p.34 抽出テキスト
LQTS と診断された患者の3 割に,先天性LQTS の原因遺伝子にバリアントが同定されると報告されている39).また後天性LQTS 患者に全エクソーム解析を施行した結果,先天性LQTS に関連する遺伝子バリアントが検出されている224). 後天性LQTS と診断された患者で,とくに140 歳未満での発症,2QT 間隔を延長させる要因がないときのQTcが440 ms 以上,3前失神,失神,TdP,VT,VF,心停止などを認めた有症候性である,のうち2 つ以上当てはまる場合,積極的に遺伝学的検査を勧めることが推奨されている39). 9.5 治療 失神または前失神症状があり,QT 間隔の延長がある場合には入院管理として心電図モニタリングを開始し,QT間隔が正常化するまでモニタリングを継続する.少なくとも8 時間に1 度は12 誘導心電図を行い,QTc 間隔の測定を行う211). もっとも重要な点は,QT 間隔を延長させる要因を除去し,その原因治療を行うことである.QT 延長に関与する 被疑薬がある場合には中止し,低K+血症,低Mg2+血症,および低Ca2+血症を是正する.血清K+値は,4.5 ~5.0 mEq/mL を目指す.血行動態が不安定なTdP には除細動を行えるように除細動器の準備をし,VF に移行した場合にはただちに除細動する. 患者の血清Mg2+濃度に関係なく,硫酸マグネシウム静脈内投与にて,Ca チャネル阻害による早期後脱分極を抑制しTdP を停止できる可能性があり,投与する225)(30 ~ 40 mg/kg,すなわち体重60 kg の成人で硫酸マグネシウム2 g を5 ~10 分間で静注し,さらに3 ~20 mg/ 分で持続点滴).徐脈を合併する場合には,short-long-short シークエンスの期外収縮を予防するためにも,心房または心室オーバードライブペーシングを行う.ペーシングレートは70 回/ 分以上が推奨される226).すぐにオーバードライブペーシングができない状況であれば,ペーシングできるまでの間,心拍数の増加を狙ってイソプロテレノールの投与を検討する.期外収縮の抑制とQT 間隔の短縮目的に, Ib 群抗不整脈薬のリドカインが有用なこともある227). AFに対する最近の薬物的除細動 房室ブロック 洞徐脈 徐脈QT 延長作用を有する 薬物の急速投与/ 複数併用電解質異常 女性 代謝因子 肝障害糖尿病 合併症拒食症肥満 僧帽弁逸脱器質的心疾患 左室肥大冠動脈疾患慢性心不全潜在性遺伝性LQTS 脳梗塞 脳血管疾患 脳出血 脳挫傷くも膜下出血 CYP 代謝薬物の使用低Ca2+低Mg2+ 低K+ 二次性・後天性LQTS 図10 二次性・後天性LQTS の原因または修飾因子