p.65 抽出テキスト
も比較的高頻度に認められ,もともとのVF 発症リスク自体が低いことから,心電図のみでICD 適応を判断することは困難である.また,VF 既往例では波高変動の大きなJ波が認められることが報告されているが649),健診など単回の心電図検査でこれを検出することは難しい.無症候例において日内・日差変動の大きなJ 波がVF 発症リスクとなることを示した報告はなく,本ガイドラインではこれらの所見をフローチャートから除外した(図29).その他の非侵襲的検査についても,発症リスク評価における有用性を示す十分なエビデンスは示されていない. 5.1.3 VF 既往例におけるVF 再発の危険因子 VF 既往のあるERS 例においては,国内多施設研究により,下側壁誘導に加えて前胸部誘導にJ 波を有する症例でVF 再発が多いことが報告されている448).Morita らはERS におけるVF 再発の予測因子として,QRS 幅の拡大(≧100 ms),fragmented QRS,J 波幅の拡大(≧57 ms), II 誘導におけるR 波の減高にともなうT/R 比(≧0.42)といった心電図所見が有用であることを報告している662).これらの所見を有する症例では,ICD 植込みに加え,VF 再発に対する慎重なフォローアップが望ましい. EPS については十分なエビデンスはなく,VF 既往のあるERS 患者におけるVF 誘発は,フォローアップ期間中のVF 再発予測には有用ではないことが報告されている663). 5.1.4 失神・家族歴 Kamakura らは,フランスの多施設研究において,143人のJ 波を有する失神例について報告している664).経過観察中に心室不整脈を発症した5 人はすべて,前駆症状や誘因を伴わない不整脈性失神が疑われる症例であり,J 波を有する症例において失神の詳細な病歴聴取が重要としている.ERS 患者において突然死の家族歴を有するのは2~18% であり,VF 発症の危険因子となるかどうかは明らかではない448, 639).一方で,濃厚な突然死の家族歴を有する症例が存在することも事実であり654),不整脈原性と考えられる失神や濃厚な若年性突然死の家族歴を有する症例の管理については,ICD 適応を含め,慎重に判断する必要がある. 図29 ERS に対する治療フローチャート 薬剤抵抗性ICD (推奨クラスI) VF または多形性VT あり VF ストーム心停止の既往VF または多形性VT不整脈性失神 けいれん夜間苦悶様呼吸 急性期:イソプロテレノール点滴静注 (推奨クラスIIa)キニジン内服(推奨クラスIIa) ICD (推奨クラスI)高リスク心電図所見若年性突然死の濃厚な家族歴 ERS の家族歴のいずれか1 つがある場合 頻回の適切作動 カテーテルアブレーション (推奨クラスIIb) キニジン(推奨クラスIIa)シロスタゾール(推奨クラスIIb)ベプリジル(推奨クラスIIb) ILR (推奨クラスIIa) ICD (推奨クラスIIb) 早期再分極