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p.86 抽出テキスト

定は重要である.

3.1 定義

デバイス関連感染(CDRI)には,局所感染と全身感染があり,局所感染はさらに表層のみの感染(たとえば縫合部のみ)と感染が内部に波及する感染に分類される.全身感染には,デバイス植込み部位の感染の波及により生じる場合と,局所デバイス感染を伴わない場合がある.CDRIにおいてIEの定義を満たすものが心臓植込み型デバイス関連感染性心内膜炎(CDRIE)である11).2023 Duke- ISCVID診断基準17)では,小基準の素因として新しくCIED留置が追加された.

3.2 病態

デバイス感染は,植込み手術時のポケット感染,デバイスやリードが皮膚表面に露出し,そこから感染する経皮的感染と,デバイス以外の他の感染巣からの血行性感染による二次的なリード感染の2つの経路を有する.CDRIEも同様にポケット感染から波及する場合と他の感染巣から血行性に波及する場合が存在する.

CDRIEはデバイス感染症の中で最も重篤な状態である. CDRIEの疣腫は,血管内へ挿入されたリード,上大静脈,三尖弁,右房壁,右室壁のいずれの部位にも生じうる.また,疣腫形成に伴って敗血症性肺塞栓症がしばしば生じるが283, 284),無症候性であることも多い285).原因菌として最も多いのはブドウ球菌で,CDRIの半数以上を占めており,特にCoNSが多い696, 697).また,デバイス感染は複数の原因菌による混合感染であることがあり,原因菌の同定には注意を要する697-699).

3.3 診断

CDRIEは通常のIEに類似し,発熱,悪寒,塞栓症等の症状を呈する.デバイス留置部の感染から波及した場合には,留置部の腫脹,発赤,圧痛,排膿,本体あるいはリードの露出を伴う.大切なことは,CIEDを有する患者で不明熱を認めたら,CDRIを疑って精査をすることである.一方,デバイス感染を起こしても明らかな発熱を認めない例もある.特に高齢者では,しばしば発熱がはっきりしないことがあるため,血液検査の白血球数やCRP上昇にも注意する.また,敗血症性肺塞栓による呼吸器症状や胸痛で発症することもある.

CDRIEの診断の中心は,他のIEと同様に血液培養と心エコー図検査である.特に血液培養で黄色ブドウ球菌が検

出された際にはCDRIEを疑う必要がある700).心エコー図検査はリードに付着した疣腫,三尖弁への影響,右房または右室壁の疣腫の評価に有用であり,リード抜去後の経過観察にも有用である.他のIEではみられないCDRIEの特徴として,上大静脈内のリードに疣腫が付着していることがあるため,心窩部走査など 断面描出を工夫して疣腫を見落とさないよう注意する.また,デバイス植込み後症例では,リードのアーチファクトのために疣腫の評価が難しいことがあるため,可能なかぎり多断面から見落としのないように評価を行う.

一般に,経食道心エコー図検査(TEE)は,経胸壁心エコー図検査(TTE)よりもCDRIEの診断に優れているとされるが701-703),TEEでもリードの付着物が感染性か非感染性かを鑑別するのに限界があるとの報告もある704).心膜液や心機能評価はTTE のほうが優れており,場合によっては三尖弁の描出でもTTEのほうが良好な画像を得られることがある.TTEとTEEの両方を組み合わせて,多断面から見落としのない検査を行うことが推奨される. CDRIEが強く疑われる症例ではTTE,TEEを5~7日ごとに繰り返すことも診断に有用である.

一方で,この両者を用いてもアーチファクトのため疣腫を検出できない例や,疣腫が静脈内のリードにあるために十分評価できない例がある.このような場合には心腔内心エコー図検査が有用である.心腔内心エコー図検査はCDRIEの疣腫検出において,TEEよりも優れた感度を有することが報告されている705-707).CDRIEの疑いが強いにもかかわらず TTEやTEEで疣腫が検出できない症例では,心腔内心エコー図検査の施行を検討してもよい.

また,これらの心エコー図検査でも疣腫を検出できず,かつCDRIEが疑わしい場合は,標識白血球シンチグラフィ708, 709)や18F-FDG PET/CTが診断に有用である142, 710).リード先端の培養陽性はCDRIEを疑う根拠になるが,リード抜去時に皮膚や創部でコンタミネーションを起こすことがあるため,どうしても培養偽陽性の可能性が否定できない.しかし,こうした画像診断を用いることで,生体内におけるリードや心腔内における炎症の局在を評価することができ,より正確なCDRIE の診断が可能となる.

3.4 治療方針

CDRIEを含む心臓植込みデバイス感染症に対する治療の原則は,抗菌薬の継続的投与とリードを含むデバイスの完全抜去である711, 712).抗菌薬は血液培養を少なくとも3セット採取したのち,メチシリン耐性ブドウ球菌およびグ