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p.20 抽出テキスト

や睡眠時の心イベントも多い89).IKr は女性ホルモンの影響を受けるため(前述)

56),LQT2 患者のイベントは思春期

以降の女性に多く90),さらに産褥期にも心イベントが起こりやすい93, 94).またKCNH2 の一部のバリアントでは,発熱がQT 延長/ 心イベントを惹起しやすいともいわれる95-97).

先天性LQTS ではてんかんを合併することがあるが98), LQT2 では他のLQTS 遺伝型と比較して,てんかん,あるいはてんかん性脳波の合併が多いと報告されている99).

4.3 LQT3(原因遺伝子SCN5A)

LQTS で遺伝型が同定される例の5 ~10% を占める(図2) 36).原因遺伝子であるSCN5A がコードするNav1.5 蛋白は心臓の電位依存性Na チャネル/ 電流(INa)を構成し,心筋活動電位の脱分極相(0 相)に寄与する.LQT3 ではSCN5A の機能獲得型変異によりINa の不活性化が遅延し,プラトー相や再分極相の遅延成分のINa(late INa)が増加するためQT 延長を生じる100)(表3).SCN5A バリアント(例:p.E1784K)の中にはNa チャネルの機能獲得と機能喪失の両方をきたすものもあり,QT 延長に加えてBrS やSSS,PCCD などを合併しうる101).

LQT3 患者の心イベントに明らかな年齢との関連はないが新生児でもイベントが出現する場合もあり36, 75),LQT1, LQT2 と比べ致死的心イベントの比率が高い89, 90).またLQT3 では安静時や睡眠時に心イベントが多く(図4), QTc が長いほど致死性不整脈のリスクが高く,失神の既往も危険因子である85).

4.4 Andersen-Tawil 症候群([ATS], LQT7,原因遺伝子KCNJ2)

Andersen-Tawil 症候群(ATS)は,QTc は境界域のことが多いが36),心電図上異常U 波を認めることが多く(図5),安静時から心室不整脈(心室期外収縮や二方向性および多形性VT)を認めることが特徴である.心外病変として周期性四肢麻痺,特徴的な顔貌(小顎症,眼間開離,耳介低位など),斜指症/ 合指症などを呈する疾患(LQTS の3%)である102)(表3,図2).心外病変が軽微であるATS症例も存在する103).

2001 年,内向き整流カリウム電流(IK1)を構成するKir2.1 をコードするKCNJ2 が1 型ATS(ATS1)の原因遺伝子として報告された104).ATS1 はかならずしもQT 延長を呈するわけではなく,KCNJ2 はLQTS の原因遺伝子としては限定的だが,心電図上著明なU 波,安静時から出現する二方向性・多形性VT や,異形症,周期性四肢麻痺など多彩な心外表現型を呈するATS(ATS1)の原因遺伝子

としては確実である72, 104).

4.5 Timothy 症候群(TS),非Timothy 型 LQTS(LQT8,原因遺伝CACNA1C)

Timothy 症候群(TS)はQT 延長とその他の心病変(先天性心奇形)と多様な心外病変(合指症,自閉症,免疫不全,神経発達障害など)を合併する症候群である44).心筋の電位依存性L 型Ca チャネル(ICaL)を構成するCav1.2をコードするCACNA1C のG406R およびG402S バリアントは,TS の原因として初期に報告された105).いずれのバリアントもCav1.2 の機能獲得によりICaL の不活性化が著明に遅延しQT 間隔が延長する.TS はきわめてまれだが,CACNA1C のバリアントにはCav1.2 の機能獲得が軽度で,典型的なTS の症状を呈さない(非TS 型)LQT8 も存在する106, 107).これら非TS-LQTS の有病率は比較的高く,LQT8 の有病率は先天性LQTS の2% 程度と報告されている36, 76, 108)(表3,図2).

4.6 カルモジュリン関連LQTS(CALM- LQTS)

カルシウム結合蛋白であるカルモジュリンは細胞質に豊富に存在し,細胞内でカルシウムイオン(Ca 2+)と結合し,さまざまなカルシウム感受性酵素,イオンチャンネルなどを制御し,心臓では電気的安定性の維持に重要な役割を果たしている.カルモジュリンをコードする遺伝子CALM1, CALM2,CALM3 は独立した遺伝子であり,それぞれ異なるmRNA に転写されるが,いずれも同一の149 個からなるカルモジュリン蛋白をコードしている.カルモジュリン変異体は,Nav1.5,Kv7.1,Cav1.2,心筋リアノジンチャネルなどのチャネル機能に影響し心室不整脈を惹起する47, 109).ICaL のカルシウム依存性不活性化の遅延を生じ110, 111),またKv7.1 との結合によりIKs が減少しQT 延長をきたす112)と考えられている.有病率はきわめてまれ(わが国のLQTS の0.3% 程度と推定36))だが,カルモジュリン関連遺伝子バリアントの約半数がLQTS(CALM-LQTS),次いでCPVT,LQTS とCPVT のオーバーラップが多い46, 47).さらに心筋症や先天性心奇形(心房中隔欠損,心室中隔欠損,動脈管開存など),左室緻密化障害などを,心外病変として神経疾患(自閉症,てんかんなど)を合併することがある.カルモジュリン遺伝子バリアントによる疾患はカルモジュリノパチー(calmodulinopathy)とよばれ,新生児期,幼児期~小児期におもに運動や情動により致死性心