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p.37 抽出テキスト

3 診断

3.1 BrS 診断基準

BrS は他の器質的心疾患がなく,心電図(図11)において第2 ~4 肋間で記録した右側胸部誘導(V1 ~V2)の1誘導以上で自然発生,あるいは負荷試験後にJ 点が0.2 mV 以上のコブド型ST 上昇を示し,陰性T 波に移行するタイプ1 波形が認められる場合に診断される296).タイプ2 (サドルバック型:J 点高≧2 mm,下に凸のST 部分[STレベル≧1 mm]と陽性T 波),タイプ3(コブドないしサドルバック型ST 上昇でST 部分<1 mm)といった非タイプ1 波形297)は,薬物負荷などによってタイプ1 に変化しない限り,BrS とは診断しない.

BrS におけるST 上昇には日差変動や日内変動が存在し,持続的なST 上昇はむしろまれである297).そのため,非タイプ1 波形の心電図がとらえられた場合,ホルター心電図298)や3 ~6 ヵ月程度の期間をあけて心電図記録を行ったり,また第2 肋間までV1,V2 を上げたりすることでタイプ1 波形の有無を確認することが重要である245, 299-301).

近年の研究では,無症候例で各種負荷試験のみによってタイプ1 となる場合,心イベントが少ないことが示されている.そのため,薬剤誘発性タイプ1 波形の場合,1 VT・VF が確認される場合,2心室不整脈を疑わせる失神や夜間の苦悶様呼吸の存在,3BrS または原因不明の40 歳未満の突然死の家族歴のいずれかがある場合,BrSと診断することとした.以上から,本ガイドラインでは以下をBrS の診断基準と

する(図14). 1 自然発生タイプ1 心電図がみられる(上位肋間のV1,

V2 誘導記録や一過性出現も含む). 2 薬剤負荷試験後にタイプ1 心電図がみられる場合は,

心室不整脈の確認,不整脈性失神,BrS の家族歴,若年ないし濃厚な突然死の家族歴,SCN5A の病的バリアントのいずれかを有する. 3 発熱時のST 上昇はVF との直接関連が報告されてお

り302),日常生活で起こりうる変化であることから,本ガイドラインでは欧米のガイドラインと異なり自然発生タイプ1 に分類する. 4 運動負荷回復期のタイプ1 出現・ST 上昇は心イベント

のリスクとされており303),自然タイプ1 波形に準ずるものと考える.非タイプ1 例で運動負荷回復期の波形変化を認めた場合,日内・日差変動による自然タイプ1 波形が出現する可能性を考慮し,日を変えてくり返し心電図を記録することが必要である.遺伝性不整脈の診療に関するガイドライン(2017 年改訂版)

1)や2022 年改訂版 不整脈の診断とリスク評価に関するガイドライン304)と若干異なる点に注意が必要である.また,スコアリングシステムによるBrS の診断基準も国際的に提唱されており296),上記の診断基準を基本として,診断の参考にする所見と考える.

3.2 診断のための追加検査

BrS 診断のためにNa チャネル遮断薬負荷試験,運動負荷試験,遺伝学的検査が行われる.

図13 海外の研究も含めたBrS の予後症状別の自然発生タイプ1 波形,非タイプ1 波形別の予後を示す.A:無症候例,B:失神例,C:VF 例. (文献243, 245, 246, 264, 265, 269, 272-295 より作成)

(%)

100 80

60 40

20 0 0 50 100 150 経過観察期間(月)

累積イベント発生率(%)

100 80

60 40

20 0 0 50 100 150 経過観察期間(月)

累積イベント発生率(%)

100 80

60 40

20 0 0 50 100 150 経過観察期間(月)

累積イベント発生率

A.無症候例B.失神例C.心室細動例

●  自然発生タイプ1 ●  非タイプ1

自然発生タイプ1: y=0.078x非タイプ1: y=0.022x自然発生タイプ1: y=30.48*log(X)-10.47非タイプ1: y=0.402x

自然発生タイプ1: y=0.276x非タイプ1: y=0.091x 30 100 500

30 100 400

30 100 500 3 10 30