p.30 抽出テキスト
a. ICD VF または心停止の既往を有する,いわゆる突然死2 次予防の先天性LQTS 症例はICD の推奨クラスI 適応となる(推奨表5,図9).わが国では,1 次予防目的でのICDは,従来は1TdP/ 失神の既往,2突然死の家族歴,3β遮断薬に対する治療抵抗性のうち2 項目以上を満たす場合を推奨クラスIIa としてきた125).この中で突然死の家族歴については,リスク評価項目としてかならずしもエビデンスは確立されておらず(前述),欧米のガイドラインでもICD の適応基準に含まれていない.そこで本ガイドラインでは,β遮断薬内服と遺伝型特異的治療がなされているにもかかわらず失神発作を繰り返す高リスクの症例を適応(推奨クラスI),β遮断薬内服と遺伝型特異的治療に忍容推奨表5 先天性LQTS に対するICD 植込みの推奨と エビデンスレベル 推奨クラスエビデンス レベル VF または心停止の既往を有する症例に対し,ICD 植込みを行う. I B β遮断薬投与と遺伝型特異的治療がなされているにもかかわらず有症候性の症例に対し,ICD 植込みを行う. I C β遮断薬内服と遺伝型特異的治療に忍容性がない,または禁忌であり有症候性の症例に対し,ICD 植込みを考慮する. IIa C無症状でβ遮断薬も試されていない症例に対し,ICD 植込みを行うべきではない. III Harm C 図9 先天性LQTS に対する治療フローチャート先天性LQTS に対する治療は,まず患者が無症状か有症状に分けられる.有症状でVF または心停止の既往例はICD と薬物治療が絶対適応であり,失神(治療前)の既往例ではLQT1,2 ではβ遮断薬を,LQT3 ではメキシレチンが第一選択薬となる.無症候性の場合はQT の長さや遺伝型によってβ遮断薬あるいはメキシレチンなどの薬剤を考慮する.これら薬物治療が無効あるいは忍容性がない患者ではICD を考慮し,ICD 植込み後の適切作動や失神を生じる例ではLCSD も考慮する.図中の遺伝型以外のLQTS に対する薬物治療の適応はエビデンスが十分ではない.症例に応じて専門医療機関で判断する.なお,すべての治療法は生活指導を行ったうえで実施すること. *1 非選択性β遮断薬(ナドロールまたはプロプラノロール)が推奨される, *2 EV-ICD 含む, *3 ATS は心室不整脈による症状ありQTc <470ms QTc ≧470 ms QTc の程度によらず 遺伝学的検査 LQT3 へのメキシレチンVF/心停止または失神の既往 (推奨クラスI) QTc ≧ 500 ms (推奨クラスI) QTc <500 ms (推奨クラスIIa) 有症状で薬物治療が無効または忍容性がない・禁忌 LQT2メキシレチン(推奨クラスIIa) ATSフレカイニド(推奨クラスIIa)低K +血症例K 製剤(推奨クラスIIa)重症例ベラパミル(推奨クラスIIb) β遮断薬に忍容性がないまたは効果不十分な場合に追加 LCSD薬物治療 QTc・遺伝型によらず VF または心停止の既往失神(治療前)の既往無症状 ICD/S-ICD *2 (推奨クラスI) +薬物治療(推奨クラスI) ICD/S-ICD *2 (推奨クラスIIa) ・ 頻回のICD 適切作動,失神・ ICD 植込みを患者が拒否・ ICD 植込みが禁忌LQT1, 2 など(LQT3 以外) LQT3 LQT1, 2 など(LQT3 以外) LQT3・LQT1・LQT2・ATS *3・ LQT3・ 遺伝型不明 または未検査 β遮断薬*1 (推奨クラスI) β遮断薬*1 (推奨クラスIIa) β遮断薬*1 (推奨クラスIIb)