p.54 抽出テキスト
CPVT に対するICD の問題点として,ICD ショックによる内因性カテコラミンの上昇によって誘発される電気的ストーム569)(図22),不適切作動,合併症519, 570)などがあげられ,これらを考慮し適応を決定する必要がある.不適切作動は24.7% に起こり,リード破損や電気的ストーム,デバイス感染などの合併症は28.9% にみられた570).ICD の一次予防適応については,薬物による心室不整脈抑制効果 も期待できるため,薬物療法などの管理を慎重に行ったうえでのICD 植込みが検討される.とくに体格の小さい小児ではICD の適応は慎重に考慮すべきである.家族例などの無症状のCPVT 患者にはICD は禁忌である208). ICD の設定については,CPVT のVT は自然停止することが多いことや(図25) 569),上室頻拍を高頻度に合併することを考慮する571).具体的には,1VT に対しては抗頻拍ペーシングを含めて作動させず,VF 移行後に作動させる, 2上室頻拍への作動を抑制する設定にする,3頻拍のdetection rate を上げる,4detection から作動までの時間を長くして,意識消失後に作動するようにする,5心房リードを留置し,上室頻拍鑑別機能を使用する,6抗頻拍ペーシング機能はオフにする,などがあげられる.過去の報告では経静脈リードを用いたICD(TV-ICD)の報告がほとんどである.S-ICD の報告もあるが572),TV-ICD のように詳細な設定ができないことが問題点であり,2026 年3 月現在,CPVT に対するS-ICD の有用性は不明である. ICD 適応に関する推奨を推奨表14 に示す. 6.3.2 左心臓交感神経節切除術(LCSD) LCSD は,ICD 植込み患者において主要心イベントを68% 減少させたとする報告がある573).海外では1ICD 植込み患者でICD ショックを減らす,2適切な生活指導,薬物治療を行っても失神やVT を認める症例3)などがLCSD の適応とされている574).CPVT での運動制限や内服の不遵守と心イベントの関連が報告されており575),運 推奨表13 CPVT による心室不整脈予防のための生活管 理・薬物治療の推奨とエビデンスレベル 推奨クラスエビデンス レベル CPVT と診断されたすべての症例に対し,生活指導(競争的スポーツ,激しい運動,高ストレス環境の回避)を行う. I C CPVT と診断されたすべての有症候例に対し,β遮断薬を投与する. I C β遮断薬投与下でも再発する失神,多形性/ 二方向性VT,または運動時PVC が持続するCPVT 症例に対し,フレカイニドを投与する. I B CPVT と診断された有症候例に対し,フレカイニド投与を考慮する. IIa C CPVT 関連遺伝子に病的バリアントが同定されている無症候例に対し,β遮断薬投与を考慮する. IIa C CPVT 関連遺伝子に病的バリアントが同定され,β遮断薬を投与中の無症候例に対し,フレカイニド投与を考慮してもよい. IIb C 表12 CPVT 患者の運動参加および競技復帰の目安 症状の有無病的バリアント運動負荷試験適切な予防的治療内服後の運動負荷試験運動強度 競技スポーツ低中高 有症状有無を問わず有無を問わず必須陽性△ △ × × 陰性〇〇△ × 無症状有無を問わず陽性必須陽性〇△ × × 陰性〇〇△ × あり陰性あり不要〇〇△ △~× * なし〇〇△ × 本表の適応には,本人(保護者)医療者間でshared decision making が形成されていることを前提とする.高強度・競技レベルの運動参加については,CPVT の診療経験が豊富な医師と相談の上で決定する. ○:許可,△:禁止が望ましい(ただし本人または保護者の強い希望があれば許可を考慮),×:禁止*水泳,登山など発作時に救命措置が困難な競技は禁止運動負荷試験陰性:心拍数>130 bpm でもPVC なし~単発の単源性PVC まで.運動負荷試験陽性:単発の単源性PVC を超える重症度の心室不整脈の出現.適切な予防的治療には,β遮断薬,フレカイニド,必要に応じて左交感神経節切除も含む.運動負荷試験陽性または有症状CPVT で適切な予防的治療を実施していない症例は,本表の対象外.運動強度については,表6 を参照.