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p.19 抽出テキスト

先天性LQTS の遺伝学的検査は診断・予後予測・治療法決定の観点からもきわめて重要な検査である(遺伝学的検査の適応については5.2.6 遺伝学的検査を参照,推奨クラスI) 37).

以下,原因遺伝子が確実あるいは確実性の高いLQTSサブタイプについて概説する.

4.1 LQT1(原因遺伝子KCNQ1)

LQTS で遺伝型が同定される例の40 ~55% を占める(図2) 36).原因遺伝子であるKCNQ1 がコードするKv7.1蛋白は,KCNE1 がコードするMinK 蛋白と会合することにより遅延整流カリウム電流の遅い成分(IKs)を構成し,心室筋活動電位の再分極に寄与する.KCNQ1 の機能喪失型バリアントによりIKs が減少し,QT 延長を生じる88).IKsは交感神経刺激(β受容体刺激)で活性化するため,健常者では運動による頻脈時のQT 短縮に寄与する.しかしLQT1 では,交感神経(β受容体)刺激時/ 運動時に内向き

電流(ICaL)の増加に対しIKs は相対的にさらに減少するため,QTc は延長する.したがってLQT1 患者の心イベントは,運動,とくにマラソンや水泳など持続的な運動で起こりやすく(図4) 89),若年(15 歳以下)では男児で心イベントが多い90).

4.2 LQT2(原因遺伝子KCNH2)

LQTS で遺伝型が同定される例の30 ~45% を占める(図2) 36).原因遺伝子であるKCNH2 がコードするKv11.1蛋白(HERG チャネル)は遅延整流カリウム電流の速い成分(IKr)を構成し,心室筋活動電位の再分極に寄与する. KCNH2 変異によるKv11.1 の機能喪失によりIKr が減少し, LQT2 をきたす91).LQT2 患者の心イベントはとくに情動や音刺激などで起こりやすい89, 92)(図4).IKr は徐脈時に再分極への寄与が大きいため,LQT1 とは異なり安静時

図5 先天性LQTS における遺伝型別の代表的心電図所見A:KCNQ1(LQT1),B:KCNH2(LQT2),C:SCN5A(LQT3),D:KCNJ2(ATS),E:CACNA1C (TS,LQT8),F:CALM2 A:LQT1 では幅広い(broad-based)T 波,B:LQT2 ではノッチをともなう平低(low-amplitude, notched)T 波,C:LQT3 では長い等電位のST 部分とT 波のピークが後ろにある遅発性T 波(lateappearing T)が特徴的である.遅発性T 波や伝導障害などはE:TS(LQT8)やF:CALM-LQTS でもみられることがある.D:ATS では特徴的なU 波(異常U 波,*)と,安静時に2 方向性PVC(矢印)が特徴である(SCN5A・CACNA1C・CALM1-3 バリアントによるLQTS のT 波形状は酷似している).矢印:2 方向性PVC

KCNQ1(LQT1)

KCNH2(LQT2)

SCN5A(LQT3) KCNJ2(ATS)

CACNA1C(TS,LQT8)

CALM2

A

B

C D

E

F

II

V5 1.0 s

1.0 s

1.0 s 1.0 s 1.0 s

1.0 s

II

V5 II

V5 II

V5

II

V5

II

V5 *

*