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p.87 抽出テキスト

4 診断

ラミン心筋症は,とくに心臓伝導障害の浸透度が高く,家族性の徐脈やペースメーカ植込み例,とくにDCM を合併する症例では本疾患を鑑別にあげ,家族歴の聴取および遺伝学的検査を積極的に検討することが重要である.本疾患では心房筋変性が高度で,AF や心房静止を生じやすく,心原性血栓塞栓症が多い点も特徴である781).また,約20% で筋ジストロフィーを合併するとされ880),血清CK上昇や筋力低下などの随伴所見にも注意を要する.診断は,臨床所見に加え,遺伝学的検査によるLMNA 病的バリアントの同定により確定する.

2022 年版ESC ガイドラインでは3),50 歳未満でDCMに房室伝導遅延を認める患者や突然死の家族歴を有する一親等血縁者を持つ患者に対し,遺伝学的検査が推奨されている.心臓MRI では,左室中隔中層(とくに基部~中部)に遅延造影を認めることが多いが非特異的である898).生検組織における抗ラミンA/C 抗体による免疫染色やウェスタンブロット法による組織学的評価も報告されている899).鑑別としては,ARVC の病態を呈する症例があるほか900, 901), PCCD を呈する他疾患(第8 章参照)があげられる.とく

に,SCN5A の病的バリアントによるDCM は,類似した伝導障害や致死性心室不整脈を呈するため,最終的には遺伝学的検査による鑑別を要する902).

5 リスク評価

LMNA 病的バリアント保持者では,LVEF が保たれている場合であっても致死性不整脈を発症しうるため,突然死リスクの評価およびデバイス治療適応の検討が重要である3, 781, 794, 884, 887, 903-905).突然死一次予防を目的としたICD植込みの適応判断や,伝導障害によりデバイス植込みが必要となった場合に,ペースメーカとICD のいずれを選択すべきかは臨床上の重要な課題である.さらに,左室機能低下の進行を見据え,ICD に代えてCRT-D を選択すべきかについても検討する必要がある(図40) 487, 906-908).

269 人のラミン心筋症患者を対象とした解析では,1 NSVT,2LVEF<45%,3男性,4LMNA 非ミスセンスバリアントが致死性心室不整脈の独立した危険因子として同定され,イベントはこれらのうち少なくとも2 因子を有する症例に限って発生していた880).わが国の報告にお

図40 ラミン心筋症におけるICD/CRT-D 植込み適応フローチャート*LVEF <50% で,かつ,高率心室ペーシングが見込まれる場合,または心室内伝導障害を有する場合には,CRT-D を考慮する(高率心室ペーシング:おおむね20 ~40% 以上の心室ペーシングが見込まれる状態を指す906, 907).心室内伝導障害の定義は,不整脈非薬物治療ガイドライン(2018 年改訂版),2024 年JCS/JHRS ガイドラインフォーカスアップデート版不整脈治療におけるCRT 適応基準に準ずる487, 908)).

ペースメーカ(またはICD)

いいえ

LMNA 病的バリアント保持者

心停止,VF,血行動態不安定なVT の既往

以下のいずれか1 つを有する・	 血行動態の保たれた持続性,または,非持続性VT・	 LVEF <45%・	 心室不整脈によると思われる心原性失神・	 高度房室ブロック

徐脈(SSS や心房静止)治療目的でペースメーカ植込み適応がある,またはすでに植込み後

標準治療・フォローアップICD/CRT-D *

(推奨クラスI)

ICD/CRT-D * (推奨クラスIIa)

ICD/CRT-D * (推奨クラスIIa)

はい

いいえ

いいえ

いいえ以下のいずれか1 つを有する・	 1 度房室ブロック・	 MRI にて遅延造影陽性・	 男性・	 病的非ミスセンスバリアント

はい

はいはい