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p.116 抽出テキスト

1 はじめに

NPPV は開始と終了が簡便で,一般に自発呼吸を維持しつつ患者とのコミュニケーション可能な状態で継続するため,心肺蘇生や挿管人工呼吸を望まないいわゆるdo not intubate(DNI)の患者に対しても,通常の酸素療法では低酸素血症や高二酸化炭素血症,呼吸困難の改善が得られない場合に実施されている.特に救急では細かい病態や患者の意思確認の前に早期から開始することで病態改善を図るメリットもあるため,これらの患者にも応急処置としてまず実施される可能性は高い.しかし,このような条件の患者に対する臨床試験は乏しくかつ実施困

難であることから,何らかのアウトカムを改善させるというエビデンスは乏しい.

2 NPPV の目標設定(表1)

このような患者へのNPPV 実施にあたって,まず考慮すべきことは目標設定である.あらかじめ予測できる場合は呼吸不全が重篤になる前に患者と十分話し合っておくべきである.Curtis らはNPPV の目標によって対象患者を3 つのカテゴリーに分類している1).カテゴリー1 は

各論A:急性呼吸不全

終末期,do not intubate,悪性腫瘍,高齢者

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CQ 12 DNI(do not intubate)患者あるいは高齢者の急性呼吸不全に対して,NPPVは有効か? CQ 13終末期や悪性腫瘍に伴う呼吸不全に対する緩和ケアとして,NPPV は有効か?回答:挿管拒否患者や高齢者といった特殊な状況にある急性呼吸不全に対して,通常の酸素投与のみで

状態が安定しない場合,実臨床では挿管人工呼吸の代用としてNPPV が実施される場合が多い. COPD や心不全などNPPV が強く推奨される疾患とそれを背景に持つ症例においては,これらの条件下であっても十分に推奨でき,また生存できればNPPV による後遺症としてのQOL 低下はあまり問題とならない.一方でその他の病態では,NPPV の有効性を示す根拠は乏しく,NPPV を実施しても呼吸不全が改善しない場合は,呼吸困難を緩和する目的で実施することに視点を切り替え,不必要な苦痛を与えないことへの配慮が必要である.終末期患者全体や悪性腫瘍患者に対する急性期NPPV のエビデンスは乏しいが,固形癌患者の終末期において緩和ケアの一環としてNPPV を用いることは,酸素療法単独と比べて呼吸困難の緩和に有効であることが示されている.ケアに対する自己決定権の確保を前提としたうえで,NPPV を行うことを考慮してもよい.

CQ12 推奨: 1COPD あるいは心不全の合併がある場合,DNI 患者あるいは高齢者の急性呼吸不全に対してNPPV が

推奨される.【エビデンスレベルIV,推奨度B】2COPD/心不全を合併しない場合,DNI 患者あるいは高齢者の急性呼吸不全に対して,NPPV の有効性を示す根拠は乏しい.改善しない場合は呼吸困難の緩和に目標を切り替える.【エビデンスレベルIV,推奨度C1】CQ13 推奨:終末期や悪性腫瘍に伴う呼吸不全に対する緩和ケアとして,NPPV を使用してもよい.【エビデンスレベルII,推奨度C1】