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p.104 抽出テキスト

を改善し喀痰の排出を促したからだと考えられる.Jaberは,腹部外科術後の呼吸不全例にNPPV を実施し, NPPV 成否の決定因子を検討した.再挿管を回避できた群ではNPPV 開始後に酸素化が改善し呼吸数が減少する一方,回避できなかった群では改善が認められなかった8). b.胸部手術1)予防

肺切除術後や食道癌術後での予防的効果が報告されている.肺切除術後,予防的にNPPV(PSV)を行う群と通常の酸素療法を行う群に振り分けたRCT では,NPPV 群で酸素化,努力性肺活量,1 秒率が高く,無気肺の発生頻度が減少し入院日数が短縮した9) .食道癌・噴門癌術後でも,NPPV(CPAP)を施行すると,再挿管を要する呼吸不全の発生頻度が減少した10).胸部手術後の患者でCT 所見を検討すると,NPPV 群のほうが通常治療よりも肺の再膨張が増加した11). 2)治療

Lefebvre は肺切除後に急性呼吸不全を併発した患者にNPPV(PSV)を施行したところ,85%の症例で挿管を回避できた.しかし,挿管となった患者の死亡率は46%に及んだ12).高齢,循環器合併症,肺炎が再挿管と関連していた.Auriant らは,肺切除後に急性呼吸不全を合併した症例を,NPPV(PSV)と酸素マスク群に振り分けた.その結果,NPPV 群で再挿管率,院内死亡率が低かった13) .肺切除術後は挿管に関連した合併症のリスクが高いため,NPPV で再挿管を防ぐことができるとすればその意義は大きい.Michelet は食道癌術後の呼吸不全に対してNPPV(PSV)を施行した症例を,過去の症例と比較した.その結果,NPPV 群では48 時間後の酸素化がよく,ARDS 発症率,吻合部リークの発生率が減り,ICU 滞在日数が短縮した14). c.開心手術,大血管手術1)予防

Zarbock らは心臓外科術後の患者500 人をNPPV (CPAP)と標準治療群に振り分けた.NPPV 群で酸素化が改善し,肺炎や再挿管の合併症が減少し,ICU 再入室率が減少した15) .冠動脈バイパス術後の患者での検討では,NPPV 群では通常の酸素療法に比べ,酸素化が改善し,肺活量,1 秒率が改善した16).Kindgen- Milles は胸腹部大動脈瘤術後にNPPV(CPAP)を行うと,低酸素血症,無気肺,肺炎,再挿管などの呼吸器合併症が減少し,著明な低酸素血症の頻度も減少すると報告した17).心臓外科術後の患者でCPAP とPSV ともに同様の無気肺予防効果が認められた18). 3 NPPV の治療方針

NPPV を周術期に使用する利点は,1気道内に陽圧をかけることにより含気を改善する,2換気不全に陥っている場合PSV で換気補助を行う,3無気肺・肺炎などの呼吸器合併症を予防する,4呼吸機能の回復を促進する, 5再挿管を回避する,と考えられる.再挿管を回避できれば,挿管・侵襲的人工呼吸管理に伴う合併症を軽減することが期待できる.

4 NPPV 導入基準

周術期のNPPV の適応基準について,明確に検討されたものは見当たらないが,表1 に導入基準の例を示す.努力呼吸,頻呼吸,呼吸性アシドーシス,低酸素血症が改善しない場合,早期にNPPV を導入してよいであろう.可能であればモニターが充実しFIO2 設定可能なNPPV 専用機種を使用することが望ましいが,NPPV モードを搭載したICU 人工呼吸器が近年増えてきている.

5 NPPV 導入の実際

導入の実際はCOPD の増悪に準じて行う.初期設定として,CPAP で開始する方法と,PSV で開始する方法がある.CPAP では,CPAP 8〜10 cmH2O で開始し,PSVではPS 6〜8 cmH2O,PEEP 4〜6 cmH2O で開始することが多い.患者の呼吸数,呼吸パターン,SpO2 などを参考に増減していく.

NPPV に対する反応を迅速に評価し,反応が不良な場合,挿管人工呼吸管理への移行を躊躇しないことが大切である.

6 おわりに

周術期の呼吸管理において,呼吸器合併症の予防・治療目的にNPPV が使われつつある.適応を吟味しNPPV

レベルII

レベルIIレベルII表1 周術期におけるNPPV の適応基準

選択基準1.呼吸補助筋の使用,奇異性呼吸を伴う呼吸困難2.呼吸性アシドーシス3.呼吸数>25 回/ 分4.低酸素血症除外基準1.呼吸停止2.不安定な循環動態3.患者の協力が得られない4.気道確保に問題がある5.マスク装着ができない顔面損傷