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p.107 抽出テキスト

症候群(acquired immunodeficiency syndrome:AIDS)患者などを対象にNPPV を加えた呼吸管理と従来の呼吸管理がなされた2 つの報告3, 4)によると,対象患者は呼吸困難が強く,

1呼吸数が30〜35 回/分以上2ベンチュリーマスクを使用してPaCO2/FIO2 が200 以

下3呼吸時の呼吸補助筋の使用と腹部の奇異呼吸などとなっている.Hilbert らの報告では肺の浸潤影と発熱がつけ加えられている.早期の使用がNPPV の有効性を高め,患者の生存率の向上をもたらすとされている.日本の健康保険上ではP/F 比300 以下またはPaCO2 45mnHg 以上で使用可能なので,保険上の適応で使用開始可能が妥当と考えられる.不適応例は総論1「NPPVからみた急性呼吸不全」の表2 を参照されたい.

使用マスクに関しては急性期には,口を閉じることが困難なことが多く,鼻口マスクを使用することが多く,状態が安定した後に鼻マスクに変更することも多い.また,鼻マスク使用時の睡眠中の口漏れが多いときには顎マスク(チンストラップ)使用によりある程度の改善が得られることもある.最近では,ヘルメット型のマスクが使用され,使用時問の延長など鼻口マスクに比し患者のアドヒアランスが良好との報告がある6〜10).

4 NPPV の設定条件

報告されたRCT 3, 4)では,従量式人工呼吸器が使用され心電図と酸素飽和度の持続モニター下で,以下のような条件としている.

1一回換気量が7〜10mL/kg になるように換気量を調

節2呼吸数を25 回/分以下3胸鎖乳突筋を触れながら,呼吸補助筋使用呼吸の消

失4患者の呼吸困難などの軽減・解消5吸入気酸素濃度が60〜65%以下になるように呼気終

末圧を最高10cmH2O まで2〜3 cmH2O ずつ上昇させる.血液ガスをみて設定の変更6鎮静薬は投与しない2 つのRCT とも従量式人工呼吸器を使用して,NPPVを行っているが,現状ではbilevel PAP(bilevel positive airway pressure)を使用してNPPV が行われることが多い.通常,NPPV で呼吸管理中には換気量の測定は正確に行えないことが多いが,NPPV 開始時には少し低い設定圧,たとえば,吸気圧(IPAP)8cmH2O,呼気圧(EPAP) 4 cmH2O くらいから開始し,酸素飽和度,血液ガスの値をみながら,徐々に設定圧を変えるほうが患者のアドヒアランスがよいことが多い. 5 離脱条件

Antonelli らの方法3)による雜脱条件は以下のとおりである.

1当初24 時間は,酸素化と臨床症状が改善するまで,

NPPV は継続使用. 2その後毎日,患者はNPPV を停止して,酸素投与下

で15 分間,自発呼吸を行った状態で評価され,FIO2 0.5 以下でPaO2 が75 mmHg 以上を維持し,呼吸数が30 回/分以下なら,徐々にNPPV の時間を減らして離脱するHilbert らの方法4)による離脱条件は,少なくとも3 時間中45 分間はNPPV を施行して,3 時間間隔で評価する.3 時間間隔の評価時にSpO2 を連続測定して,SpO2 が85%を切るか,呼吸数が30 回以上になればNPPV を再開する.呼吸数が25 回/分以下になり,かつPaO2/FIO2が24 時間200 を超えればNPPV は中止となる.

6 挿管の条件

2 つのRCT では,NPPV 有,無群とも従来の酸素,薬物,理学療法などは継続して行われている.NPPV 有,無群ともFIO2 が0.6 でPaO2 が65mmHg を維持できない,あるいはP/F 比が85 を超えることができない,昏睡,痙攣のため気道確保が必要,喀痰が大量で喀出が困難,循環動態が不安定(たとえば血圧が70mmHg 以下) NPPV 群の患者で鼻口マスクが耐えられないなどであれば,挿管の適応となっている.

7 その他の報告

両側肺移植後の患者で術後急性呼吸不全になった21 例(囊胞線維症が18 例)にNPPV が使用され,18 例(86%)が挿管を回避でき,挿管された3 例中2 例は敗血症ショックで死亡している.この報告はRCT ではないが,両側肺移植後の急性呼吸不全にはNPPV 使用で対応可能であることを示している5).

また,AIDS 患者におけるニューモシスチス肺炎による急性呼吸不全おいても,従来の呼吸管理にNPPV を追加した呼吸管理法で管理された患者(各群24 名)のICUおよび院内死亡率が有意に低下している6).

8 検討されるべき問題点2)

近年,血液悪性疾患に関連したNPPV 使用の報告では, 1Adda ら7)の99 名の患者では53 名(54%)がNPPV で管理困難で挿管人工呼吸を受け,NPPV 成功群の死亡率は41%に比較してNPPV 後挿管された群の死亡率は