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p.92 抽出テキスト

かわらずβ遮断薬治療を継続することが推奨される179, 952, 956)(推奨表24).先天性LQTS ほどのエビデンスは蓄積されていないものの,非選択性β遮断薬(ナドロール,プロプラノロール)はβ1 選択性β遮断薬と比較して,心イベント予防効果が優れた傾向が示されており,推奨される179, 952, 956, 959)(推奨表24).β遮断薬に対する忍容性が不十分な場合や治療抵抗性の場合には,フレカイニドの追加が推奨される172, 952, 956).ただし,フレカイニドは妊娠初期おける安全性データが限られているため注意を要するが956),既存の報告および臨床経験にもとづく総合評価としては,妊娠中および授乳中ともに,十分な説明のもとshared decision making により使用することは容認されると考えられている179, 952, 956).

なお,妊娠中に致死性不整脈を発症した場合には, LQTS およびCPVT のいずれにおいても,非妊娠時と同様の方針で対応する.

β遮断薬および抗不整脈薬は母乳中へ移行し,新生児に影響を及ぼす可能性がある.しかし,先天性LQTS またはCPVT の女性患者がナドロール内服により安定している場合には,産褥期および授乳期ともに治療継続が推奨される179, 952, 956).プロプラノロールはナドロールと比較して母乳への移行が少なく,乳児曝露は低い179, 952, 956).

なお,ナドロールは添付文書上,妊婦への投与は禁忌とされているが,わが国の「心疾患患者の妊娠・出産の適応・管理に関するガイドライン(2018 年改訂版)」960)では,妊娠中および授乳中の使用について,データは限られるものの類薬および臨床経験にもとづき,総合的にはおそらく安全と評価されている.また,海外ガイドライン(HRS2023, ESC2025)

179, 952)では,LQTS,CPVT を有する妊婦におい

てナドロールまたはプロプラノロールの継続使用が推奨されており,実臨床では十分な説明のもとshared decision making にもとづき使用されている.

3 非薬物治療

先天性LQTS またはCPVT 女性患者が,非妊娠時と同様の基準で妊娠中にICD 適応となった場合には,妊娠中でもICD/S-ICD 移植が推奨される179).また,妊娠中にLCSD 適応となった場合には,妊娠中であってもLCSD が考慮される179).

妊娠中にICD 適応となったが,何らかの理由でICD/ S-ICD 植込みが困難な場合には,有効性に関するエビデンスは乏しいが,妊娠中の一時的対応として,着用型除細動器の装着が考慮される179).

4 注意点

先天性LQTS またはCPVT 女性患者の妊娠・出産においては,多職種(循環器内科医,産婦人科医,小児科医,新生児科医,薬剤師など)の連携が重要である.妊娠が判明した時点で,多職種間で情報を共有し,母体および胎児のリスク評価を実施したうえで,分娩・出産に向けた管理体制を整えることが望ましい(推奨表24).

4.1 妊娠悪阻

妊娠中に悪阻が強い場合は,退薬や薬剤吸収不良,低K+血症や低Mg2+血症などの電解質異常を生じる可能性がある.その際は必要に応じて心電図モニターによる観察や適切な電解質補正を行う952).悪阻に対する制吐薬にはQT延長作用を有するものがあるため,投与には慎重を要する.

4.2 胎児の観察

妊婦または胎児の父親が先天性LQTS またはCPVT と診断されている場合,常染色体顕性(優性)遺伝形式では胎児が病的バリアントを約50% の確率で継承しうることを踏まえ,胎児心音ドプラ,胎児心拍数陣痛図(cardiotocography),胎児エコーを用いて徐脈や不整脈の有無を評価する179).先天性LQTS を有する胎児は,徐脈傾向であることが知られている.胎児にTdP が認められた場合には,第一選択治療として妊婦へ硫酸マグネシウムの静脈内投与を行う179, 961).無効な場合には妊婦に対してリドカインまたはβ遮断薬(プロプラノロール)の静脈内投与を行う179, 961).

4.3 分娩・出産

分娩・出産に際しては,多職種で連携してリスク評価を行い,分娩体制を整える必要がある.妊婦がβ遮断薬を内服している場合には,定期的に胎児の発育や心拍数を評価し,総合的に分娩時期や分娩法を決める必要がある.分娩法の選択に関する明確な基準はなく,施設や経験による差が大きいためその施設で最も安全と思われる方法での分娩が望ましい(通常は経腟分娩が可能952)).中・高リスク症例では,脊髄幹鎮痛による無痛分娩を考慮し,分娩時には心電図モニターによる観察を行うとともに,除細動器の準