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p.95 抽出テキスト

左室補助人工心臓を有する患者である(推奨表16「基礎疾患別リスクと歯科口腔外科手技に際するIE予防のための抗菌薬投与の推奨とエビデンスレベル」参照).

2 IE中等度リスク(必ずしも重篤とならないが,IE発症の可能性が高い患者)は,ほとんどの先天性心疾患,大動脈二尖

弁を含む先天性弁膜症,後天性弁膜症,閉塞性肥大型心筋症,弁逆流を伴う僧帽弁逸脱症,人工ペースメーカ,植込み型除細動器などのデバイス植込み患者,弁変性を有する心移植後の患者である(推奨表16「基礎疾患別リスクと歯科口腔外科手技に際するIE予防のための抗菌薬投与の推奨とエビデンスレベル」参照). 3.  小児についてもこれに準じて推奨を行う.

A背景,この問題の優先度

従来,弁膜症などの感染性心内膜炎(IE)を発症するリスクの高い患者では,歯科処置時に予防的抗菌薬投与が行われてきた633).IE発症高リスク患者は,通常の弁膜症,先天性心疾患のような中等度リスク群と,通常よりもIE発症率が高いのみならず,発症すると重篤になりやすい高度リスク群(IE既往/人工弁置換術後/チアノーゼ性先天性心疾患など)に分けられる633).従来は高度リスク群にも中等度リスク群にも予防的抗菌薬投与が推奨されてきたが, 2007年のAHAガイドラインでは高度リスク群にのみ予防的抗菌薬投与を推奨し597),2008年の英国のNICEガイドラインでは,高度でも中等度でも予防的抗菌薬投与を推奨しないとした600).わが国の2017年のガイドラインでは,欧米の流れとは異なり,高度リスク,中等度リスクともに予防的抗菌薬投与を推奨とした1).また,2023年のESCガイドラインでは,高度リスク患者に対する予防的抗菌薬投与が従来までのClass IIaからClass Iに推奨度が高くなった11, 16).

今回の改訂では,前回のガイドライン改訂以降のエビデンスを検討した.従来,成人と小児/先天性心疾患を分けて検討し,推奨を出してきた.しかし,小児/先天性心疾患に特化したエビデンスはきわめて少ない.今回の検討では,成人と小児/先天性心疾患を分けずに検討し,両者に差異がある部分は本文に記載した. B エビデンスの要約B1  PICOまたはPECO

P:感染性心内膜炎発症高リスク患者(高度リスク,中等度リスク).

I:侵襲的歯科治療時に予防的抗菌薬投与を行う. C:侵襲的歯科治療時に予防的抗菌薬投与を行わない. O:アウトカムとして,以下をパネル会議で承認した.益:感染性心内膜炎発症率(アウトカムの重大性:9,以下同),集団的観点からの費用対効果(6).本CQは個人の立場(Individual perspective)からみた推奨を目的とするものであるが,費用対効果については集団の立場(Population perspective)から書かれた論文も含めて採用

解説した.

害:抗菌薬アレルギー(8),耐性菌の出現(7). B2  システマティック・レビュー

予防的抗菌薬投与がIE発症率に及ぼす影響についてのRCTはなく,29の観察研究が採用された6, 384, 466, 590, 606, 608, 611, 613-617, 673, 797-814).このうち3 つのコホート内症例対照研究(Tubiana S 2017 798),Thornhill MH 2022 590),Thornhill MH 2024 797))を用いてメタ解析を行った.

予防的抗菌薬投与の費用対効果については1つの観察研究(Franklin M 2016 815))があった.薬剤副作用については2つの観察研究(Thornhill MH 2015 618),Cloitre A 2019 619))があり,統合して副作用発生率を算出した.予防的抗菌薬投与による耐性菌出現に関する論文はなかった. C 益と害のバランスC1  望ましい効果C1.1  IE発症率

IEに対する予防的抗菌薬投与の有用性については,さまざまな方法で研究が行われてきた.予防的抗菌薬投与が菌血症を防ぐことができるかについての実験的/臨床的研究が行われてきたが,これはIE発症率を下げるということを直接に示すものではない.今回のシステマティック・レビューではこれらの研究を除外した.

一般人口におけるIE発症率は非常に低く,予防的抗菌薬投与がIE発症率を減少させるかどうかのRCTの実施は現実的に困難である623).このため観察研究に根拠を求めざるをえない.欧州における2つの症例対照研究では,予防的抗菌薬投与群におけるIE発症率は対照群より低値であったが,有意な差は得られなかった(表CQ1-1) 812, 814).近年2種類の方法の観察研究の結果が数多く発表された.時系列解析研究とコホート内症例対照研究である.

時系列解析研究は2007年前後に欧米のガイドラインの予防的抗菌薬投与が欧米各国で変更となったのに伴い,その前後でのIE発症率を比べたものである(表

CQ1-2) 6, 384, 466, 606, 608, 611, 613-617, 673, 799-809).ガイドライン変

更に伴ってIE発症率が有意に上昇したことを示した論文もあれば,有意な上昇が認められなかったとする論文もあった.また,IE発症率が有意に上昇したとする論文の中