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第3章 ブルガダ症候群(BrS) 1 概論 Brugada 兄弟が1992 年,右側胸部誘導のST 上昇をともなうIVF をBrS として報告して以来228),30 年以上が経過した.「遺伝性不整脈の診療に関するガイドライン(2017年改訂版)」発表以降,心外膜アブレーションのエビデンスの増加,原因遺伝子・バリアントの見直し,プログラム刺激によるリスク評価,ILR の有効性229-232),心外膜下心筋症の概念233)などが新たに報告されている. 心外膜アブレーションはNademanee らが2011 年に施行し234),近年は欧米やアジアからの報告が増加している235, 236).2023 年には前向き研究であるBRAVO 237)が報告され,重症例に対するカテーテル治療の有効性が確立された.原因遺伝子は1998 年のSCN5A の同定238)以降,十数種類に及ぶ遺伝子が報告されたが,2018 年,SCN5A 以外の遺伝子バリアントは単独ではBrS を引き起こさず239),遺伝・環境などの多因子が発症に結びつくとの考えが出された.SCN5A の病的バリアントは単独でもリスクが高く,わが国の登録研究240, 241)やメタ解析242)でその重要性が示 されている. プログラム刺激でのリスク評価は長らく議論が多かったが,近年,誘発性がリスク評価に結びつくという報告が増え243, 244),直近では海外の多数例での有用性が報告されている245, 246).心臓電気生理学的検査(EPS)は侵襲性が高く,タイプ1 心電図(図11)の全例に行うことは困難なため,最近では複数の因子を組み合わせてリスクを評価する方法が提唱されている247-249).しかし,研究ごとに取り上げている因子が異なり,いまだ十分なコンセンサスは得られていない250). BrS は,組織学的には心外膜下心筋の線維化を認め, ERS とあわせて,心外膜下心筋症とする概念が報告されている233).今後は人工知能251)や多遺伝子リスクスコア252, 253)を用いたリスク評価法や,アブレーション治療の長期的予後についての検討が期待される. タイプ1タイプ2タイプ3完全右脚ブロックをともなうタイプ1 波形V1 V2 V3 図11 BrS の心電図タイプ1 波形はコブド型(弓状のST 上昇)から陰性T 波を呈する,タイプ2 波形はサドルバック型波形でJ 点のST上昇から下に凸のST 部分,陽性T となる波形(図中V2 誘導),タイプ3 波形はコブドないしサドルバック型でST上昇が1 mm 未満のものを指す.完全右脚ブロックをともなうタイプ1 波形はQRS のR’ 波の下行脚から弓状のST上昇が始まる.