p.61 抽出テキスト
健常男性やアスリートに多く,VF はまれであるのに対し,タイプ2 は男性に多くVF をきたし,タイプ3 は男性に多くVF リスクがもっとも高く,電気的ストームを呈する場合もあるとされている.ER は健常者にも高頻度に認められるため,リスク層別化や健診などで偶発的に指摘された場合のフォローアップが課題である.J 点の上昇をER と定義するが,J 点上昇をJ 波と表記する報告も多いため,本章ではER ≒J 波として記述する. 2 疫学 2.1 有病率 2008 年のHaïssaguerre らの報告617)以降,一般住民と比較し,IVF 症例で有病率が高いことが報告されている.表14 615, 618-627)に一般住民および特発性VF 症例における,性別・人種別のER 有病率をまとめる.ER の有病率は,定義や年齢によりばらつきがある. 2.2 性差 一般住民およびIVF 症例のいずれにおいても,心電図で記録されるER は男性に多く認められ618),ERS 患者の多くは男性である627).また,アンドロゲン抑制治療により J 点上昇が改善したとの報告があり,ER にはテストステロンの関与が示唆されている628). 2.3 年齢 ER は思春期の男性にもっとも多く認められ,加齢にともない有所見率は低下する619).また,ER は男性ホルモン(テストステロン)の投与により増強することが報告されている629). 2.4 家族歴 欧米の一般住民において,ER を認める者の兄弟姉妹630),また両親や子631)にもER を認めやすいことが報告されており,遺伝的要因の関与が示唆されている.不整脈性突然死をきたした144 家系363 人の家族とコントロール359 人を比較した研究では,突然死をきたした家族群においてER の有病率が有意に高かった626). 2.5 予後 一般住民におけるER と予後との関連について,フィンランドの一般住民10,864 人(調査開始時平均年齢44 歳,男性5,693 人)を対象とした報告がある618).このコホートにおいて,0.1 mV 以上のER を認めたのは630 人(5.8%) 表14 一般住民およびIVF 患者におけるER 有病率 全体男性女性人種・国発表年全症例ER %全症例ER %全症例ER % 一般住民10,864 630 5.8 5,963 422 7.1 5,171 208 4フィンランド人2009 618), 2011 619) 6,213 811 13 3,035 439 14.4 3,178 372 11.7ドイツ人2010 620) 9,444 423 4.5 7,131 321 4.5 2,313 102 4.4ヨーロッパ系2011 621) 5,976 1,429 24 2,612 815 31.2 3,364 614 18.3日本人2011 622) 15,141 1,866 12.3 6,707 1,420 21.2 8,434 446 5.3 73% ヨーロッパ系, 27% アフリカ系2011 623) 7,630 264 3.5 3,108 253 8.1 4,522 11 0.2日本人2013 624) 14,592 278 1.9 6,444 132 2 8,148 146 1.8 74% ヨーロッパ系, 26% アフリカ系2016 625) IVF 症例206 64 31 122 46 37.7 84 18 21.4 92% ヨーロッパ系 2008 615) 363 84 36.3 155 32 20.6 208 52 25 94% ヨーロッパ系, 5% アジア系 2011 626) 64 24 37.5 46 22 47.8 18 2 11.1 日本人 2013 627) (文献615, 618-627 を参考に作成)