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用いられる.また,比較的大きな欠失や重複などのコピー数多型は,NGS データ解析で推定されるほか,アレイCGH(comparative genomic hybridization)法やMLPA (multiplex ligation-dependent probe amplification)法で評価される.近年では,より複雑な構造バリアントの同定にロングリード型NGS が用いられる場合もある.このような検査法で同定されたバリアントは,一般集団での頻度,既知の知見,機能的影響などを総合的に評価したうえで疾患との関連が検討され,結果が依頼者に報告される. 3.2 血縁者の検査 発端者に疾患の原因となる病的バリアントが同定された場合,血縁者にも遺伝学的検査を行い,当該バリアントの有無を確認すること(カスケードスクリーニング)は,未発症者の発症予防や早期診断・早期介入の観点から重要な意義を有する.家系図を作成し,家系内の臨床所見を確認するとともに,発症リスクのある血縁者について遺伝学的検査を検討する.遺伝性不整脈では,バリアントを保持者が未発症である場合もあり,臨床所見のみで将来の発症リスクを判断することは困難である.CPVT やラミン心筋症では浸透率(バリアント保持者が発症する割合)が高く, LQTS の浸透率は中等度とされており,遺伝学的検査の結果にもとづいて,未発症段階から生活指導や治療介入を検討できる. 一方で,遺伝学的リスクが明らかになったとしても,発症時期や重症度を個別に予測することはできない.そのため,検査の意義と限界,留意点について十分に説明したうえで,専門家による遺伝カウンセリングを併用することが推奨される29, 30). 3.3 遺伝カウンセリング 3.3.1 循環器専門医による遺伝学的検査の提出 遺伝性不整脈のうち,先天性LQTS に対する遺伝学的検査は保険適用されており,保険医療機関であれば特定の施設基準なしに遺伝学的検査を提出可能である*.先天性LQTS の有病率はおよそ2,000 人に1 人(0.05%) 4)と推定 され比較的有病率が高く,循環器診療の現場ですでに遺伝学的検査が広く実施可能となっている.一方,LQTS 以外の遺伝性不整脈やARVC,ラミン心筋症などに対する遺伝学的検査は保険適用されておらず,自費または研究として医療機関や研究機関で行わざるをえない状況である(実施 施設については,全国遺伝子医療部門連絡会議ホームページなどを参照).ただし,遺伝学的検査の実施は保険適用の有無にかかわらず,遺伝子医療部門(遺伝カウンセリング)と連携した対応が重要である.診断目的で実施される遺伝学的検査については,厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして,地方厚生局長などに届け出た保険医療機関,もしくは登録衛生検査所で実施される必要がある. 3.3.2 循環器診療部門と遺伝子医療部門協働の必要性 LQTS をはじめとする遺伝性不整脈は,未発症段階であっても早期診断・介入により予後改善が期待できる,いわゆるactionable な遺伝性疾患である31).多くが常染色体顕性(優性)遺伝形式であることから,遺伝学的検査は未発症血縁者に対する診断(カスケードスクリーニング)として有用性が高い.そのため検査提出前から,循環器科主治医と遺伝子医療部門の臨床遺伝専門医・臨床遺伝カウンセラーおよび遺伝看護専門看護師らと協働し,対応を計画しておくことが望ましい.近年は解析対象遺伝子数の増加により,結果の解釈が高度化しており,この点からも遺伝子医療部門(遺伝カウンセリング)との協働が必要となっている. 3.3.3 長期医療と多部門間連携 遺伝情報は生涯不変であるが,発症リスクは年齢や環境要因の影響を大きく受ける.いわゆる精密医療の時代となり発症・重症化予防が可能となった現在,小児期(とくにスポーツ指導),成人期,妊娠・出産期など,患者のライフステージに応じた長期的視点での医療連携が不可欠である.小児循環器,循環器内科,産科,遺伝子医療部門が継続的に協働し,遺伝学的検査結果についても電子カルテなどを通じて適切に共有することが重要である. 4 治療 遺伝性不整脈の一部は,無症状で日常生活に支障がない場合であっても,致死性不整脈による心臓突然死をきたすリスクを有するため,その予防が治療のもっとも重要な目的である.一方で,すべての患者が高リスクというわけではなく,正確な診断と適切なリスク評価にもとづき,個々の症例に応じた治療方針を決定する必要がある. 治療として,運動制限などの生活指導,β遮断薬などの * 検査提出には適切な病名付与が必要である.