多かった),ともに空洞を含む肺を虚脱させ病巣の換気と血流を減らして病勢を抑制することを目的とした.また,肺切除術は病巣を含む肺部分を切除するものであり,胸郭成形術を併用することが多かった.INH,RFP を中心とした強力な抗結核薬が導入されてからは,多剤耐性結核以外は化学療法が治療の主体となった.しかし,広範で重篤な肺病変を有し,強力な化学療法により結核感染は治癒したものの,数年以上を経て瘢痕化に伴って気道や肺実質が破壊され,呼吸不全を生じるケースもある(内科的治療群).一般的に,内科的治療群は,外科的治療群に比べて拘束性換気障害の程度が軽度で高二酸化炭素血症を伴う頻度は低く,気道や肺実質の損傷が著しいため,閉塞性換気障害の程度が重度で,気道感染を生じやすく,喀痰量が多く,去痰困難を呈することが多い1). 2 RTD の病態生理

a.換気障害

RTD の呼吸機能障害の特徴は拘束性換気障害である.肺結核後遺症では,人工気胸術・横隔神経捻除術・胸郭成形術・肺切除術などの外科的治療後30〜40 年して拘束性換気障害を生じることが多い2).人工気胸術後に生じる胸膜の肥厚・強度な癒着や慢性膿胸および胸郭成形後に生じる胸郭の硬化や変形による胸郭コンプライアンスの低下,肺切除後の肺容量の亡失および人工気胸術・胸郭成形術後の肺容量の圧排減量などによる肺コンプライアンスの低下,手術による直接の障害や横隔神経麻痺のため生じる呼吸筋筋力の低下に,胸郭の左右非対称性が不利に働き,拘束性換気障害を生じる.なお,高率に閉塞性換気障害を合併するが,その程度は軽度なことが多い.閉塞性換気障害を生じる原因として,繰り返す気道感染や喫煙による気道の炎症性リモデリング,手術例における過伸展気管支の影響,胸郭変形に伴う脊椎や大血管に挟まれることによる太い気管支(左主気管支など)の狭窄,喫煙による気腫性変化や術後残存肺の過膨張が考えられている.脊椎後側彎症は,肺内病変がさらに少ない点を除けば,病態生理は肺結核後遺症とほぼ同様である.RTD では,平均で肺コンプライアンスは1/2 に,胸郭コンプライアンスは1/4 以下にまで低下し,肺活量・

各論B:慢性呼吸不全

拘束性換気障害

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CQ 16拘束性胸郭疾患による慢性呼吸不全に対し,長期NPPV を使用すべきか?

回答:肺結核後遺症や脊椎後側彎症などの拘束性胸郭疾患(restrictive thoracic disease:RTD)によ

る慢性II型呼吸不全に対する長期NPPV のエビデンスは,欧米および日本の比較的大規模なレトロスペクティブな調査を含むコホート研究に基づく.そのすべてにおいてNPPV が生命予後やQOL を改善させることが報告されており,今日すでに広く用いられて良好な治療成績が得られているため,比較対照試験を行うことは倫理的に困難となっている.本ガイドラインでは,適応のあるRTD 症例に対して長期NPPV を導入することを推奨する.

CQ16 推奨:適応のあるRTD 症例では,長期NPPV の導入を行うべきである.【エビデンスレベル

IV,推奨度A】