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p.87 抽出テキスト

ラム陰性菌に有効な薬剤から開始し,培養の結果により適宜変更する.抗菌薬投与は,デバイス留置部の局所感染のみで血行感染のない場合や,血行感染のみでリードや弁に疣腫を認めない場合は最低2週間(黄色ブドウ球菌の場合は4週間を推奨),リードに疣腫を認める場合には最低2~ 4週間,弁に疣腫を認める場合には最低4~6週間である713).

リード感染を伴うデバイス関連感染症に対するシステム全抜去を伴わない保存的な加療は予後を悪化させる581, 714).デバイス感染症例が左心側に人工弁を有する場合は,リード抜去術を行い4~6週間の抗菌薬投与を行うと,左心側への感染の波及の抑制に有効な可能性がある715, 716).弁に感染を認めるもののリードに明らかな疣腫を伴わない場合にも,経静脈リード抜去術を検討すべきである. その判断には原因菌や手技のリスク,弁に対する手術適応の有無を考慮すべきである.明らかな感染巣がなく,適切な抗菌薬治療後の再発性あるいは持続性のグラム陽性球菌, Cutibacterium(Propionibacterium)acnes,または真菌血症症例では,疣腫を認めない場合でもリード抜去術を考慮すべきである(図10).原因菌が緑色レンサ球菌(VGS), β溶連菌,腸球菌の場合には,早期にリード抜去術を行うか,抗菌薬治療を継続し,菌血症が持続性あるいは再発性の場合にリード抜去術を行う.原因菌がグラム陰性菌あるいは肺炎球菌の場合には抗菌薬治療を継続し,菌血症が持続性あるいは再発性の場合にリード抜去術を行う713).

リード抜去術の適応に関しては,手技のリスク(リードの留置期間,ペーシングへの依存度,フレイルの有無, 併存疾患など)を総合的に検討し,十分な説明を行ったうえで判断する.

リード抜去術は遅滞なく施行する方が予後良好であることが報告されている714, 717, 718).経静脈リード抜去術は外科手術に比し侵襲度が低いが,致死的なタンポナーデや血管損傷のリスクがあるため,外科医のバックアップのもと,経験豊富な施設で行われるべきである.

サイズの大きい疣腫(たとえば20 mm以上)を認める場合,吸引が有効との報告もあるが,わが国では器具を使用できないため,外科的なリード抜去術を考慮する. 外科的抜去術を考慮すべき疣腫の大きさに関して定まった基準はない.

3.5 デバイス再留置術の時期

デバイス感染治療後の症例に再留置を行う際には,その必要性について再検討し,適応がない,あるいは低い場合には再留置をしないことも考慮する.再留置する部位は,当初の留置部位から離れた部位(対側など)が原則である.再留置の時期については,疣腫を認めない場合には術後72時間以上の血液培養陰性を確認したのち,疣腫を認める場合には2週間血液培養陰性を確認したのち,が推奨されている712, 713)が,明確なエビデンスには乏しい719).そのため,感染症状の有無,排菌源となる膿瘍の有無,原因菌等の背景を考慮し,再留置の時期を遅らせることも必要である.再留置するデバイスは,経静脈リードを使用しないリードレスペースメーカや皮下植込み型除細動器への変更が感染の再発予防に有効なことがある720, 721).

図10 明らかな感染巣を認めず抗菌薬治療に抵抗性・再発性の菌血症に対する経静脈リード抜去術の適応

グラム陽性球菌Cutibacterium spp. (旧Propionibacterium sp.)

真菌

緑色レンサ球菌

β溶連菌腸球菌属

グラム陰性菌

肺炎球菌

血液培養早期の経静脈リード抜去術

早期の経静脈リード抜去術

抗菌薬治療を継続し経過観察

経静脈リード抜去術

まず抗菌薬治療

リード抜去術

感染の重篤度により判断

抗菌薬抵抗性 or 再発性の場合

抗菌薬抵抗性 or 再発性の場合

or