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p.89 抽出テキスト

高率心室ペーシングが予想される症例,2 心臓再同期療法適応となるQRS 幅延長症例487, 908)では,最初からCRT-D を選択することを考慮する.

さらに,本疾患は進行性であるため,重症心不全や難治性心室不整脈を呈する症例では,早めの心移植治療の検討

が望まれる919, 920).また,浸透度が高いことから,家系内病的バリアント保持者に対するカスケードスクリーニングと継続的フォローが重要である.

第13章 予期せぬ突然死(SUD)/

予期せぬ乳幼児突然死(SUDI)

1 概論・疾患概念

突然死の定義は,WHO では発症から24 時間以内の予期せぬ内因性死亡としている921).近年の研究では,目撃された症例では発症から1 時間以内,目撃されていない症例では生存が確認されてから24 時間以内の死亡とするものが多い922).

心臓突然死(SCD)の定義には現在でも議論の余地がある.2022 年版ESC ガイドラインによれば3),心臓が原因と推定される突然死であり,剖検例においては心臓が原因と特定されたもの,あるいは原因不明のものを指し,剖検陰性のものは不整脈突然死(SAD)と同義としている.とくに若年者においては,SCD の中でSAD が占める割合は高い3, 923, 924).なお,前述のガイドラインでは剖検をせず不明とされた突然死もSCD に含めているが,これをSCD に含めない場合もある.またSCD にSAD を含めずに分類している報告もある15, 925).

乳児期の予期せぬ突然死は,国際的に sudden unexpected death in infancy(SUDI) と総称される.このうち,詳細な死因調査や解剖を経てもなお死因が特定できないものが,sudden infant death syndrome(SIDS) であり,最新の国際疾病分類第11 版(ICD-11)において,SIDS は原則として1 歳未満の症例と定義され,1 歳以上の症例である sudden unexplained  death in childhood(SUDC) と区別されている.一方,わが国においては,厚生労働省の診断指針や死亡統計,および母子保健施策の枠組みにおいて,SUDC をも包括しうる広義の呼称として,「乳幼児突然死症候群(SIDS)」の用語が広く用いられている926).

良好な健康状態にあったてんかん患者にみられる,外傷や溺水が原因ではない予期せぬ死亡(sudden unexpected death in epilepsy: SUDEP)はてんかん患者の主要な死因として重要であり,心臓イオンチャネル病との関連が指摘されている927).

2 疫学

SUD,SCD,SAD の発生率は,母集団や診断基準が異なるため報告間でばらつきがある.わが国では毎年90人/10 万人の院外心停止が発生し,高齢者ほど多い928). 20 歳以上の全剖検例のうち,SUD は14.6%,SCD は9.7%,SAD は1.7% を占める929).一方,米国のPOST- SCD 研究では,SCD のうち55.8% がSAD であった930). SCD のうち,高齢者では虚血性心疾患が,若年者では遺伝性疾患が多く931),この原因の違いが年齢による発生率の差に寄与している.SCD は男性で多く発生する(男:女=7:3) 930).男性で虚血性心疾患が多いことが関連している可能性がある932).SUD やSAD の家族では,遺伝性心疾患と関連する遺伝子の病的バリアントが検出されることが多い933, 934).

SUDI(ICD-10 コード:R95–99,W75,W78)の発生率は,欧米では1,000 出生中0.19 ~1.01 で,わが国では0.60 である935).約半数の西欧諸国では減少傾向にあるが,日米では下げ止まっている936-938).わが国のSIDS は6,000 ~7,000 出生に1 人とされるが926),SUDI におけるSIDS