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p.24 抽出テキスト

1 拍ごとにT 波の極性が変化するT 波オルタナンス(TWA)は,再分極過程の不安定性を反映し131),診断基準の一項目である.また,年齢不相応の徐脈はとくに3 歳以下の小児LQTS 例で顕著であると報告されており45, 132),小児のLQTS の診断に有用な所見である.

LQT8 でも心電図上遅発性T 波を認めることが多く, LQT3 との鑑別を要する133).ATS1(LQT7)のQT 間隔は境界域のことが多いが特徴的なU 波を認めることが多い134)(図5).

5.2.2 運動負荷心電図

運動負荷心電図はLQTS スコア(Schwartz スコア)に含まれ1),診断,治療方針の決定に有用であり,とくに負荷後4 分の回復期におけるQTc が重要である135).マスター二階段試験は簡便であり,最初に実施されることが多いが,十分な負荷に至らない場合も多く,競技スポーツをしている症例や,運動中の連続的心電図記録が必要と考えられる症例は積極的にトレッドミル運動負荷検査を行う.なお,LQT1 では最大運動時および回復期4 分のQTc が負荷前と比較して有意に延長し,LQT2 では最大運動時のQTc はむしろやや短縮し,回復期で再び延長する86).一方LQT3 では運動中,回復期ともにQTc は短縮すると報告されている136, 137).LQTS 遺伝型別にみた運動負荷時のQTc変化の特徴を表5 に示す.

5.2.3 ホルター心電図

ホルター心電図は不整脈診断のほか,深夜や明け方の一過性のQT 延長の診断に有用である138, 139).また小児例では,ホルターの最大QTc 値の方がが安静時12 誘導心電図のQTc よりも心イベントの予測に有用であったと報告されている130).ただしホルター心電図では基線の揺れや,心拍変動にともない一過性にQTc が長く算出されたり,フィルターの特性上などQT 間隔の解釈には注意が必要である.

5.2.4 植込み型ループレコーダ(ILR)

失神発作が不整脈イベントか否かの鑑別にILR は有用である140, 141).ESC ガイドラインでは心臓突然死のリスクが低い原因不明の失神を繰り返すLQTS 患者には,ICDではなくILR が推奨となっている(推奨クラスIIa) 28). 5.2.5 その他の負荷心電図

LQTS の診断に参考となる負荷試験として,カテコラミン負荷試験,立位負荷試験,顔面冷水負荷試験などがある.

カテコラミン負荷試験は,エピネフリン(0.1 μg/kg)を静注後に5 分間持続投与(0.1μg/kg/ 分)し,投与開始前と開始後1 ~2 分(最大効果時),開始後3 ~5 分(定常状態)のQTc の変化を計測する87).カテコラミン負荷検査はLQTS の診断および遺伝型の鑑別に参考となるが,遺伝学的検査の普及により,2025 年のESC の薬物負荷試験のクリニカルコンセンサスステートメント142)では,ルーティンでの施行は推奨されておらず,小児ではとくに要注意とされている.

立位負荷試験は,坐位から立位になった後の心拍数上昇にともなうQTc 変化を計測する.簡便な検査であるが,特異度はあまり高くない.単独で診断に使えるものではなく,補助的な検査である143).

顔面冷水負荷は,0 ~10 °Cの冷水に最大吸気位で顔面浸水し,開始した直後は交感神経優位で頻脈となり,浸水を続けると副交感神経優位で徐脈となった際にQT 延長が顕在化することがある144).小児領域では以前から行われてきたが,診断精度や遺伝学的検査の普及により,最近ではあまり行われていない.

5.2.6 遺伝学的検査

診断基準に含まれ,治療方針決定に直接かかわる検査であり,わが国では先天性LQTS に関する遺伝学的検査は保険適用となっている.推奨表2 に先天性LQTS に対する遺伝子診断の推奨とエビデンスレベルを示す.実施基準,結果の解釈,患者への説明などについては「2024 年改訂版心臓血管疾患における遺伝学的検査と遺伝カウンセリングに関するガイドライン」29),2022 年の欧州不整脈学会(EHRA)/ 米国不整脈学会(HRS)/ アジア太平洋不整脈学会(APHRS)/ ラテンアメリカ不整脈学会(LAHRS)の合同ステートメント74)を参考にされたい.

6 予後・リスク評価

6.1 心電図

QT 間隔はLQTS のリスクを図る指標として確立されて

表5 LQTS 遺伝型別にみた運動負荷時QTc 変化の特徴

時期LQT1 LQT2 LQT3運動最大負荷時↑ ↓(軽度) ↓運動終了後4 分(回復期) ↑ ↑ ↓