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p.21 抽出テキスト

イベントを発症し,重症例が多い113-117).報告されているバリアントのほとんどは新規突然変異であるが,重症度が比較的低く家族性を有するバリアントも報告されている118).頻度はまれだが,小児/ 低年齢児(6 歳以下)期に致死性心イベントを発症した場合のカルモジュリン遺伝子バリアントの同定率は高く46),遺伝学的検査が強く推奨される.

4.7 遺伝型不明LQTS

先天性LQTS 患者の約75%に原因となる遺伝子の病的バリアントを認めるが,逆に25% の患者は網羅的な遺伝学的検査を行っても原因がみつからない.しかし,遺伝型が不明であっても臨床的にLQTS と診断される場合は, LQTS として治療やリスク管理にあたるべきである.最近の日欧共同研究によれば,遺伝型不明LQTS でも遺伝型が同定されたLQTS と比べ,予後に大きな違いはないことが示されている42).

4.8 その他

先天性LQTS 患者の多くは,単一の病的バリアントによって発症するが,遺伝型が同定される先天性LQTS 患者の約8% は,2 つ以上の遺伝子に病的バリアントを保有している119).複数の病的バリアントをもつ患者は,一般に単一の病的バリアントをもつ患者より重症である.このため,同一家系で同じ病的バリアントのキャリアでありながら重症度に差を認める場合は,複数の病的バリアントの関与を疑う必要がある.

CPVT の原因遺伝子であるRYR2 は,QT 延長を呈することもあり,先天性LQTS とCPVT のオーバーラップ症例が報告されている120).さらにRYR2 病的バリアントに起因するcalcium release deficiency syndrome(CRDS)の一部はLQTS,あるいは,LQTS に類似する表現型を呈することがある(RYR2-LQTS)

121).RYR2 の単一変異により,

LQTS とCPVT のオーバーラップ表現型を呈することや122),家系内でLQTS あるいはCPVT といった異なる表現型を呈することが報告されている123).CRDS は新規に提唱された疾患であるためRYR2-LQTS の報告はまだ少ないが,今後増加すると考えられる.以上から,LQTS の主要遺伝子に病的バリアントが同定されない場合はRYR2の解析が推奨される. 5 診断

5.1 診断基準

本ガイドラインでは,これまでのわが国のガイドライン1, 37, 124)あるいは4 大陸合同ステートメント74)に沿った先天性LQTS 診断基準を採用し,LQTS スコア(Schwartzスコア) (表4)≧3.5 点125),または繰り返し記録された12誘導心電図でQTc(Bazett 補正式)≧500 ms を認める場合,あるいはLQTS 関連遺伝子に病的バリアントを認める場合に先天性LQTS と診断する(推奨クラスI) 2, 74)(推奨表1,「2022 年改訂版不整脈の診断とリスク評価に関するガイドライン」124)表19 を参照).なお,2022 年の欧州心臓病学会(ESC)心室不整脈の診療ガイドラインでは, QTc 480 ms 以上あるいはLQTS スコア(Schwartz スコア) 3.0 点以上でLQTS と診断することが推奨されている3).

推奨表1  先天性LQTS の診断に関する推奨と

エビデンスレベル

推奨クラスエビデンス

レベル

QT 延長をきたす二次性因子が存在しない状況でLQTS スコア(Schwartz スコア) ≧3.5 の場合,先天性LQTS と診断する. I C QT 延長をきたす二次性因子が存在せず,繰り返し記録した12 誘導心電図で, Bazett の補正式で求めたQTc ≧500 msを示す場合,先天性LQTS と診断する. I C LQTS 関連遺伝子に明らかな病的バリアントを認める場合,先天性LQTS と診断する. I C LQTS 関連遺伝子に病的バリアントを認めず,QT 延長をきたす二次性因子が存在しない状況で,説明のつかない失神を認める症例において,繰り返し記録した12誘導心電図でQTc 480 ~499 ms を示す場合,先天性LQTS と診断することを考慮する. IIa C二次性LQTS を除外したうえで,繰り返し記録された心電図でQTc 480 ms 以上を先天性LQTS と臨床診断することを考慮してもよい. IIb C