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p.52 抽出テキスト

試験などを実施することが重要である.

冠動脈起始異常は,若年競技者の突然死の原因疾患の1つとして知られている.無症状時の一般的な心電図や心エコー図検査で所見が得られにくい.致死的心発作に先行して運動時の胸部症状・失神が30% 以上に認められるとの報告があり,本疾患を念頭に置くことにより冠動脈CT で診断できる549).

LQTS の中でも1 型(LQT1)は,小児期(10 歳前後)に多い運動関連性失神を主徴として鑑別にあがる.蘇生後に軽度のQT 延長を認めるとLQT1 と診断されることがあり,注意を要する522).CPVT と表現型は異なるものの,RYR2の機能喪失型バリアントによって軽度のQT 延長を呈する場合もある121).またATS は,安静時に二方向性VT を示すことがあるが,心拍上昇にともない消失することが多い544).ClinGen の分類で,KCNJ2 はCPVT の原因としては限定的なエビデンスとされているが536),KCNJ2 バリアント保持者の中には,安静時のPVC は少なく,CPVTと同様,運動誘発性にPVC が増加する症例があり103), ATS とCPVT との鑑別には注意を要する.LQTS との鑑別においては,遺伝学的検査が有用である.

5 リスク評価

CPVT における心イベント発生の危険因子やその評価法については,確定されたものはない.CPVT の心イベント危険因子として,診断前に心停止を経験した症例,運動負荷試験で2 連発以上のPVC を認めた症例,より低年齢で診断された症例,β遮断薬が投与されていない症例, CASQ2 の潜性(劣性)遺伝などが報告されている3, 511, 519, 550-552).133 人を対象とした多施設前向き研究では,危険因子として報告のあった1発端者,2若年発症,3男性の3 項目が検討され,発端者であることのみが早期発症の危険因子であると報告された515).

CPVT 診断時の安静時心電図の早期再分極(ER)パターンにもとづいたリスク評価では,ER パターンを示す患者群で失神の既往が有意に多かったが,心停止の既往には差がなかった553).

RYR2 の病的バリアントの部位による分類では,C 末端のバリアントは,N 末端のバリアントと比較して,NSVTのリスクが高い518).またRYR2 の新規突然変異はC 末端に多く,より若年で心イベントを生じる521).

EPS における心臓突然死のリスク評価は推奨されていない3). 6 治療

図23 に治療のフローチャートを示す.

6.1 急性期治療(推奨表12)

CPVT における二方向性/ 多形性VT は,遅延後脱分極による撃発活動によって生じているため,ベラパミルやアデノシン三リン酸の有効性が報告されている511, 554).またβ遮断薬静注も有効である555, 556).VT ストームには深鎮静やフレカイニドが有効であったとする報告がある557).一方,アミオダロンは無効で555, 557),低体温でVT が増悪する可能性がある555).

6.2 心室不整脈の予防(推奨表13)

生活指導やβ遮断薬を中心とした薬物治療が実施される550).なお服薬遵守と薬効評価のため,定期的にホルター心電図や運動負荷心電図を行う.妊娠中から産褥期にかけての不整脈イベントは増加しないが558),妊娠中のβ遮断薬内服(新規・継続)は推奨される179)(第14 章参照).

6.2.1 生活指導

CPVT と診断されたすべての症例において,激しい運動や高ストレス環境を回避することが推奨される.水泳中の不整脈イベントによる溺水も多く198, 559),水泳の実施には慎重な判断を要する.家族,学校や職場との連携は必須であり,不整脈イベントの際にAED 使用を含む心肺蘇生の必要性を周知する560).基本的には競技スポーツを控えることが推奨される.欧米のガイドラインではアスリートが競

推奨表12  CPVT によるVT/VF の急性期治療の推奨と

エビデンスレベル

推奨クラスエビデンス

レベル

CPVT によるVT/VF に対し,深鎮静を行う. I C CPVT によるVT/VF に対し,β遮断薬静注を考慮する. IIa C CPVT によるVT/VF に対し,Ca 拮抗薬静注またはアデノシン三リン酸静注を考慮してもよい. IIb C