p.31 抽出テキスト
性がない,または禁忌であり失神を繰り返す症例にも適応(推奨クラスIIa)とした124)( 推奨表5,図9). ペーシングを必要としない症例には皮下植込み型除細動器(S-ICD)または血管外植込み型除細動器(EV-ICD)を考慮する192, 193).無症状でβ遮断薬未導入の症例には行うべきではない(推奨クラスIII-harm).薬物療法の有効性が確立していないATS1 では,失神やVT の既往は致死性不整脈イベント発症の危険因子であり102),これらの危険因子を有する患者ではICD が考慮される. b. ペースメーカ β遮断薬の投与により徐脈となり,徐脈による症状が出現した場合は,ペースメーカ植込みが有効である194).徐脈が増悪因子となりTdP をきたす例も適応となるが,ICD の普及により経静脈植込み型除細動器(TV-ICD)が使用されることが多い.とくに徐脈を誘因とした2 次性LQTS でTdP をきたした高齢者に対して,ペースメーカかTV-ICDかの選択は明確な基準がない. c. 左心臓交感神経切除術(LCSD) 2022 年版ESC ガイドラインでは,ICD 適応であるが患者が拒否あるいは禁忌である症例,またはICD が植込まれているが頻回な適切作動あるいは失神を認める症例ではLCSD が推奨クラスI とされている124).わが国ではLQTSに対するLCSD は保険適用外で,可能な施設も限られているため,施行例は欧米に比べきわめて少ない.しかし,とくに薬剤抵抗性LQTS 例に対する選択肢の1 つとして,今後普及すべき治療と考えられる(図9).LCSD の推奨レベルを推奨表6 に示す. d. カテーテルアブレーション 安静時よりPVC が多発するLQT7/ATS1 では高周波カテーテルアブレーションが試みられているが,PVC の起源は単一ではないことから成績は良好ではなく,現時点では先天性LQTS への治療戦略は確立されていない195). 8 小児における注意点 先天性LQTS,CPVT は小児期に発症することが多い遺伝性不整脈である.成人の臨床像と重なる部分も多いが,小児期に特有な重篤な経過を呈する一群がおり,小児の特性に合わせた管理が必要である. 8.1 臨床像 小児期の失神の原因の多くは反射性である196).逆に運動中の失神は心原性の可能性が高く197),とくにLQT1 は 水泳中に発症することで溺水の原因となることが多数報告されている198). 小児期のLQTS は失神などの症状から発見される以外に,わが国では学校心臓検診が実施されていることから,小学校1 年生,中学校1 年生,高校1 年生での心電図記録199)や遺伝性LQTS の家族スクリーニング検査から診断される例も多い.学校心臓検診では,若年突然死の家族歴の聴取も含まれ,無症状でもLQTS が数多く診断されている200, 201). 一部では胎児~新生児期の徐脈や心不全を契機に発見され,洞性徐脈202),著明なQT 延長による機能性2:1 房室ブロックというLQTS としてはこの時期に特有な臨床像を呈し,TdP が出現し重篤な経過となることがある45). 8.2 診断 小児独自のLQTS 診断基準は存在せず,基本的には成人同様にLQTS スコア(Schwartz スコア) 1, 203),2013 年の HRS/EHRA/APHRS 合同ステートメントでの診断基準2)が広く用いられている.ただし,学校心臓検診で用いられるQT 間隔の補正は,Bazett 補正式では心拍数の高い小児において過剰補正となるため,「学校心臓検診のガイドライン」では,QT 間隔をRR 間隔の3 乗根で除するFridericia 補正を用いることを推奨している199).QT 間隔は年齢によって変化するため204),成長段階にある小児についてはボーダーライン症例においても経時的な観察が必要である. 推奨表6 先天性LQTS に対する左心臓交感神経節切除術 (LCSD)の推奨とエビデンスレベル 推奨クラスエビデンス レベル ICD 適応であるが患者が拒否,または禁忌である症例に対し,LCSD を行う. I C β遮断薬投与,遺伝型特異的治療に加えICD 植込みが行われているが,頻回のICD 適切作動または失神を認める症例に対し,LCSD を行う. I C β遮断薬内服と遺伝型特異的治療に忍容性がないか禁忌であり,ICD 植込みの有無にかかわらず,頻回のICD 適切作動または失神を認める症例に対し,LCSD を考慮する. IIa C