p.53 抽出テキスト
技復帰を強く希望する場合は,運動負荷試験で心室不整脈が誘発されないことを原則として慎重に検討してもよいとしている174, 561).ただβ遮断薬とフレカイニド内服や左交感神経節切除術によっても心室不整脈を認める場合は,競技復帰は推奨されない3, 174).最終的には患者本人,家族や指導者などとともに十分な検討(shared decision making)を行い,決定する必要がある3, 174, 560)(表12,図24).なお表12,図24 の無症状で病的バリアントのある例は臨床的にCPVT と診断されない血縁者を想定している. 6.2.2 薬物治療 a. β遮断薬 非選択性のβ遮断薬であるプロプラノロールやナドロールの有効性がとくに示されている520, 562).怠薬時に不整脈イベントが多く513, 563),服薬遵守をするための工夫が必要である.また低用量の投与では不整脈イベントを完全に抑えられないことがあり513, 562),忍容性を示す十分量を投与することが重要である. b. フレカイニド 運動負荷検査の結果なども考慮し,β遮断薬で治療不十分な症例ではフレカイニドの追加投与が推奨される564-567).副作用のためβ遮断薬が内服困難な場合には,フレカイニドの単独投与も選択肢となりうる568). 6.3 非薬物治療 6.3.1 ICD ICD は,適切な生活指導,β遮断薬,フレカイニドなどの十分な薬物療法,交感神経節切除を行ったにもかかわらず心停止を起こした患者に適応となる3, 208).ただし,初発がVF/ 心停止の場合は2 次予防としてICD を適用せざるを得ないこともある.また,国内では交感神経節切除術が保険適用されていないため,薬物治療不応性のCPVT に対してはICD が植え込まれることもある.その場合でもCPVT と診断後は上述の薬物治療を併用すべきである. 図23 CPVT の治療フローチャート*ICD 植込み時には十分な薬物療法と生活指導を実施する.若年者のICD 植込みについては,十分な薬物治療を行ったうえで,体格による植込み手技,ICD の種類,年齢による不適切作動・リード耐久性,頻回作動によるストーム・死亡,移植後の作動設定についてCPVT の治療経験豊富な医師と相談する. ICD 植込み *運動制限・興奮を避ける β遮断薬(推奨クラス I) β遮断薬(推奨クラスI) 運動制限 興奮を避ける(推奨クラス I) β遮断薬(推奨クラスIIb) 臨床症状・運動負荷試験・遺伝学的検査により CPVT と診断 心停止 VF不整脈性失神二方向性 / 多形性 VT無症状 病的バリアント(+)だが二方向性 / 多形性 VT(-) フレカイニド(推奨クラス IIa)フレカイニド(推奨クラス IIa) 失神興奮時の二方向性 / 多形性 VT ICD 植込み* (推奨クラス IIa) ICD 植込み * (推奨クラス IIb) 失神頻回の ICD 作動 左心臓交感神経節切除(LCSD) (推奨クラス IIa,保険適用外)