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p.91 抽出テキスト

・ 妊娠悪阻などに伴う電解質異常(低K+血症・低Mg2+

血症)は適切に補正する・ 症例に応じて無痛分娩を考慮する

2 薬物治療

先天性LQTS 女性患者では,妊娠中の心イベント発症リスクは妊娠前と比べ増加しないが93, 954),β遮断薬を内服していないLQTS 女性患者では,妊娠中に一定の頻度で心イベントが発症することが報告されている94).一方,産褥期(出産後9 ヵ月間)には,とくにLQT2 患者において心イベント発症リスクが非妊娠時より高くなり,さらにβ遮断薬内服が産褥期の心イベント発症リスクを減少させることが報告されている93, 955)(図41) 93).これらの知見から,妊娠中から産褥期を通じてβ遮断薬治療を継続することが推奨される179, 952, 956).

妊婦がβ遮断薬を内服した場合,胎児仮死や流産,児の奇形の発生リスクは増加しないとされているが,児への影響として,胎児発育不全(FGR),徐脈,低血糖,呼吸抑制などが報告されている957).FGR の多くは軽度で管理可能とされているが94, 958),周産期予後に影響しうるため,慎重な胎児発育の経過観察が必要である.また,徐脈,低血糖,呼吸抑制などの新生児合併症も多くは一過性であり,適切な周産期管理により対応可能である.β遮断薬の種類により児への影響度は異なり,アテノロールはFGR リスクが高いことから,妊娠中は別のβ遮断薬を選択することが

推奨されている957).

先天性LQTS 患者では,とくに交感神経刺激を誘因とする心イベント歴を有するLQT1 患者,ならびにLQT2 患者において,β1 選択性β遮断薬よりも非選択性β遮断薬の方が心イベント予防効果が高いことが示されており,なかでもナドロールまたはプロプラノロールが推奨される146, 175, 177, 178).そのため,妊娠前からこれらの薬剤を内服中の場合には妊娠中にも継続し,β遮断薬内服の適応があるにもかかわらず未投与の場合には,新規開始することが推奨される179, 952, 956).

メキシレチンの児への安全性は十分に確立されていないが956),メキシレチン治療が適応となるLQT3(およびLQT2)女性患者では,母体への有益性が児への危険性を上回る場合には,十分な説明を行ったうえでshared decision making にもとづき,妊娠・出産に際しても治療継続が考慮される952, 956).

一方,CPVT 女性患者では,妊娠中から産褥期にかけての心イベント発症リスクは非妊娠時と比較して増加しないとの報告がある558).しかし,分娩・出産時の身体活動,情動,疼痛などは致死性不整脈の誘因となる可能性があることから,CPVT 妊婦では,非妊娠時と同様に,重症度にか

推奨表24  先天性LQTS またはCPVT 女性患者の妊娠,

出産,産褥期の管理に関する推奨とエビデンスレベル

推奨クラスエビデンス

レベル

多職種で母体・胎児のリスクを評価し,周産期管理体制を整える. I C LQTS 女性患者で,非妊娠時と同様の基準でβ遮断薬内服の適応がある場合,妊娠,出産,産褥期を通じてβ遮断薬内服を継続する

*. I C CPVT 女性患者で,非妊娠時と同様の基準でβ遮断薬内服の適応がある場合,妊娠,出産,産褥期を通じてβ遮断薬内服を継続する

*. I C LQT2 女性患者では,心イベントリスクがとくに高い産褥期においてβ遮断薬内服を確実に継続する

*. I C

CPVT 女性患者において,妊娠中にβ遮断薬内服下でも心イベントを認める場合,フレカイニドを追加する. I C LQTS またはCPVT 女性患者において,妊娠悪阻を伴う場合には,低K

+血症および低Mg

2+血症のモニタリングと適切な補正を行う. I C *β遮断薬の種類に関して,β1 選択性より非選択性β遮断薬(ナドロール,プロプラノロール)が推奨される.

図41 先天性LQTS 女性患者における遺伝型および妊娠期

別の心イベント発生率生児出産を経験した女性391 人における,妊娠関連の各期間別・遺伝型別の年間心イベント率を示す.心イベントは,失神,心停止からの蘇生,またはLQTS 関連死亡とした. (Seth R, et al. 2007 93)より) © 2007 American College of Cardiology Foundation, with permission from Elsevier.

初回妊娠前妊娠前妊娠中産褥期産褥期後

0.45 0.40 0.35 0.30 0.25 0.20 0.15 0.10 0.05 0.0

年間心イベント発生率

LQT1 (82 人) LQT2 (59 人) LQT3 (12 人)遺伝型

不明(238 人)