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p.122 抽出テキスト

成人領域で免疫不全患者ではNPPV により挿管人工呼吸に関連した肺炎の危険性が減じる可能性が指摘されている.小児領域では,2008 年Pancera らが小児免疫不全患者の急性呼吸不全に関する単施設8 年間の症例集積報告を行っている9).機械的人工呼吸を必要とした239 名の内約半数の119 症例においてNPPV が第一選択とされ,その3/4 は,気管挿管が回避でき,NPPV により管理できた患者群では死亡率が有意に低かった.日本の肝臓移植後患者を対象とした後方視的検討や症例集積報告における良好な転帰も含め8, 10),免疫不全患者に対する治療効果が支持される.以上より,エビデンスには乏しいものの,抜管後呼吸不全,心原性肺水腫,免疫不全患者の呼吸不全などにおいてはNPPV の適用を考慮してもよいと考えられる. d.小児例でのNPPV 治療モード

小児のNPPV の治療モードとしては持続呼気終末陽圧(continuous positive airway pressure:CPAP)および二相式気道内陽圧(bilevel airway pressure:BiPAP)が存在する.どのモードが優れているかを比較した検討として, Essouri らによるランダム化クロスオーバー試験がある11).本研究は10 名の上気道閉塞患者を対象とした検討で, CPAP とBiPAP の呼吸補助効果を比較した.呼吸仕事量の各指標は同等に改善したが,BiPAP での同調不良が多かった.一方,NPPV の臨床効果を評価した上記3 つのRCT においては,いずれもBiPAP モードが使用されている.BiPAP モードにはCPAP モードで得られる肺胞拡張・機能的残気量増加による酸素化能改善効果の他に一回換気量増加,呼吸筋補助による炭酸ガス排泄効果が理

論的には期待できる10, 12〜14).ただし,圧設定の適正値を評価した報告はない.Yanez らはEPAP の初期設定を4cmH2O とし,必要に応じて8〜12 cmH2O まで増加させ,サポート圧は4〜6cmH2O で使用している1).Taegueは専門家による意見として,PEEP を4〜10cmH2O とし,サポート圧を最低2〜4cmH2O 維持し,最高気道内圧を<20cmH2O とするのがよいと述べている15).その他の文献での使用状況なども含めまとめると,おおむねEPAP 5cmH2O,IPAP 10cmH2O(サポート圧5cmH2O)付近を初期設定の目安として,患者年齢,呼吸状態やガス交換能に応じて調節していくことに大きな誤りはないと推論できる. e.気管挿管への移行判断

過去のRCT 1, 3, 4)や,観察研究5, 11〜13, 15〜17)では,一般的にNPPV 有効例では装着後1〜2 時間以内に心拍数,呼吸数,呼吸様式やガス交換指標(pH,PaCO2 あるいはSpO2/FIO2)の改善,酸素需要の減少,呼吸仕事量減少など患者呼吸状態の改善・安定が認められている.逆にいえば,開始初期1〜2 時間は上記指標を十分に観察し,この時間単位で改善をみないあるいは悪化する場合には気管挿管への移行を考慮するほうがよいとも示唆される.

4 おわりに

小児急性期呼吸不全に対するNPPV の治療効果に関するエビデンスは多くない.また,日本発の研究は極めて

表3 臨床的喘息スコア(Basnet ら)

指標点数

0 1 2

呼吸数正常1~5 歳:40rpm >5 歳:20rpm呼吸補助筋の使用なし肋間あるいは肋骨下の陥凹頸部あるいは腹筋の使用呼吸音正常局所的減少全般的減少喘鳴呼気終末のみ全呼気時全吸呼気時吸呼気比≦1:2 ≧1:3(呼気延長)全呼気時±全吸気時当てはまる点数を合計する

表2 臨床的喘息スコア(Thill ら)

指標点数

0 1 2 3

呼吸補助筋の使用なし肋間あるいは肋骨下の陥凹肋間あるいは肋骨下の陥凹鼻のひくつき呼吸困難なし活動性や会話は正常,軽度の呼吸

困難活動性低下,短い会話可能,中等度の呼吸困難呼吸するのに精一杯で,会話はごくわずかのみ,重度の呼吸困難

喘鳴なし呼気終末のみ全呼気時±全吸気時聴診器なしでも聴取可能当てはまる点数を合計する